2018年11月19日(月)、 東京証券取引所(東証+YOU)とヤフー(Yahoo!ファイナンス)は、11月14日を「いい投資の日」とする記念セミナーを東京証券取引所にある東証ホールで開催した。
ハロウィン直後の11月から翌年5月までの投資リターンが高いという「ハロウィン効果」に注目して企画・PRされている「いい投資の日(11月14日)」。講演ではハロウィンと投資の不思議な関係を関西学院大学・教授の岡田 克彦氏が詳しく解説し、ゲストのGood Moneyger 代表取締役 清水 俊博氏も交えたパネルディスカッションも人生100年時代のマネーをテーマとしたトークで盛り上がるなど、会場を埋めた多くの参加者も閉会まで記念イベントを楽しんだ。
東京証券取引所では、2012年度より「マーケットから日本を元気に」を合言葉に、“+YOU(ぷらす・ゆー)ニッポン経済応援プロジェクト”を展開。このプロジェクトは、証券投資の本当の意味、証券投資が持つ力について、一人でも多くに知ってもらうことを目的にして、全国各地で投資初心者向けのセミナーを開催しているもので、この日はYahoo!ファイナンスと共催で記念イベントを開催した。
【講演】関西学院大学大学院経営戦略研究科 教授 岡田 克彦氏「HALLOWEENをめぐる株価の不思議な不思議なお話」
外資系金融機関出身の岡田氏は第1部の講演で、「ハロウィーンから半年」と「ハロウィーンまで半年」の株価指数の月次平均リターンを比べると、年前半のパフォーマンスが年後半を圧倒している傾向にあることを、様々な長期的なデータを駆使しながら解説。データを日付単位で細かく解析した結果、最適な購入開始日は「11月14日」で、「いい投資の日」は決して単純なゴロあわせだけではないことを強調した。
この「株価指数の不思議な季節性」が生じる背景や要因を行動経済学の観点から、「人間は年前半に楽観的になる動物」であり、それが実際の投資行動や株価形成にこうしたパターンが見られる理由の一つだと指摘する岡田氏は、Dow Jones Indexを使って調べた過去50年間の「①11月~4月」、「②5月~10月」のパフォーマンス比較で、②の+0.09%に対し、年前半の「①11月~4月」は実に+7.2%と、運用益に圧倒的な差があることも紹介した。
また、岡田氏は毎月10万円を250ヵ月貯めた場合の貯蓄額が2,500万円であることを前提に、同様の額を貯金ではなく「TOPIXのETF」に毎月投資していた場合いくらになっていたか」と来場者に問いかけた後、その答えが「3,452万円」であることを紹介。さらに、購入期間を「ハロウィーンから半年間に限定」して倍の20万円を投資し続けた場合、「4,752万円」にまで運用総額が増大したという結果を披露した。
最後に、株価指数だけではなく個別銘柄にも季節性が観測されるとしながらも、それぞれ企業特性の違いから季節性(旬な時期)もまちまちなため、これを解析するにはAI(人工知能)が有効だとして、例としてYahoo japan!のビッグデータ活用について紹介。その力を借りて旬な銘柄だけを保有することで、「ハロウィン効果を1年中堪能することも可能」だと語って講演を締め括った。
【パネルディスカッション】「さぁ、はじめよう♪ 人生100年時代のワイワイマネートーク」
続いて第2部は岡田氏に加えて、ロボアドバイザー提供やゲーミフィケーションを取り入れた金融教育を行っているGood Moneyger 代表取締役 清水 俊博氏を迎えてのパネルディスカッション。モデレーターは東証 金融リテラシーサポート部の岡部 ちはるさんが務めた。
岡田氏は第2部の挨拶で、「日本には資産形成という考え方がまだ根付いておらず、米国と比べても現金に偏った資産形成になっている。結果、日本の金融市場が活性化されないため、経済が縮小していかないようにすることが大きな課題となってしまっている。」と現状を憂慮しつつ「こうした中で人生100年時代は個人にとっても日本の経済にとっても大きなチャンスになるため、今後の重要なテーマといえるだろう。」と語った。
次に清水氏より自己紹介もまじえて挨拶があり、「大学卒業後新卒でリーマンブラザーズに入社してすぐに会社が倒産、人生の大きなイベントが入社1年目に起きた。」というエピソードを披露。「資産形成については、若い人にとっては時間や体力も資産なので、それを活かしながらお金という資産に変えていくこと、自分が持っているものをどう活かして資産形成に繋げていくのかを考えていって欲しい。」と述べた。さらに、「投資を早めにやり始めるのが大事。資産はお金だけではなく、いろんなものを含めて資産と認識したときに、早くから自分に合うものを探したり考えたりしていくことも資産形成の第一歩に繋がる。」と語った。
続いてモデレーターの岡部さんが岡田氏に、人生100年時代の株式投資や資産形成のポイントを質問。岡田氏はまず、銀行預金と株式投資の違いについて説明し、もはや銀行預金ではお金は増えない一方で、株式を買った場合は株主になり、収益は株主に配分される仕組みになっているため、株式投資の方が資産形成には有利としながらも、分散投資をすることが重要で、一つの企業への集中投資は避けるべきとだと忠告した。また、株式投資のリターンが高い傾向は米国でより顕著であり、投資信託や株価指数なども含め、構造的に利益を計上し易いのは銀行預金ではなく株式投資であると強調。また、長期で見ることが大変重要で、情報に振り回されずに長期分散投資でじっと待つことが一番賢い方法だろうと述べた。
また、清水氏は投資をする上での脳のコントロール法について語り、相場に振り回されず、長期分散投資で機械的にこつこつと続けることに喜びを感じるようになれればよしとして、それを前提に、まずは「スタート」することが大事なことだと強調した。情報に振り回されないよう、モチベーションを下げる悪いニュースは時に無視することも必要で、リラックスしながら自分の投資スタイルを貫いていくことを忘れずに投資生活を送って欲しいと語った。
さらに清水氏の経営するGood Moneygerは金融教育をビジネスにしており、資産形成が学べるボードゲームやカードゲームの販売や、投資サポートをするシステムも扱うなど、今後も正しい金融教育の普及に貢献をしていきたいと語った。
Yahoo!ファイナンス「いい投資の日」の公式サイトでは、ハロウィンと投資の不思議な関係について、さらに詳しく解説されており、金融機関とのタイアップキャンペーンも紹介されているので、ハロウィン投資の旬な季節を迎えている今こそ、ぜひご一読いただきたい。