山形県は古くから鮭の産地として名高い一方、人工孵化事業の現場の高齢化や施設の老朽化が進んでおり、今回は鮭生産の関係者がいかにして生産を増やしていくかについて議論を行った。
また、ジョージ・ヤマガタ氏は冒頭、最上川の支流・鮭川ではその名の通り毎年多くの鮭が遡上し、鮭川村は日本で唯一名前に鮭がつく自治体で、今も鮭に関する貴重な文化が残っている村である一方、鮭の人工孵化事業に関しては全国どの地域でも、高齢化による担い手不足、施設の老朽化、漁獲量減少など多くの課題が顕在化しているため、本日は様々な知見を有する登壇者に山形県の鮭をいかに増やしていくかについて議論していただければと語って挨拶した。
パネルでは自己紹介の後、まず飯田さんが現在の状況や課題、自身の鮭飼育、および海での漁から得られたデータを基にした研究成果や孵化放流事業について解説。放流数の維持を図りつつ、養殖場で生産された発眼卵を川底に埋設する発眼卵放流の導入検討や野生鮭の保全などが重要だとした。その後、発眼卵放流、自然産卵、稚魚を育てる最適な川、野生魚の保全施策、効果的だった具体策などについて様々な意見交換が行われた。
さらにゲストとして参加していた杉原さん(最上漁業組合 組合長)がセミナーの感想の後、孵化場のポンプが故障し本日のセミナー直前まで修理の打ち合わせをしていたことを告げ、現場施設の老朽化および後継者不足にも悩んでいるとして、現場の課題を改めて参加者に共有した。
閉会挨拶でジョージ・ヤマガタ氏は、鮭がアラスカまでの長旅を経て生まれた川に戻ってくるということは豊かな自然が残っている証であり、山形の素晴らしい自然環境を後世に残していくことは、鮭を未来に残すために必要なことだとし、本日のセミナーの学びを生かし、山形県の鮭文化の継承、日本全体の鮭資源の造成に繋げていけるようサポートしていきたいと語った。