金融&IT業界の情報サイト
 
 
 
取材レポート >> 記事詳細

2015/10/11

【野村総合研究所(NRI)】日本から世界を変える事業創造に向けた取組み、Hack for Money、IoTの力でお金とのつき合い方を変える、「NRIハッカソン@CEATEC JAPAN 2015」開催!(FinTech関連)

| by:サイト管理者


 2015年10月6日(火)~7日(水)、野村総合研究所(NRI)は、幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2015」において「NRIハッカソン@CEATEC JAPAN 2015 ~ Money x IoT ~ Hack for Money | IoTの力で、お金とのつき合い方を変えてみよう!」を開催した。



 ハッカソンとは、ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語。限られた時間内でソフトウェアを作り、技術とアイデアを競い合う。最優秀チームは、2016年1月にラスベガスで開催される「International CES 2016」において成果が展示されるという。



 初日の10月6日(火)は、「CEATEC JAPAN 2015」の開催前日。会場ブースの設営準備が進む中、チームメンバーと技術提供する企業の担当者が集まり本選プログラムの流れについてイントロダクションが行われた。また、それぞれのチームから提案概要が紹介された。



 本選は、大阪60名と東京80名が参加した予選を勝ち抜いて通過した9チーム(大阪予選:4チーム、東京予選:5チーム)で行われた。「Let's Hach!」 との掛け声のもと、6日(火)11時~翌日7日(水)14時まで徹夜を挟み27時間におよぶプロトタイプ開発がスタート。



 オープンステージでは、「CEATEC JAPAN 2015」開催発表記者会見が行われ、主催者挨拶として、水嶋 繁光氏(CEATEC JAPAN 実施協議会 会長)のほか、経済産業省、総務省など省庁連携の担当者より挨拶、開催テーマとして「NEXT - 夢を力に、未来への挑戦」を掲げた今回のイベント概要や見どころなど取材要領について説明が行われた。

 その中で、2015年の新たな取組みとして、海外企業の参画と連携強化に向けた米国大使館商務部「USA Showcase」、ベンチャー企業などの参画と連携強化に向けた野村総合研究所「NRIハッカソン」についても紹介された。

 挨拶に登壇した野村総合研究所 執行役員 IT基盤イノベーション本部長 増谷 洋氏は、社会、ビジネス、暮らしを支えるNRIの4つの事業オープンイノベーションの推進に触れ、今回のハッカソン以外でもNRI未来ガレージなどベンチャーの生み出す技術とNRI顧客の課題解決に向けた実証実験に積極的に取組んでいることを披露。16の協賛企業・団体により進めてきたNRIハッカソン開催の狙いと概要のほか、野村證券や国内ベンチャー企業と共同で進めるブロックチェーンを活用した株式関連情報の管理機能の強化、ハッカソン優勝チームやベンチャー企業を支援するアクセラレータープログラムの提供を通じて日本から世界を変える事業創造に向けた取組みについて紹介した。



 各チームとも、慌ただしく動きまわり、打合せを進め、パソコンに向かい作業に没頭。アイデアや技術に加え、翌日のプレゼンやタッチ&トライに向けて完成を目指すべく、熱意と体力の勝負とも言える。夜の幕張メッセ会場は冷えたが、熱気は漂ったままだったという。



 そして、10月7日(水)、「NRIハッカソン」発表会当日。野村総合研究所 執行役員 IT基盤イノベーション本部長 増谷氏より開会挨拶に続き、審査員の紹介が行われた。

 ◎本選の審査員(5名)
  村上 臣氏 (ヤフー 執行役員 Chief Mobile Officer)
  中垣 徹二郎氏 (Draper Nexus Ventures Managing Director)
  Brandon K. Hill氏 (CEO & Founder, btrax, Inc.
  吉村 潤氏 (野村證券 経営役)
  綿引 達也氏 (野村総合研究所 常務執行役員)



 続いてパネルディスカッション「なぜ今、オープンイノベーションなのか?」と題して、スピーカーには、村上氏、中垣氏、ブランドン氏が登壇、野村総合研究所 デジタルビジネス推進部 上級コンサルタント 寺田 知太氏がモデレーターを務めた。パネルでは、ベンチャー企業と付き合うコツや大企業と付き合うコツ、プレゼンの仕方のアドバイスのほか、ベンチャーは自信を持つこと、大企業は歩み寄ること、そして、やりたいことを明確にして、やると決めたらやるというスタンスが大事、とのメッセージが贈られた。



 そして、いよいよ9チームからのプレゼンテーション。各チームの持ち時間は3分間、質疑応答なしで次々と進められていく。審査員や来場者は真剣な眼差しでプレゼンの内容に耳を傾ける。

 ◎本選進出チーム(プレゼン実施順)
  UTJ All Stars 「クレジットカードに紐づけたキャラでバトルゲーム Money Heroes」
  Money Smart 「電子マネー決済情報をスマホに転送 おもてなし電子マネー」
  ナンデヤネンボット 「現金残高を記録しコミュニケーションできるロボット」
  アハト・ゲルト 「投資をもっと身近に!~OSUSHIを使った初めての株取引~」
  keel 「透明性とフィードバックを感じられる新しい募金プラットフォーム」
  マッシュルーム 「タンス預金を貯めるための スマートタンス貯金箱」
  T-SHOCK 「家のお手伝いとお小遣い口座を紐付け 諭吉せんせい」
  Team UniX 「日常の買い物と同時に投資できる Cabuca」
  パトロニア 「個人間送金によるパフォーマーへの投げ銭に活用」



 プレゼン終了後は、タッチ&トライ。作品を展示している各テーブルに分かれ、プロトタイプを実際に触り、質疑応答が行われる。



 野村證券賞には、keel、アハト・ゲルトの2チームが選ばれた。



 続いて、JCB賞には、UTJ All Starsが、東京海上日動システムズ賞には、Money Smartが選ばれた。



 また、審査員特別賞には、マッシュルームが選ばれた。スマートデバイス詰合せと賞金5万円が渡された。




 そして、最後に、最優秀賞には、UniXが選ばれた。CESツアー・作品展示に加え、3Dプリンターと賞金10万円が渡された。受賞理由として、ビジネスモデルの高さや取引コストの安さなどが挙げられた。審査員の評価も最高得点だったとした。



 表彰後、審査員の総評として、野村證券 経営役 吉村氏が登壇。同氏が1987年の野村證券入社当時は、 Money Makes Money だったが、今は IT Makes Money を確信しているとし、野村證券は中手企業の塊のような会社なのでぜひアイデアを持ち込んで欲しいとした

 最期に、
野村総合研究所 常務執行役員 綿引氏より閉会挨拶。同氏自身も前回のアイデアソンに参加した経験を踏まえ、新しいものを考えて実際に作って動かすことはとても大変なことだとし、今回の取組みに参加したチームメンバーに敬意を込めてお礼の言葉を述べた。そして、続く、ラスベガスで開催される「International CES 2016」での展示スペースでは、日本のイノベーション力と底力を是非アメリカでも示して欲しいとの期待を示し、今回の「NRIハッカソン」を締め括った。



 最期に、各チーム、審査員ほか、協賛企業などが壇上に集まり写真撮影。予選~本選まで全力で駆け抜けた全員の笑顔が印象に残る。



 懇親会では、二日間にわたるハッカソン本選も終わり、参加したチームメンバーもリラックスした様子。くつろいだ雰囲気の中で、審査員やイベント運営を支えたNRIのスタッフも交わり、用意された料理や飲み物を片手に会話を楽しんだ。今回のハッカソンを通じたエキサイティングな場を共有した志ある仲間たちの、今後の挑戦に期待したい。

<<取材を終えて>>

 今回のハッカソンでは、IoTを絡めたイノベーションというテーマのもと、
技術提供した企業のファンクションや機器を活用したことで、ソフトウェアだけで実現するイノベーションとはひと味違うユニークなアイデアやプロトタイプが示された。これからも、人工知能、ビッグデータ、そして既存の社会インフラとの融合、そして何よりも、課題解決に全身全霊を注ぐアントレプレナーの登場と新たな発想によって、人々のライフスタイルは大きく変わっていくことだろう。

 最近では、経済産業省において、革新的な金融サービスと新産業の創造、産業金融のあり方や資金の流れを大きく変えていく可能性について幅広く議論し、政策上の課題や対応策を検討するため、「産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)」が開催された。
 また、金融庁でも金融審議会において(決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ)を開催している。
 更に、民間においても、スタートアップ20社、一般企業、個人や団体が集まり、国内外の関連団体との情報交換や協力のための活動を行っていくという一般社団法人「FinTech協会」の設立(レポート)や、Fintech に関する整理された情報提供を行うとともに、企業と金融機関や官公庁、専門家との実務的な接点を拡げる取り組みを進めるべく「マネーフォワードFintech 研究所」の設立(レポート)など、FinTechを取り巻く環境の変化と実効性ある取り組みの推進と枠組みの整備に向けて、さまざまなディスカッションの場が広がっている。

 業種の垣根を越えて様々な人々が関わり合い繋がっていくことで、新しいサービスが生まれていくことに期待したい。

(取材、撮影、記事、編集・制作:藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ )




22:27 | 取材:金融・IT業界向け

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.