冒頭に、ルクセンブルク財務大臣 ピエール・グラメーニヤ氏より開会の辞。ルクセンブルクは、FinTechという言葉が生まれる前からEC分野などでEUのハブとして先進的なコンセプトを推進してきたことに触れ、同国のポイント(3 M Speech)について、政府による規制への取り組みや生産性の向上に対する強いメンタリティー(Mentality)、5億人のEU単一市場に容易にアクセスできるマーケット(Market)、容易な資金調達と豊富な選択肢があるマネー(Money)を挙げ、今回のセミナーが有意義なものとなることを願うとともに、ぜひルクセンブルクに来てほしいと語った。
セッション「フィンテック イノベーション ハブ ルクセンブルク“FinTech Innovation Hub Luxembourg”」では、ルクセンブルク・フォー・ファイナンス CEO ニコラ・マッケル氏が登壇。人口も少なく小国でありながらもEUの中心にある戦略的立地を生かし欧州単一市場へのアクセスと多様化した金融センターエコシステムによるイノベーションへの意欲により3大金融センターのひとつとして、インキュベータやアクセラレータなど公的・民間による支援が充実している点をアピール。デジタル国家を目指し研究開発も盛んで、同国の世界におけるテクノロジー・ランキングを紹介した。
セッション「欧州ならびにルクセンブルクにおける仮想通貨“Virtual Currencies in Europe and Luxembourg”」では、シルツ&シルツ法律事務所 パートナー ジャン=ルイ・シルツ氏が登壇。「規制により世界のビットコインハブは決まるのか?」とした記事のタイトルを引用し、2年前には規制すべき・すべきでないと2極化していた議論も、現在では予測可能性や安定性を高められるなど規制があることで銀行とパートナーが仮想通貨について話を進めていくための枠組みとなり、リスク因子と対処方法が明確になることで消費者保護につながるとともに仮想通貨の信認が高まることで自信を持って使えるようになるメリットを生かすべく、ペイメントサービスや電子マネーなどルクセンブルク金融監督委員会(CSSF)によるライセンス状況に触れつつ、ルクセンブルクでは既存の規制の枠組みをベースにEU全域に対して仮想通貨ビジネスが展開できる玄関口となっていることを強調した。
セッション「日本の仮想通貨企業から見たルクセンブルク“Luxembourg seen from a Japanese virtual currency company”」では、bitFlyer CEO 加納 裕三氏が登壇。ヨーロッパ進出にあたり、ロンドン、フランス、ドイツなど数ある候補の中からルクセンブルクを選んだ理由として、レギュレーションに対する先進性、政府や規制当局の要人との近く早いコミュニケーション、ライセンスの取得のし易さとEU全域にサービス展開が出来るパスポート、会計士やコンサルタントなど付加価値の高い豊富なサポートの多さなどを挙げた。
セッション「ルクセンブルクにおけるフィンテック・スタートアップの資金源“Financing Sources For Fintech Start-Ups in Luxembourg”」では、ExponCapitalファウンダー&パートナー アラン・ロダーマン氏が登壇。助成金やコンテストによる賞金、ビジネスエンジェルと融資、VCファンド、ルクセンブルク・フューチャー・ファンドなど様々な資金調達ソースを紹介。その上で、ヨーロッパにおけるフィンテックのスタートアップと資金調達状況、インキュベーターと共同ワーキングスペース、アクセラレーターやそれらをナビゲートするLUXINNOVATIONについて紹介した。