3回目の開催となる今回の金融犯罪対策コンファレンスは、AFC(Anti-Financial Crime)として開催された。金融犯罪対策を行う上での重要な規制、最新動向、事例、および2024年3月に期限を迎えるAMLガイドラインの対応について、当局や実務者、専門家による講演が行われた。
鈴木 秀俊氏(PayPay 法務コンプライアンス本部 本部長)は、自社における取組を例にあげ、リスク特定・評価やCDDの取り組み、不正対策・モニタリングについて、私見を交えながらマネロン等対策における課題を語った。
マシュー・フィールド氏(NICE Actimize APAC市場ディレクター アンチマネーロンダリング担当)は、取引モニタリングについて、今までの典型的なものと自社が行う最新の取引モニタリングを比較しつつ解説した。また、犯罪行為を摘発するための3層のTM(Transaction Monitoring)保護機能について説明を行い、継続的な金融犯罪対策の必要性を語った。
講演
| 「FRAML: マネロン/金融犯罪対策業務統合による効率化の潮流」 |
新村 和樹氏(SAS Institute Japan ソリューション統括本部 Fraud & Security Intelligence ソリューショングループ シニアコンサルタント、CAMS)は、金融犯罪の被害規模や銀行における金融犯罪のトレンド、金融犯罪の種類について現状を語った。FRAML(Fraud&AML)を推進するトレンドを解説し、そこに対する自社のアプローチを紹介した。
特別講演
| 「マネロン等対策における現状と課題について」 |
齋藤 豊氏(金融庁 マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室長)は、第4次FATF相互審査の概要とその後の動き、特殊詐欺への対応、資金移動業、暗号資産交換業を巡るマネロン上の論点を解説後、継続的顧客管理に関する顧客情報更新への協力要請についてインターネット広報の実施を行っていることを語り、特設サイトを紹介して講演を終えた。
講演 | 「金融犯罪対策に求められる内部監査・システム有効性検証~2024年4月以降を見据えて~」 |
米倉 悠氏(あずさ監査法人 金融統轄事業部 AML・CFTアドバイザリー部 シニアマネジャー)、竹田 淳一氏(あずさ監査法人 金融統轄事業部 AML・CFTアドバイザリー部 マネージング・ディレクター)は、有効性検証・内部監査の重要性、FATF第5次審査を見据えた動向、金融犯罪対策における内部監査について、事例を交えながら解説を行った。
講演
| 「AI/テクノロジーはリスクマネジメントの課題をどこまで解決できるのか?」 |
塚本 邦尊氏(リフィニティブ・ジャパン ソリューション・コンサルティング ソリューション・コンサルタント)は、リスクマネジメント業務における課題を述べ、AI/テクノロジーを使ったソリューションを使用した企業における成功例やコンプライアンス・監査領域における活用について何ができるかを解説した。また、これから更に活用される生成AIについてリスクと対処法について語った。
講演
| 「地銀の事例で学ぶ、これからのAML対策と組織体制」 |
島津 敦好氏(カウリス 代表取締役)は、同社の顧客金融機関のインタビュー動画を使い、システム活用事例として紹介した。マネロン対策の取り組み、オンラインのAML対策構築などについて講演を行った。マネロンとITにおける専門性が飛躍的に深くなってきているので両者のコミュニケーションをいかに増やすかが重要と語った。
パネルディスカッション
| 「2023年6月版金融庁「現状と課題」等を踏まえた実務対応」 |
パネルには 山根 洋氏(広島銀行 リスク統括部マネロン等金融犯罪対策統括室長)、伊藤 理紗氏(野村證券 金融犯罪対策部 エグゼクティブディレクター)、小幡 淳史氏(JPモルガン・チェース銀行 コンプライアンス部 エグゼクティブ・ディレクター)、モデレーターを小野 勝司氏(あずさ監査法人 金融統轄事業部金融アドバイザリー事業部 ディレクター)が務めた。
パネルでは、「特殊詐欺をはじめとした詐欺等の犯罪への対応」、「金融庁ガイドラインとのギャップ対応(規程整備ほか)の状況」、「丁寧な顧客対応に係る要請(外国人対応含む)」への対応の3つをテーマとして取り上げ、各社の対応や取組み、方針などが共有された。
情報交換会では、本コンファレンスの登壇者が数多く参加した。講演内容に関する質問をはじめ、参加者同士による様々な情報交換が行われた。
高度化する金融犯罪によるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与への対策の必要性は、ますます高まっている。AMLガイドライン対応期限も迫っている中、グッドウェイでは2024年2月下旬に「第16回 AMLコンファレンス2024」を開催予定。金融機関の方は特に参加していただきたい。
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(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )