2018年7月18日(水)、日本CFA協会はニューヨークCFA協会共催の元、「低金利下の運用環境における新たな運用対象・ポートフォリオ管理・リスクへの備え」をテーマとした 「ジャパン・インベストメント・カンファレンス 2018」を東京・京橋の東京コンベンションホールで開催した。
日本CFA(Chartered Financial Analyst:日本語名は、CFA協会認定証券アナリスト)協会は、CFA Institute(CFA協会)と協力して投資に関する教育プログラムを実施し、投資運用に関する専門知識の普及を目指している団体で、今回はESG投資が世界的に公的年金主導でアセットマネジャーにも浸透してきたなかで、超高齢化社会における低金利下の年金資産運用という課題に基づき、純粋に運用に焦点を当てて、内外の大規模なアセットオーナーをスピーカーに迎えて開催された。
午前10時の開演時間が迫るにつれ、会場も来場者で賑わい始める。今年は初めてのニューヨークCFA協会と共催で、内外の大規模かつ先進的な年金についての情報も収集ことができる貴重なカンファレンスがまもなく開演する。
【開会の辞】ニック・ポラード氏(日本CFA協会 マネージング・ディレクター)、サミー 鈴木氏(ニューヨークCFA協会 理事)
ポラード氏は冒頭に、本カンファレンス開催にあたって来場者、関係者への感謝の言葉を述べた後、「CFA協会は人と人とをつなげることを大事にしており、今回初めてニューヨークCFA協会と共催したことで、内外のスピーカーの講演を聞くことができる貴重な機会となる。また、我々は、専門的な人材やアイデアを結びつけることにより、15万人超ものCFA会員というグローバル・ネットワークへの架け橋となるだろう。」と挨拶した。
また鈴木氏は、本カンファレンスの海外版であるアセットオーナーシリーズ開催のバックグラウンドについて紹介。3年前ニューヨークCFA協会がアセットオーナーの生の声を直接聴きたいと思い立ち始めた取り組みは大いに成功し、大規模な内外のスピーカーを招いた有意義なイベントとなった経緯などを紹介した。
【カンファレンス基調講演Ⅰ】高橋 則広氏(年金積立金管理運用独立行政法人 理事長)「日本の資産運用業界への期待」(講演資料PDF)
高橋氏は講演でGPIFの概要、運用実績、スチュワードシップコード、ESG等に関する講演を行った。
【カンファレンス基調講演Ⅱ】フィリップ・デフォセ氏(フランス公務員退職年金基金 チーフ・エグゼクティブオフィサー)「変化が求められる健全な超長期の資金調達に年金基金はどう貢献出来るか」(講演資料PDF)
【パネル・セッションI】「リターン源泉分散の為の新たな運用対象」
セッション基調講演 アリッサ・リーダー氏(ディグニティ・ヘルス バイスプレジデント チーフ・インベストメント・オフィサー)「海外アセットオーナーの新たな運用対象への分散投資の実際」(講演資料PDF)
パネルディスカッション「低金利でリターン源泉の多様化を模索する国内のアセットオーナーの現状と課題」
パネリストとしてリーダー氏、デニス・A・ジョンソン氏(全米教職員年金保険組合 マネージング・ディレクター チーフ・インベストメント・オフィサー)、デフォセ氏、堀越 祐二氏(三菱商事企業年金基金 チーフ・インベストメント・オフィサー)が登壇。谷口 和歌子氏(ラッセル・インベストメント シニア・コンサルタント)がモデレータを務めた。
【カンファレンス基調講演Ⅲ】デニス・A・ジョンソン氏(全米教職員年金保険組合 マネージング・ディレクター チーフ・インベストメント・オフィサー)「資産クラスの選別:ポートフォリオ分散のためのオルタナティブ投資の活用」
【パネルセッションⅡ】「新たなポートフォリオ管理・・・ファクターベースの資産分配へ」(講演資料PDF)
パネルディスカッションⅡでは、冒頭に加藤 康之氏(京都大学 経営管理大学院 特定教授)が登壇して、ファクターやファクターモデルとは何か?という講演を行った。
パネルディスカッション「オルタナティブ資産の増加に伴い、伝統的4資産区分を見直してフ
ァクターベース資産配分へ移行する過程で生じる課題
」
パネルディスカッションでは、そのまま加藤氏がモデレーターを務め、パネリストとして、デフォセ氏、リーダー氏、ジョンソン氏が登壇した。
【スポンサー講演】真野 克彦氏(アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッドバリュー株式ポートフォリオ・マネジャー兼シニア・リサーチ・アナリスト)「ESG改善の三本柱と梁~現場からの提言~」
【パネル・セッションⅢ】「いつか再び襲うであろう大規模なグローバル金融危機への事前対応」
セッション基調講演「DB年金のドローダウンへの備え」では、佐藤 久恵氏(上写真中央:日産自動車株式会社 財務部主管 チーフ・インベストメント・オフィサー)が講演を行った。
パネルディスカッション「大規模なグローバル金融危機に備えるためのリスク管理の高度化」
モデレーターを大山 剛氏(有限責任監査法人トーマツ パートナー)が務め、パネリストとしてデフォセ氏、佐藤氏、リーダー氏、ジョンソン氏が登壇し意見を交わしあった。
【展示会場】スポンサー企業各社のブースが出展
展示会場にはスポンサー企業のブースが立ち並び、休憩時間やランチタイム中などは多くの来場者で賑わった。出展企業は以下の通り。
【プラチナスポンサー】アライアンス・バーンスタイン
【ゴールドスポンサー】ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ
【シルバースポンサー】シュローダー・インベストメント・マネジメント、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス、Dimensional、トムソン・ロイター、アセットマネジメント One
【エグジビタースポンサー】QUICK FactSet JOINT SALES TEAM、アクシオマ、TAC【カンファレンス基調講演Ⅳ】濱口 大輔氏(企業年金連合会運用執行理事 チーフ・インベストメント・オフィサー)「PFAの投資信念、運用基本方針と投資戦略」(講演資料PDF)
【閉会の辞】青砥 政孝氏(日本CFA協会 会長)
青砥氏は挨拶で、長時間の清聴への御礼を述べた後、講演でも紹介された「我々は現実逃避、思考を停止している場合ではない」とは事実で世の中とは常に変わっていくものであり、おかしいものはどこかで必ず修正される。それがいつ起こるのかというのを常に抑えておくことが我々アナリストの存在意義」だと語った後、CFA協会の概況について、「ようやく日本でも1000人の会員数に至り、先日6月29日に日経新聞に一面広告を出した。我々のミッションとは、究極的に社会のためになるように、最高水準の教育、倫理、職業基準を推進し、資産運用業をリー ドすることであり、グローバルにはどんどん(会員も)広がっているので、ぜひ我々の一員となっていただくことを願っている。」と語って挨拶を終えた。
【レセプション】サミー 鈴木氏(ニューヨークCFA協会 理事)、青砥氏の音頭で乾杯、歓談がスタート。
全講演終了後に行われたレセプションには多くの来場者が参加し、この日のため来日したサミー 鈴木氏と青砥氏が乾杯の挨拶と音頭を取ってパーティーがスタートし、閉会まで歓談が続いた。
日本CFA協会は、1999年にCFA協会の日本支部として設立され、プロフェッショナル教育、交流、倫理と最良執行に関する提言、業界団体や大学との協力といった分野で活動を広げてきた。CFA(Chartered Financial Analyst:CFA協会認定証券アナリスト資格)は世界の金融界で通用する投資プロフェッショナルの資格で日本でも金融業界で広く認知されており、外資系の証券会社、資産運用会社などでは採用に際して資格取得者を優遇する会社もあるという。
(取材、撮影、 記事、編集・制作:プロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ)