MetaTrader4(MT4)導入に関するサービスや競争力のある商品を提供するボストンテクノロジーズ・ジャパンは、今秋より金融商品取引業者、海外機関投資家、ファンド運営者等を対象に「ゼロスプレッド」によるリクイディティ提供サービスを開始。サービス提供元で米国・ボストンに拠点を置くボストンテクノロジーズCEO ジョージ ポペスク 氏がこのほど来日したことから、国内で初めて同サービスを導入(法人向けのみ、個人投資家向けは準備中)したFX企業 フォレックスクラウン 執行役員 冨田 修 氏を交え、それぞれのサービスと今後の展開についてインタビューを行った。(2013年11月6日、ボストンテクノロジー・ジャパン日本支社にて)
今日は宜しくお願いいたします。ではまず、ボストンテクノロジーズ・ジャパンのプロフィールを簡単にお願いします。
はい。ボストン テクノロジーズは米国マサチューセッツ州ボストンで2007年に設立された、機関投資家やブローカー向けにFXやCFDの取引ソフトウェアの開発やプラットフォームを提供している企業です。Inc. Magazine誌が一昨年に発表した2011年の「米国で最も成長している企業500社」では143位にランクされるなど急成長し、同年10月には東京に日本支社「ボストンテクノロジーズ・ジャパン株式会社」を設立しました。
最新のMetaTrader4(MT4)導入に関するサービスや競争力のあるリクイディティを、金融商品取引業者、海外機関投資家・超大口投資家等に提供し、日本支社と米国本社の日本人スタッフにより原則24時間の日本語サポートも行っています。
次に「ゼロスプレッド」について教えていただけますか。世界でも提供の事例は増えているのでしょうか?
「ゼロスプレッド」はボストンテクノロジーズおよび戦略的パートナーでリクイディティ業務に特化したBT Prime社(両社をBT/BT Primeと表記)を通じて提供されます。「ゼロスプレッド」パッケージを利用することで、25万通貨を上限にスプレッドを支払う必要はありません。もちろん、重要指標時や市場の変動が激しい場合は、スプレッドが通常の銀行間レベルに広がることはあります。
現在、ゼロスプレッドフィードでの提供は8通貨ペア(USD/JPY、EUR/JPY、EUR/USD、AUD/USD、EUR/GBP、USD/CAD、GBP/USD、USD/CHF)、それ以外の通貨ペアも低スプレッドで提供しています。今後、取引状況を見ながらスプレッドゼロの通貨ペアの拡大も検討したいと考えています。
今回、この弊社ゼロスプレッドサービスを日本で初めてサービス提供を開始いただくフォレックスクラウンのほか、世界的には、東欧、インドネシア、タイのブローカー数社で提供開始に向けた準備を進めているところです。
なぜ「ゼロスプレッド」のリクイディティが提供できるのでしょう。また、同様のサービスを提供しているところは他にもあるのでしょうか?
近年、ドットフランク法などによる規制強化の影響で従来の主なカバー先である銀行がビジネスの柔軟な取り組みが難しくなった中、そのスペースに米国でヘッジファンドをはじめとする多くの新しいタイプの取引先(カウンターパーティー)がFX市場に参入してきました。これらの新たなカウンターパーティーは銀行に比べると小規模なこともあり、標準的な銀行が提供するリクイディティモデルとは異なる、フレキシブルでクリエイティブな新しいモデルを開発し、多様なリクイディティの提供を始めました。小口の取引のみを多数集めることでゼロスプレッドサービスの提供を目指す彼らとのパートナーシップにより実現が可能になりました。他社でも「ゼロスプレッド」のサービス提供に取組んでいるようですが、現時点では、まだロシアに数社あるという程度です。
このサービスの収益モデルはどのようになっていますか。
BT/BT Primeとフォックスクラウンは、このサービスから得られるコミッション(投資家が支払う取引手数料。フレックスクラウンの場合、1,000通貨あたり往復10円 ※2014年3月末まで)をシェアする仕組みになっています。もちろん、FX企業であるブローカー側の判断で、取引手数料を徴収せずにスプレッドを加味してサービスを提供いただくことも可能です。
システムの導入や運用、取引ツールについて簡単に教えてください。
システムの導入はスムーズな実現が可能で、GOサインが出てからローンチまで最速でおよそ2~3週間程度です。 サーバーはUSおよび日本に用意しており、導入する企業が自由に選択できます。また、日本語サポートも平日5日間24時間で対応しており、日本時間の夜間はボストン本社の日本人スタッフが対応しています。投資家に提供する取引ツールはMT4をベースとし、スマートフォンまで含んでいます。取扱商品は、FXに限らずCFD、コモディテイの提供も可能です。
システムや運用の話ではありませんが、「ゼロスプレッド」パッケージでは、現状1,000通貨単位でワンショットの最大取引数量は25万通貨となっています。これは日本のリテール市場のワンショットあたりの平均取引数量が約3万通貨であることから問題ないものと考えています。当面は取引状況の推移を見ながら投資家の要望に対して柔軟に検討していきたいと思います。従来のサービスでは、ワンショット最大3,000万通貨までカバーできるサービスもあります。また、現在ソーシャルトレーディングのプラットフォーム開発にも着手しており、こちらもぜひ期待していただければと思います。
今回の「ゼロスプレッド」もそうですが、弊社はお客様に利益を上げていただくことに貢献していくというビジネスモデルですので、今後もそれを追求していくスタンスでサービスを展開していきたいと考えています。
一方、ボストンテクノロジーズ・ジャパンの「ゼロスプレッド」を導入し、2013年11月1日(金)から「スプ0 FX」のMT4サービスを開始したフォレックスクラウンについて簡単にプロフィール紹介をお願いします。
弊社は2004年11月に創業したFX専業企業で、今年2013年11月15日に創業10年目のスタートを迎えます。過去には個人投資家向けにサービスの提供を行っておりましたが、今回、あらためて「ゼロスプレッド」を掲げた法人向けのサービスとして提供を開始し、「FX × 金融エンターテインメント」のコンセプトのもと、唯一無二の商品性で差別化を図っていきたいと考えています。
あらためて、法人口座によるメリットについて説明してもらえますか。
これまで国内においては、法人口座の最大レバレッジが100~500倍と各会社横並びの商品設計となっておりました。法人がFX取引を活用する意味を考え、当社では最大1,000倍まで可能な商品設計といたしました。これにより、急な相場変動時においても、銀行での為替予約よりも低コストで為替ヘッジが可能となります。また、法人口座の取引の場合、他の投資や事業との損益通算ができることもメリットであると考えております。
レバレッジ1,000倍のリスク管理についてはいかがでしょう。
国内の法人口座のレバレッジは100~500倍としているところが多い中、今回世界最高水準のレバレッジ設定にあたっては、ボストンテクノロジーズ・ジャパンから過去のティックデータの提供を受け、通常時や米雇用統計などニュースイベントの際の動きなど検証したうえで、導入決定いたしました。もっとも週跨ぎのポジションなど状況によっては投資家が多大なリスクを背負いますので、その点については徹底した注意喚起を行い、投資家双方のリスクを極力減らすよう努力しています。
ゼロスプレッドの一方、取引手数料がかかりますが、これについては?
フォレックスクラウンの「スプ0FX」は、取引手数料1,000通貨単位あたり往復10円(2014年3月末までキャンペーン期間中)で、スプレッドコスト換算1.0pips(1.0銭)となります。つまり、スプレッド原則固定0pips(0銭)(例外あり)の通貨ペアを取引する場合はスプレッド1.0pips(1.0銭)で取引するのと同じことになります。取引手数料の無料化が通常となっているFX取引業界の中で、時代の流れと逆行をしておりますが(苦笑)、取引コストの透明性を前面に出すために、取引手数料制にいたしました。たとえば、USD/JPYの取引においてスプレッド1.0pips(1.0銭)での取引となりますと、他社と比較して決して安いわけではありませんが、比較的有利に取引出来る通貨ペアもありますので、一度確認してみてください。
最後に、今後のサービス展開について
現状、「スプ0FX」はワンショット最大25万通貨ですが、法人向け大口取引サービスとしてスプレッド変動と流動性の極めて高いサービスを年明けにもリリース予定です。資金効率が高く、大口取引が可能な法人向けサービス投入により、投資家への認知向上と法人向けブローカーとしての存在感を高めていきたいと考えています。
(取材: 藤野 宙志 、柴田 潔 / 撮影、記事、編集・制作: 柴田 潔)