二家: こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
藤野: 御社のホームページを拝見するとデリバティブに特化されていらっしゃるようですが、御社の取り組みと戦略上の狙いについて教えてください。
二家: 少し誤解があるようですが、当社は確かにデリバティブに注力はしていますが、それだけに特化しているわけではありません。
藤野: 詳しく教えていただけますか?
二家: 当社は日本ユニコムを母体とするユニコムグループホールディングスの子会社です。ここ数年のリーマンショックや総合取引所化など急速に変化する外部環境の中で、M&Aによるグループ再編を進めてきました。現物から国内外市場に上場する証券先物と商品先物を1社で完結して取引することができるユニークな証券会社です。
藤野: なるほど、M&Aを背景にスピーディーな事業展開をされていらっしゃるようですね?
二家: そのとおりです。地域に根差した証券として長年お取引を頂き信頼を培ってきた地域密着型の対面チャネルに加え、世界のデリバティブ取引を提供する個人投資家向けネットチャネルのほか、自己勘定で取引する法人向けプロフェッショナルアーケードサービスを展開しています。
藤野: それは知りませんでした。様々な投資家ニーズに合わせたサービスを提供されていらっしゃるのですね。
二家: 戦略のコンセプトは「マルチプロダクト&マルチチャネル」です。その狙いは、あくまでも投資家が勝つための合理的な仕組みと手段を提供することで、これは当社グループが10年以上前から構想しきた姿で、その実現に向けて着々と進化を遂げています。
藤野: 関東、関西、新潟に支店を展開するなど、200名以上の役職員がいらっしゃるということですが、支店や営業員の方々は久しぶりの相場上昇の中、どのような対応をされていらっしゃるのでしょうか?
二家: 当社の対面店舗のお客様は株を中心としたお客様が多いことに加え、相場が活況になる前から7店舗で移転・改装を進めたこともあり、来店のお客様で賑わっている支店が多くなっています。当社は株に強い営業員が多く、相場観やパフォーマンスに関する情報を提供し、地域に密着した関係を大事にしております。そういったことで、相場が活況になるとお客様からご相談いただくケースが非常に増えます。その地域で長年にわたり営業できることが信頼の裏付けと考えています。一方で、マルチチャネルという観点では、次期トレードシステムとしてサービス提供の準備を進めているMetatrader5(MT5)に、将来は株式にも対応していきたいと考えています。
藤野: MT5導入は国内初ということもあり、注目されていますね。ネットチャネルの現状について教えていただけますか?
二家: 現在、当社では個人・法人のお客様向けにネットで展開している取扱商品の規模の内訳としては、商品先物が約6割と多く、証券先物が約3割、大証FXと海外デリバティブで約1割ほどとなっています。商品先物と証券先物を一つの会社で取り扱える証券会社は数少ないため、特に法人向けの株価指数先物(日経225先物)の取扱高は上位2~5位に入っており、その結果、手数料のディスカウントによる競争優位性も高まっていることから個人向けと合わせて相乗効果が見込めます。
藤野: 今後のMT5への対応商品の展開と予定時期について教えてください。
二家: 先ず、大証FX、日経225先物への対応を近く予定しており、2013年夏前頃には商品先物と海外デリバティブへの対応を目指し、今から1年半後には株式の対応も実現したいと考えてます。売買システムを通じた実績やパフォーマンスといった情報が整ってくれば、対面チャネルでの併用も検討していくかもしれません。
なお、MT5の大証FXモニター取引の申込受付けを2013年2月25日(月)より開始していますので是非試していただけたらと思います。
藤野: 最近FXで広がっているシステムトレードが株式にも広がる可能性があるということですね。それは楽しみです。次に、法人向けプロフェッショナルアーケードサービスについて簡単に教えて頂けますか?
二家: 海外所在の金融機関やヘッジファンド、プロップハウスと呼ばれる取引コストが全てと言っても過言ではないほどコスト感を重視する企業がシンガポールやアメリカに多数存在しています。法人向けプロフェッショナルアーケードサービスは、日経225先物や金のアービトラージ取引などを行う法人向けのサービスです。1年半ほど前からサービスを開始したばかりですが、圧倒的なコストの優位性ときめ細かなサービスの柔軟性が支持され口コミで広がっており、多くの問い合わせを頂くなど事業は順調に伸びています。また、大証FXにおいても海外からのニーズに応えることで、最近の取引シェアは50%超となっています。
藤野: 短期間にもかかわらず、世界を相手にすごいことですね。先日発表された日本で初めてEUREXのメンバーシップを取得したという取り組みも、その一環ということでしょうか?
二家: 日本から見るとEUREXはあまり知られていないかもしれませんが、理由の一つとしてはマルチプロダクトとして全ての先物を取り扱っていくというコンセプトに沿って、それを象徴する取り組みの一環として広告的な意味合いがあります。もちろん、日本では手がけられていない市場にアクセスすることで実際に収益に繋げていくことができるか、今後いろいろ試していく予定です。
藤野: まだまだ挑戦が続きそうですね?お客様に向けて一言メッセージを頂けますか?
二家: 様々な要望を持つお客様がいらっしゃる以上、当社としても、証券と商品先物、対面とネット、そこに存在する内外の壁を取り払っていきたいと考えています。そして、これからも「マルチプロダクト&マルチチャネル」を掲げ、お客様に利益を出していただくための仕組みづくりを最優先に取り組んでいきたいと思います。
藤野: 本日はとても参考になるお話を伺うことが出来ました。ありがとうございます。
二家: こちらこそ、ありがとうございます。
二家 英彰 氏(ふたや ひであき)
1996年明大政経卒、国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。2005年日産証券(現日産センチュリー証券)取締役、10年取締役会長。2012年日産センチュリー証券代表取締役社長。東京都出身。
取材、記事:株式会社グッドウェイ 藤野 宙志
撮影、編集・制作:同 柴田 潔