2015年8月28日(金)、日本国政府は、グランドプリンスホテル新高輪「飛天」において、女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム「WAW! Tokyo 2015 for ALL(開催概要)」を開催した。(開催結果)
オープニングは、内閣総理大臣 安倍 晋三氏が登壇。実効性のある取組みに向けた女性活躍推進法の紹介、女児と教育分野に今後3年間で420億円以上の支援を実施すること、そして、来年のG7サミット議長国として日本の果たすべき役割と取組みへの意気込みを示した。
WAW!(World Assembly for Women in Tokyo, 略称:WAW! 2015)は、女性を巡る様々な課題について包括的に議論していくことを特徴とし、本年は、女性の社会進出を阻む働き方や男女の役割分担意識の変革を訴えていくべく約40か国、8国際機関から約150名の女性分野で活躍するリーダー等が集結し、議論が行われた。日本政府は、昨年開催された2014年のWAW!でのToDoフォローアップとして「経済における女性の活躍促進」、「グローバルな課題と女性のイニシアティブ」を掲げて取り組んでいる。
今回の WAW! 2015では女性が輝く社会に向けて、働き方改革、男女の役割分担意識、シングルマザー、理系女子、防災、トイレ、企業、教育、平和構築、ODA支援など、様々な立場や世代の女性、男性が共に考え、その実現に向けて公開フォーラムでは基調講演やパネルディスカッションが行われたほか、数多くのテーマについてハイレベル・ラウンドテーブルが行われた。
続いて、エレン・ジョンソン・サーリーフ氏(リベリア大統領)による基調講演が行われた。
また、マリリン・ヒューソン氏(ロッキード・マーチン・コーポレーション会長、社長 兼 最高経営責任者)による基調講演、プムズィレ・ムランボ=ヌクカ氏(UN Women事務局長)による挨拶、そして、クリスティーヌ・ラガルド氏(IMF専務理事)、ニコール・キッドマン氏(UN Women親善大使)によるビデオメッセージが届けられた。
休憩中には、各展示ブースで様々な催しが行われ、日本の文化や国際機関の取組みなどについて紹介された。
パネル・ディスカッション「女児の教育」では、スピーカーとして、ティナ・チェン氏(米大統領夫人首席補佐官)、ルラ・ガーニ氏(アフガニスタン大統領夫人)、イリナ・ボコバ氏(UNESCO事務局長)、安倍 昭恵氏(内閣総理大臣夫人)、マーガレット・ケニヤッタ氏(ケニア大統領夫人)、シェリー・ブレア氏(女性のためのシェリー・ブレア基金創設者/元英首相夫人)が登壇、鎌倉 千秋氏(NHKアナウンサー)がモデレーターを務めた。また、ミシェル・オバマ氏(米大統領夫人)からのビデオメッセージが届けられた。
続いて、日本経済団体連合会 会長 榊原 定征氏による挨拶が行われた。まだ世界では出遅れている日本だが、日本の経済社会全体のために女性活躍を推進している政府に敬意を表すると共に、グローバル戦略に勝ち抜くために欠かせないこの取組みを経営トップがレベルの高い目標を定め着実に実行・前進していくことで、ダイバーシティ実現のための知恵と経験を共有することで加速していきたいとした。 パネル・ディスカッション「女性と経済」では、吉田 晴乃氏(BTジャパン 代表取締役社長)、ヘレン・クラーク氏(UNDP総裁)、リンダ・A・ヒル氏(ハーバード・ビジネス・スクール教授)、フレデリック・ヒレルソン氏(政府男女平等雇用委員会委員、Novare Human Capital 創業者兼社CEO)が登壇、キャシー松井氏(ゴールドマン・サックス証券 副会長)がモデレーターを務めた。
なお、2015年8月29日(土)には、以下のアジェンダでハイレベル・ラウンドテーブルが行われた。
◎女性と経済
- ワークライフ・マネジメント
- 男性と共に変革する
- 困難を抱える女性たち
◎グローバルな課題
- 女児と教育
- 平和構築と女性
- マルチステークホルダー連携による国際協力
◎スペシャル・セッション
- トイレを通じた女性のエンパワーメントの実現
- 自然科学分野と女性
- ダイバーシティとイノベーション実践編
- ユース・テーブル
- アジアにおける女性起業家への支援
- 女性と防災
WAW!2015 の開催に先立ち、およそ1ヶ月ほど遡った 2015年7月26日(日)、国際女性ビジネス会議実行委員会(イー・ウーマン内)は、東京・台場にあるホテル グランパシフィック LE DAIBAにおいて、"Make History"「第20回 国際女性ビジネス会議(レポート)」を開催した。同カンファレンスは、1996年から毎年夏に開催されているビジネス会議で、前向きで向上心あふれる女性、男性が年に一度集まり、ビジネスシーンで活躍していくために必要な知識や技術の習得や、向上心の強い仲間たちと積極的に交流して国際的な視野から刺激を与えあい、サポートしあう機会を提供することを目的に開催しているという。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」 が制定され、厚生労働省による「女性活躍推進法特集ページ」が用意されるなど、2016年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられることになるという。
経営トップのコミットメントに加え、クラウドソーシングをはじめとしたITの活用による新しい働き方の推進のほか、育児をサポートする社会基盤の整備など、少子高齢化が進む日本社会の未来に避けて通れない各種テーマの社会課題解決に向けた取組みとチャレンジの輪が広がっていくことに期待したい。