2015年8月21日(金)、東京金融取引所は、同取引所に上場する「くりっく365」が上場10周年を迎え、「くりっく株365」も同11月に5周年を迎えることに伴い、両商品の市場の軌跡と今後の戦略等を説明するメディア向け説明会を開催した。
(掲載画像は東京金融取引所提供のものを編集)
◎くりっく株365の取引時間の優位性。2014年以降はくりっく365の証拠金預託額が急増し、3,000億円を突破。
冒頭、挨拶に立った東京金融取引所 証拠金営業部長 大房 弘憲氏は、来場の御礼の後、同所に上場するくりっく株365が日経225先物の夜間立会時間(午前3時まで)以降のNYクローズの時間帯もカバー(取引可能)する上場商品で、一日(24時間)の値動きの動向を知る唯一の指標であることを紹介。また、くりっく365全体の証拠金預託額が3,000億円を突破し、スプレッドが狭くなる期待が持てる現行の10倍のロットのくりっく365ラージの上場を予定していることも併せて紹介した。さらに、くりっく株365の預り高や口座数も順調に拡大していると説明した一方、証券口座数と比較した場合はまだまだ成長途上にあることから、投資家に同商品のメリットを理解してもらってさらなる拡大に努めたいと挨拶した。
◎高金利通貨・トルコリラ/円の上場の成果~上場3カ月で豪ドル/円に匹敵する取引シェアを獲得。
続いて、証拠金営業部 証拠金営業グループ長 唐鎌 大介氏は、7月の通貨ペア別取引数量で、5月に上場したばかりのトルコリラ/円の取引数量が45万枚を突破して、人気通貨ペアの豪ドル/円に肉薄して第3位になったことや、店頭FXも含めた市場シェアが既に50%近くに及んでいると紹介。また、同通貨ペアの為替証拠金基準額18,000円に対して、年間のスワップポイント合計額(現行金利を基にしたシミュレーション)は、45,625円に及ぶとして、高金利通貨としてのメリットが取引高拡大の背景にあることをを報道陣に説明した。
◎今後の戦略~くりっく365ラージの上場、取扱会社の拡大、公共施設における金融経済の生涯学習講座など
今後の戦略としては上図(左)の6つが説明された。くりっく365ラージではロットが10倍となり、現行と比べタイトなスプレッドを提供することで、大口取引におけるコスト面の競争力を高めたい意向だ。また、店頭FX業界大手の参入等によるさらなる取扱会社の拡大、公民館やカルチャーセンターなどでの生涯学習講座を通じたプロモーションにより、着実に安心・安全の取引所取引の良さと知名度を浸透させていきたい考えだ。ちなみに、学習講座はさいたま市を皮切りに既に開催がスタートしており、今後も各地で開催予定という。
◎着実に成長するくりっく株365。日経225先物がカバーできていない時間帯(祝日等)で取引できることが強み。
続いてくりっく株365の概要、歩み、戦略が説明される。商品設計として、日経225先物と比べて、レバレッジが利用でき、ほぼ24時間、決済期限で取引できるCFD取引ならではの強みが紹介された。また、今後の戦略としては、特に祝日取引ができるメリットを訴求していくとともに、FX同様、商品ラインアップにくりっく株365を加えて貰うことで、取扱会社拡大の努力を続けていくとした。
◎くりっく株365の祝日取引でシルバーウィークも取引。万一の際のリスクヘッジも可能。
上図(左)は先物や現物との取引時間の比較。海外で経済指標の発表がある祝日でも平日同様に差益狙いの取引ができる。上図(右)では、祝日中に海外で変動があった場合のリスクヘッジ(売りヘッジ)について説明が行われた。
こうして説明会は終了。FXにおいては、長らく1兆円前後で頭打ちであった店頭、くりっく365を合わせたFX業界全体の証拠金預託額も2015年3月末時点で1.4兆円まで拡大。税制改正等により、一時2,000億円を割っていたくりっく365全体の預託額も2014年以降は急回復をみせ、上場して初めて3,000億円の大台に乗せるなど、再び市場規模拡大のチャンスが到来しつつある。ツールの進化によってボラティリティを利用した短期売買が主流の今、トレンドや高金利をうまく利用したインカムゲイン狙いの売買においても、リスク管理と資金管理の重要性をしっかりと投資家に認識させ、万一の事態にも冷静に立ち回れる「守備に強い」投資家教育も併せて実践していくことで、投資家の豊かな明日創りにさらなる貢献ができることを期待したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作:柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )