2013年8月5日(月)19:00~20:00(日本時間)、海外投資専門チャンネル『ワールドインベスターズTV(WITV)』、ナイジェリアの沸騰都市ラゴスから生中継の配信を予定しています。テーマは「越境せよ!THEライブ~ナイジェリア編~ 巨大複合都市エコ・アトランティックシティはいま?!」。
前回の「アブダビ編(インタビュー記事)」に続き、今回もその直前にMCを務めるワールドインベスターズTV代表で総合プロデューサーの石田和靖氏(上部写真右)にナイジェリアや西アフリカ地域の動向などについて話をうかがいました。(インタビュー:グッドウェイ メディアプロモーション事業部 柴田)
<柴田> 石田さん、先月の生放送はアブダビでしたが、今回はナイジェリアですか!今回で5カ国6都市目ですね。今回はなぜまたナイジェリアを選んだのでしょうか?
<石田>まぁ、一言で言うと・・・、自分の興味なのですが(笑) とにかく昔から行ってみたくて見てみたくて。興味が沸点に達しつつも、その現状を伝えているものもなかなかなくて。とにかく自分の目で見たものと、これまで調べた情報とをつじつまを合わせて、それを自分なりの解釈とスパイスで、生放送で伝えてみたいなと。そう思ったわけです。ただこちらもやはり、現地の通信環境にかなり左右されるので、もしも途切れ途切れの配信になってしまったらごめんなさい。今のうちに謝っておきます(笑)
<柴田> それだけ石田さんを惹き付けるナイジェリアという国には、一体何があるんですか?
<石田> ナイジェリアには1億6,000万人の人口がいます。アフリカ大陸54か国中最大の規模で、アフリカの総人口の5分の1がナイジェリアに住むという巨大市場です。世界では第7位の人口規模です。2012年の経済成長率は6.33%、原油輸出額は現在世界9位。いわゆる、原油・天然ガス・鉱物等の輸出と、巨大な人口から生まれる中間購買層の急増で成長している国です。また、米投資銀行ゴールドマン・サックスが命名した、BRICsに続く経済大国予備軍11ヶ国の総称「ネクストイレブン」の一角で、またサブサハラアフリカで最初のOPEC加盟国がナイジェリアです。ここ数年、世界が様々な角度でこの国の評価を高めつつあります。
そして、人口多く抱えるこの国の中間層が急増しているため、国内消費産業も成長しています。米フォーブス誌の2011年世界の長者番付発表ランキングの51位には、ナイジェリアの経営者アリコダンゴーテ(Aliko Dangote)氏(53歳)がランクインしていました。(ちなみに日本一の資産家よりもずっとずっと上です。)彼は、ナイジェリアの砂糖・セメント会社を所有・経営。ブラックアフリカ(暗黒大陸)と呼ばれた西アフリカ地域からも、世界に名だたる大富豪を輩出しています。ナイジェリアの砂糖会社に関しては、広大な大海原サハラ砂漠をも越えて、以前はほとんど交易の無かった、北・西アフリカとの取引もはじまり、砂糖の輸出額が急増しています。
(写真:Aliko Dangote 出所:Forbes)
<柴田> そのナイジェリアがここ最近大きく変化しているというお話を、石田さん熱く語られていましたよね?
<石田> そうですね。成長のテーマが2つあると思います。まずひとつは、「サハラ砂漠間を跨ぐ交易」、もうひとつは他の産油国同様、「脱石油経済の構築に向けた動き」ではないでしょうか?
<柴田> ひとつづつ詳しく説明していただけますか?
<石田> まずひとつめの「サハラ砂漠間を跨ぐ交易」ですが、「サブサハラ」とは、サハラ砂漠以南のアフリカを総称する呼び名です。サハラ砂漠の北と南で、文化・歴史・経済・習慣・宗教・民族・・・など、色々なものが大いに異なります。ざっくりと分けると、「サハラ以北はアラブ人&イスラム教社会」、「サハラ以南はブラックアフリカ&キリスト教社会」。ざっくりですが、、、。
歴史的に、サハラ以北はウマイヤ朝、アッバース朝など、かつてのイスラム帝国が北アフリカの一部を支配していた事もあり、アラブ人&イスラム教社会が形成されていきました。しかし、歴代のイスラム帝国は、地中海を越えることはできても、サハラ砂漠を越えて南下することはできなかった。いわゆる、サハラ砂漠は地中海以上の大海原だったということなんですね。
対してサハラ以南は、大航海時代にポルトガル人のバルトロメウ・ディアスが南アフリカ喜望峰に到達したことからキリスト教文化が南から北へ伝播。また東インド会社が殖民、デイヴィッド・リヴィングストンによって約30年に渡ってサブサハラが探検されたりと、ヨーロッパ人たちの手によって少しずつ認識され開拓され、キリスト教文化が形成されてていく事となりました。そんな背景から、アフリカ大陸はサハラ砂漠でまっぷたつに分断されています。複雑な歴史的背景から、アフリカ大陸はサハラ砂漠でまっぷたつに分断されています。しかし、それがここ最近変わりつつあるのです。グローバリゼーションでアフリカ・サブサハラが変わってるんですね。
まだ計画段階だそうですが・・・、サハラ砂漠を突き抜ける、アルジェリアとナイジェリアをつなぐ高速道路を両国企業が計画中。もしもこれが実現すると、広大なサハラ砂漠で分断されていた、北と西のアフリカの、人的交流・物流・ビジネスなどが活発化されます。「トランス・アフリカン・ハイウェイ」という大陸間を結ぶ高速道路も期待されています。
(写真:Trans-African Highway network 出所:wikipedia)
前述のナイジェリアの砂糖会社は、実はアルジェリアとナイジェリア合弁企業で現在砂糖の輸出額が急増中なんです。砂糖価格の急騰も後押ししていますが、まったく文化の異なる「南北サハラ両方の需要をおさえている」というのも、ダンゴーテ・グループの大きな強みでしょうね。
<柴田> なるほど。もうひとつの、「脱石油経済の構築に向けた動き」というのは?
<石田> 脱石油・経済の多角化を進めている、そんなナイジェリアのひとつの巨大な実験が複合都市「エコ・アトランティックシティー」です。ここはラゴス沖に建設中の山手線サイズの巨大な埋立地なのですが、2015年までに25万人超が居住し15万人超が働くビジネス都市となる予定で、2020年までに西アフリカ最大級の新たな金融センターを構築、GDPで世界20位以内の経済規模へ成長を遂げると予測されています。この巨大プロジェクトは、ラゴス、ナイジェリア、西アフリカ地域の経済的地位を向上させアフリカ最強の金融・ビジネスハブとなることが、ナイジェリア政府の掲げる目標だそうです。成長する西アフリカ地域をビジネスターゲットとした外国企業の集積地となり、西アフリカのドバイに変貌できるかもしれない。また、巨大都市ラゴスの高い失業率・犯罪率を救うかもしれない。これはまさにナイジェリア政府の未来の明暗を分けるプロジェクトです。(写真:Eko Atlantic City 出所:Eko Atlantic City official HP)
<柴田> 山手線サイズの巨大な埋立地・・・?!なんだか想像がつきませんが・・・。そんな大きなものを作って問題は無いのですか?
<石田> もちろん色々な問題もあるようです。現地の新聞をインターネットで見てみると、ラゴス大学デュープ博士によると、山手線サイズの巨大な埋立地は、大西洋の水路プロセスに大きな変化をもたらす可能性もあると発表されています。ギニア湾の反対側、セネガルやカメルーンの海岸に何か大きな影響を与えるのではないか?という研究もあります。
また何しろ、新たに作った埋立地の上に25万人が住み、15万人が働きにやってきます。そのための高層ビルも次から次へと建てていくわけです。これが埋立地としては前代未聞のキャパシティであり、侵食や液状化など、住民の健康や住宅に大きな影響を齎すのではないか?という研究もありますよね。しかしプロジェクトは待ったなしで次から次へと進んでいます。大西洋の水路プロセスに関しては、ナイジェリア国立水路庁(NHA)が、他国への影響が出ないよう、日々プロジェクトの細かなチェックと承認を進めているとのことです。(写真:Eko Atlantic City 出所:Eko Atlantic City official HP)
いずれにしても、現在のラゴスが抱える問題、住宅不足と雇用不足を一気に解決するビッグプロジェクトで、もしも完成すればこれはナイジェリアだけではなく、西アフリカ全体の大きな経済効果と、次なる成長のステージが見えてきます。汚職と犯罪に汚れた国がイノベーションできるチャンスなわけです。本当にこれがうまくいくかどうかを、自分の目で確かめてみたいですね。エコ・アトランティックシティーの開発現場にも実際に行き、プロジェクトマネージャとも会ってきます。その上で、ありのままの生放送をお届けしますので、どうぞお楽しみに!
<柴田> 分かりました。石田さん、8/5の生放送楽しみにしています。ありがとうございました。
<石田> 柴田さん、ありがとうございました!でも、もしも途切れ途切れの配信になってしまったらごめんなさい(笑)
◎ワールドインベスターズTV「越境せよ!THEライブ~ナイジェリア編~」
2013年8月5日(月) 夜7時(日本時間)、ナイジェリア ラゴスから生放送配信!
スマホでも視聴可能、六本木ワールドインベスターズトラベルカフェ店内でも配信。
出演者:石田和靖(WITV総合プロデューサー)、ジョイ・ウゴンマ・アマハ(BROZOM JP-NG CEO)
(編集・制作: 柴田 潔)