「IBM FinTechプログラム」とは、金融とテクノロジーで新たなサービスを生み出すスタートアップ企業や金融サービス・テクノロジー企業、金融機関を支援し、その先のサービス構築を進めることを目的としたプロジェクトであり、その詳細や参加するメリット、活用事例、具体的に必要な作業などを伝えるものだ。なお、当日の司会は、同社 クラウド・ソフトウェア・EcoD アドバイザリーITスペシャリスト 森住 祐介氏が務めた。
同社 執行役員クラウド事業統括担当 小池 裕幸氏は参加者への御礼の言葉を述べると共に、2015年2月から日本に新たなAPIエコノミーの経済圏を作らなければならないという想いでやってきて、こうしてMeetupを開催できたことを嬉しく思っているとし、いろんな会社のいろんな人たちが一緒にこの場からスタートして欲しい、と今後の取り組みへの期待と決意を示した。
同社 クラウド事業統括APIエコノミー担当 エクマン・ラスムス氏はFinTechという分野の発展にはAPIエコノミーは欠かすことが出来ない、と語った。同氏はAPIエコノミーのメリットとして、1.開発を楽に、2.イノベーションを支援、3.マーケットシェアを広げる、4.新たなビジネスを生み出す、という4点を挙げ、金融業界こそがこれらのメリットと最も親和性の高い業界であり、今後はAPIエコノミーという技術をもって、新しいビジネスを生み出すことこそが重要であると語った。
更に同氏はAPIエコノミーを実現するための要素としてテクノロジー・エコシステム・パートナーの3つを挙げた。同社は2015年9月にStrongloop社を買収したことによりテクノロジー面を、更に2015年10月5日に「Open API Initiative」を立ち上げたことにより、エコシステム面の2つについてはほぼ確立出来ており、APIエコノミーの土台部分はほぼ整えた状態だ。最後の要素であるパートナーとして、2015年9月13日にIBMがFinTech参入を発表以来、数多くの金融業界からのパートナーが現れ、同社は今後もさらに増加すると見ている。同社がここまで整えた土台の上に多くのパートナーが加わり、今後どのように活動し、どれだけ拡大するかというところに注目が集まる。
デジタルポスト 代表取締役社長 磯村 康典氏は自社ソフト、デジタルポストについて、当初は独自のAPIを利用していたが、API公開のニーズが多くあり、APIを一般化することで他企業の業務提携が活発化し、より幅広いサービスが提供できるようになった、とAPIエコノミーの成功事例として語った。
ライトニングトーク・パネルディスカッションを通し、メリービズ 代表取締役社長 工藤 博樹氏、PayPal インテグレーションマネージャー 岡村 純一氏(パネルは、HEAD OF PARTNERSHIP & CROSS BOARDER TRANSACTION 野田 陽介氏)、住信SBIネット銀行 FinTech 事業企画部長 吉本 憲文氏、トーマツ ベンチャーサポート アドバイザリーサービス事業部 大平 貴久氏(FinTech担当)、Payward Japan(kraken)日本事業開発部長 三島 一祥氏、日本アイ・ビー・エム クラウド事業統括 クラウド・ソフトウェア事業部 エコシステム・デベロップメント課長 狩野 央道氏の各社がAPIエコノミーに対する考え方や、新しいビジネスモデル等についての考えを述べた。なお、モデレーターは同社 戦略事業開発担当 ディレクター 木付 立思氏が務めた。
その後の懇親会も多くの参加者で賑わい、今後ますます活発化するであろうAPIエコノミー・FinTechへの思いや新しいビジネスモデルのビジョン等活発な意見交換が行われていた。
海外では先行しているAPIエコノミーだが、徐々に基盤が固まっているとはいえ、まだまだ日本では海外と比肩出来るほど一般化はされていないのが現状である。IBMや当日Meetupに来場した参加者だけでなく、本記事を読んでいただいたFinTechに関わる全ての方々が発端となり日本の金融業界に、引いては日本経済にAPIエコノミーという新しい風を吹き込んでいってほしい。
(取材、記事、編集・制作、撮影:GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ)