2015年11月12日(木)~11月13日(金)、全国の地方銀行で構成される「地方銀行 フードセレクション実行委員会」は、東京ビッグサイト 西展示棟 西1・2ホールにおいて「地方銀行 フードセレクション2015」を開催した。本イベントは、主催する有力地方銀行の取引先で、全国に向けた販路の拡大を希望する「食」関連の企業および団体と、地域色が豊かな安全で美味しい食材を求める仕入企業の食品担当バイヤーとの商談の場を提供することを目的に毎年開催されているもので、事業法人や金融機関向けアドバイザリーサービス、コンファレンス事業、金融機関サポート事業、食品や海外支援事業を手掛けるリッキービジネスソリューションが共催した。
初日の午前10時から、開会セレモニーが行われ、イベントや商談を盛り上げようと、ぐんまちゃん、くまモンといったゆるキャラグランプリ歴代チャンピオンを始めとした全国各地のゆるキャラも会場に集結。ステージ前には来賓や協賛する主催行の経営者、役員、社員、出展社スタッフらがずらりと並んでセレモニーが開始され、来賓紹介の後に内閣総理大臣 安倍晋三氏よりの祝電が読み上げられた。
【祝電】内閣総理大臣 安倍晋三氏「地方創生は最重要政策のひとつと位置付けている大きなテーマ。国内外の観光客が地方を訪れることで地域が活性化されることを願っている。」
「第10回目となる開催を心よりお祝いしたい。和食がユネスコの無形文化資産に登録され、今や和食はクールジャパンを牽引する存在となった。日本の食材にも海外からの関心が集まり、高級レストランのシェフもこぞって取り入れている。自分も外遊の際には素晴らしい日本の食品を味わってもらう機会を作っているが、どの国でも大変好評だ。日本の食文化はそれぞれの地方が持つ食文化や歴史、暮らしを背景に彩り豊かに育まれ今日に至っている。地方創生は最重要の政策の一つと位置付けているが、地域の経済を支える地方銀行41行が連携し、それぞれの地域が誇る食文化の魅力を首都圏バイヤーに伝えようとする本イベントは、地域の活力を高めるための大きな役割を果たしている。食と観光は切っても切れない関係にあるが、国内外の観光客が地方を訪れることで地域が活性化されることを願っている。」
【開会挨拶】リッキービジネスソリューション 澁谷 耕一氏「5行で始めた地方銀行 フードセレクションも、今年は過去最高の41行、出展社は585社、614ブースという商談会にまで成長」
続いて開会挨拶に立ったリッキービジネスソリューション 澁谷 耕一氏は、来場や協力・支援への御礼の後、「今回、節目の10回目を迎えた。9年前、地方銀行の取引先である食品メーカーが、食材・商品を首都圏のバイヤーに紹介する取組ができないかと考え、親しくしていた八十二銀行に相談したことが、この商談会を始めるのきっかけとなった。幾つかの地方銀行に企画を提案し、まず静岡銀行、八十二銀行の両頭取から参加の意向をいただき、七十七銀行、群馬銀行、千葉銀行を加えた5行で第1回を開催した。当初102社の出展企業が年を重ねるごとに賛同していただける地方銀行が増え、今年は過去最高の41行、出展社は585社、614ブースという商談会にまで成長することができた。」と挨拶。続けて、「商談会での成約率をあげるために、昨年から始めた個別商談会の拡大や、弊社が開発したシステムを使ってバイヤーが探している食材を出展社に提示して成約に繋げる取組を始めた。さらに未発表の商品を一堂に集め、バイヤーがいち早くチェックできる新商品展示コーナーの設置や交流のための内覧会の開催などの取組を通じて、より多くの成約ができることを期待したい。」と挨拶で語った。
【来賓挨拶①】金融庁 監督局長 遠藤 俊英氏「9月に発表した金融行政方針は、金融機関の向こうにある地域企業の持続的成長が目的」
次に金融庁 監督局長 遠藤 俊英氏による挨拶では、「金融庁は9月に発表した金融行政方針で、地方銀行とどういう議論をしていくのかの目的を明らかにした。金融庁というと往々にして財務の健全性とか円滑な金融仲介機能の発達であるとか、そういうことを目標としていると思われているが、その金融機関の向こうにある地域企業の持続的成長が目的であることを金融行政方針に掲げた。本イベントは、41行もの地方銀行の顧客である企業が出展する(金融行政方針にも沿った)バリューの大きなイベントだ。金融庁も地域企業を応援する地方銀行の活動を支援するべく後援しており、今後の益々の発展を祈念したい。」と挨拶した。
【来賓挨拶②】農林水産省 食料産業局審議官 岩瀬 忠篤氏「ミラノ万博では日本館への来場が228万人を記録、さらに東京オリンピックに向けて日本の日本食・食文化への海外の注目もさらに高まることから、農林水産省としても需要拡大の取組を推進していく。」
来賓挨拶の最後は農林水産省 食料産業局審議官 岩瀬 忠篤氏。岩瀬氏は、「現在政府は地方創生に積極的に取り組んでいる。農林水産省も本年3月に閣議決定された新しい食料、農業、農村基本計画に基づき地域の農林漁業者と食品加工メーカー等が連携して行う6次産業化や農商工連携の取組を積極的に推進している。このためには地域経済を支える地方銀行との連携が必須。既に今回参加している地方銀行の多くで、農林漁業成長産業化ファンドのサブファンドを設立しており、ファンドを活用した6次産業化事業体の取組も着実に増加している。さらに拡大できるよう引き続き協力をお願いしたい。また、本年5月から開催された食をテーマにしたミラノ万博では日本館への来場が228万人を記録、さらに東京オリンピックに向けて日本の食・食文化への注目もさらに高まることから、農林水産省としても需要拡大の取組を推進していく。」と述べて挨拶を締めくくった。
来賓挨拶の後は、フォトセッション。頭取を始めとする主催行の代表者が登壇してカメラに収まった。取引先へ地方の特産品を紹介する機会の提供することで、国内外のバイヤーとの商談成立やインバウンド需要を地域ビジネスに繋げ、取引先の販路を拡大させて地域活性化と地方創生に貢献しようとする主催行代表者の記念撮影シーンだ。
午前11時、いよいよ入場が開始。受付では首都圏を中心に全国から来場した多数のバイヤーが列をなし、次々と展示会場に入場していった。以下、展示会場の様子を写真でお伝えするが、撮影写真からだけでも2日間で1万以上の来場者が訪れた会場の熱気が伝わってくるようだ。
こうして2日間にわたって開催された記念すべき第10回の「地方銀行 フードセレクション2015」は、2日間の延べ来場者数が、1日目5,020名、2日目6,213名と合計で11,233名を記録。また、個別商談数は2日間で610件行われて昨年実績を大幅に上回るなど、盛況のもと閉会を迎えた。国が推進する地方創生というテーマと相まって、フードセレクションの果たす役割と価値が益々増していくことが予想される中、地方銀行を核とした地域一体となった活性化への取組みと、官民一体となった持続的な付加価値創造の実現に向けて、次回2016年の開催がますます盛況となることを心から願いたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : 柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )