日本を代表する金融情報ベンダーQUICKのグループ会社Fanetが運営しているトレダビは、10年以上も続くバーチャル株式投資ゲームの老舗で、これまで延べ45万人以上の個人投資家がゲームに参加している。このトレダビが2014年4月に大幅リニューアルし、楽しみながら継続して株式投資を学べる機能を導入するなどパワーアップして生まれ変わった。
投資家層活性化やリテラシー向上の必要性が叫ばれる昨今、若い世代の利用者が中心のトレダビがどのようにパワーアップしたのか、グッドウェイは2014年4月15日(火)、Fanetを訪れ、取締役の池野 雄人 氏から話を伺った。
無料で遊べる株式投資シミュレーションゲームで、会員登録すれば誰でも簡単に株式投資のシミュレーションゲームに参加できる。元手1,000万円の仮想マネーを定められた期間内にどこまで殖やせるかを競うというもので、前回(期間は3ヶ月間)の大会は、約9,000人の参加者が腕を競った。
銘柄は東証上場銘柄を対象にしており、表示される株価は実際の市場の約20分遅れの株価を使って売買する仕組みで、実戦同様に注文方法も成行、指値、逆指値を使うことができる。もちろんダービーで優秀な成績を収めた参加者に対しては、大会ランキング賞品や週間ランキング賞品が用意されている。
今日は宜しくお願いいたします。まず、株の仮想売買ができるサービスについてですが、以前は一部の証券会社が独自で提供していたこともありましたが、現在では殆どなくなってしまいました。
FX、特に店頭取引はバーチャル取引がかなり一般的ですが、証券の取引所取引の場合は銘柄数も多くシステム回りも含めて金融機関単体での提供はなかなか難しい問題がありますね。弊社以外にも株のバーチャルサイトは2~3ありますが、参加者数的には弊社が最大手のバーチャルサイトと認識しています。さらに弊社のトレダビは利用者の投資力向上に役立つ投資コンテンツであり、投資経験や投資のレベル、目的によってさまざまな使い方ができます。特に初心者にとっては、自分のお金を減らすことなく、売買のコツを勉強することができるので、リアルな株式投資を始める前の練習にぴったりですね。
今回、リニューアルされたトレダビでは、ゲームを継続するモチベーションを高めるためさまざまな工夫が盛り込まれましたそうですね。
はい、1つめはゲーミフィケーション=ゲーム的要素の導入です。たとえば「ログインしてみよう」、「注文してみよう」、「利益を上げてみましょう」というように、株式売買をマスターするために必要ないくつかのミッションが与えられおり、参加者はそのミッションをテレビゲームのようにクリアしていくと別のステージに進むことができます。与えられたミッションを繰り返しているうちに、徐々に株式投資の経験値を引き上げ、ステータス(レベル)を上げていくことができるのです。また、バーチャルサイトは2~3回の利用でやめてしまう利用者が多いので、ゲーム的要素の導入により利用を継続しようとするモチベーションを維持させるとともに、Fanetのビジョンである、投資に対する「ムズカシイ」を「タノシイ」に変えていくことを実現させているのです。
夜間や土日でも取引可能な銘柄やスマホ専用画面も導入されたとか。
はい、二つめとして、今回の目玉ともいえる独自の「トレダビ銘柄」が投資対象銘柄に含まれました。トレダビ銘柄というのは、仮想企業の株式のことで、実在する企業の過去の株価を参考にして、夜間、土日でも平日の立会時間中と同じように株価が動くようにしてあります。平日、仕事が忙しくて、トレダビに参加する時間がない人でも、夜間や土日でも取引できるように考えて導入されたのがトレダビ銘柄なのです。
さらに、いつでもどこでも仮想取引が行えるようにスマートフォン専用画面を用意しました。取引対象に「トレダビ銘柄」も追加しましたので、夜間、土日など、いつでもどこでも株取引の練習を行うことができるようになりました。スマホ対応については、トレダビ利用者は20~30代という若い世代が多いので、大変好評を得ています。
マンガ『インベスターZ』とのコラボレーションによるPR活動は、なかなか面白い取り組みですね。
講談社モーニングで大人気連載中の、進学校を舞台に描かれる“投資”をテーマとしたマンガ『インベスターZ』とコラボレーションし、4月1日より、トレダビ「第1 回インベスターZ 杯」を開催しています。「インベスターZ 特別賞」を設けるほか、特設サイトでは『インベスターZ』第1話の無料試読ができます。『インベスターZ』で株式投資に興味を持った方々に「トレダビ」で簡単に安心な株取引体験していただくことが目的です。
今後のトレダビのサービス拡充の予定についてはいかがでしょうか。
投資教育コンテンツを視野に入れていますが、単なるノウハウの提供とは違った、投資力アップにつながる実技を中心とした学習コンテンツを提供したいと考えています。従来のバーチャルサイトはどちらかといえばプロモーションツールとして提供されていたケースも多かったですが、現在は次の段階に差し掛かっていて、本当の意味で投資家を「育てる」ことができるバーチャルサイトが求められていると感じています。時間をかけて開設した証券口座でいきなり取引を始めて思いがけない損失を出し、「やはり株は難しい」と去ってしまう投資家がどれほど多いか。売買のコツや手法を自分のものにするためには、やはり株式投資に対する知識だけでなく、投資の慣れ(経験)が必要です。自分の大事なお金を減らさずに、株式を売買する機会が増えれば、それに勝ることはなく、また、証券人口が高齢化し、若い世代の流入の必要性が叫ばれている今だからこそ、「育てる」をコンセプトとしたトレダビが果たさなければならない役割とミッションは多くあるのだと考えています。
最後に、投資家に向けてのメッセージをお願いします。
トレダビ初心者はもちろん、投資経験値の高い人にとっても、自分の投資アイデアを試す場として活用できます。自分の投資アイデアが本当にマーケットで通用するのかどうかを、事前にシミュレーションすることができるからですが、このようにトレダビは、投資経験や目的によって初心者だけでなく株式投資の経験が豊かな投資家にとっても、さまざまな活用方法があります。
今回リニューアルした新たなトレダビを活用し、バーチャルな環境で銘柄を選び株式投資を繰り返し練習することで、利益を上げたり損をする経験を積むことができます。実際の株式投資とほぼ同じ取引を試してみることで、自分の投資知識のレベルチェックや投資に対する考え方の見直しもできます。
トレダビは相場に負けない賢い投資家になるための第一歩ですので、本を読んだり、セミナーに参加するだけでなく、ぜひトレダビで実践に役立つ知識を身につけ、株式投資を始めてみましょう。(了)
( 取材、インタビュー、撮影、編集・制作 柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )