金融&IT業界の情報サイト
 
 
 
取材レポート >> 記事詳細

2024/03/12

【FinGATE(平和不動産)】FinGATE Campus 第9回「金融 × UX」を開催!

| by:ウェブ管理者

 2024年2月29日(木)、平和不動産は東京の金融街「日本橋兜町・茅場町」に 位置する金融インキュベーション施設「FinGATE KAYABA」にて、「FinGATE Campus#09 金融 × UX」を開催した。FinGATEは、2022年10月から平和不動産が始動したコミュニティで、起業家や金融スタートアップなどに関心のある方々を対象としたセミナーや交流会を定期的に開催している。今回のセミナーでは、金融におけるUX(ユーザーエクスペリエンス)について理解を深める貴重な場となった。



 司会は杉山 愛(Yoii 人事)が務め、オープニングでは、中島 優人(平和不動産)よりFinGATEの概要や今後の展開について説明が行われた。その後、司会により本日のプログラムが基調講演とパネルディスカッションの2部構成であることが紹介された。



 前半は松薗 美帆氏(メルペイ デザインチーム / UXリサーチャー)による基調講演が行われた。講演のタイトルは『FintechとUXリサーチ』で、メルペイでの経験と知識を基に、フィンテックとUXリサーチの重要性や、専門としている文化人類学の視点からビジネスやデザインへの応用についても触れた。

 前段ではUXリサーチとは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の各側面を明らかにし、改善するための調査活動であり、UXの5つの段階的要素(表層、骨格、構造、要件、戦略)やタイムスパンからユーザーのニーズを深く理解することを目的としていることを伝えた。さらに、文化人類学の視点をUXリサーチにどのように応用できるかについても説明し、古代のヤップ島で使用された石のお金と現代の暗号資産を比較し、信用システムの機能に関して言及することで、新しい視点やアイデアをビジネス分野にもたらす可能性がある例などを紹介した。最後に、松薗氏はリサーチが単にAかBのどちらが正しいかを調べるだけでなく、新しい洞察やアイデアを発見するための重要なツールであることを強調し、メルカリのeKYCプロセスのリサーチ例を挙げ、定期的なリサーチが大きな失敗を避け、ユーザーの信頼を得るために有効であることを説明した。UXリサーチがビジネス戦略の策定やユーザーエクスペリエンスの向上に貢献する具体例を交えながらの語りは、聴衆に大きな影響を与え、講演終了後の松薗氏の著書「はじめてのUXリサーチ」のプレゼント応募には61名もが集まった。



 後半のパネルディスカッション「金融 × UX」では、松薗氏に加えて、広野 萌氏(フォルテ 代表取締役、デザインシップ 代表理事、デジタル庁 サービスデザインユニット)、中井 沙織氏(三井住友銀行 デジタル戦略部 部長代理)、羽賀 大輝氏(テコテック 証券フロンティア事業部 部長)が登壇し、藤井 達人氏(みずほフィナンシャルグループ デジタル企画部 執行理事 デジタル企画部 部長、日本ブロックチェーン協会 理事)がモデレーターを務めた。

 このディスカッションでは、金融サービスにおけるデザインの力が顧客体験をどのように変革し得るかについて深掘りされ、特に技術進化に伴い、AIの統合がUXに与える影響や、金融と非金融の境界が曖昧になる中でのサービス提供方法が議論された。

 各パネリストは、金融サービスの設計と提供におけるデザインの重要性について、自身の経験や見解を共有した。松薗氏は、AI技術の普及により多くのサービスが似た解決策にたどり着く可能性を指摘しつつ、これをチャンスと捉え、人間の深い観察に基づく独自のサービス提供が差別化の鍵となると述べた。広野氏はデザインを通じて複雑な業界をシンプルにする価値を強調し、ユーザーとAIとのインタラクティブな対話がデザインへも影響することを指摘した。中井氏は非金融サービスとの融合による新たな価値創出の可能性に言及し、羽賀氏はユーザー中心の開発哲学と、ゲームアプリから金融アプリへの技術応用について話した。

 これらの議論からは、金融サービス業界におけるデザインの力が顧客体験をどのように変革できるか、そしてAI技術の統合が提供するカスタマイズされたサービスの可能性に関する深い洞察が得られた。また、デザインとテクノロジーの融合が生み出す直感的でユーザーフレンドリーな金融サービスの未来についても考察された。このディスカッションは、金融サービスが直面するUXの課題と機会を浮き彫りにし、デザインが業界を形成し、顧客体験を向上させ得る方法を示した。これ以外にもブランディングやコーポレートカラーについてもの有益な議論もあり、各パネリストの洞察は、金融サービス業界におけるUXの未来に向けた明確な道筋を提供し、聴衆に大きなインスピレーションを与えた。



 全てのプログラムが終了し、西井 健二朗氏(セブン銀行 執行役員 金融戦略推進部担当 兼 セブン・ラボ部長)による来賓挨拶と乾杯が行われた。

 その後、登壇者と参加者はネットワーキングを通じて交流した。この交流の時間は、参加者にとって有意義な情報交換の機会であり、新たなつながりや知見を共有する場となった。



 FinGATE Campusは引き続きセミナーを活発に開催する予定だ。次回のセミナーは、2024年4月での開催を予定している。



15:37 | 取材:金融・IT業界向け

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.