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2015/08/03

【日本CFA協会】ガバナンスの確立した資産運用立国を目指して、「ジャパン・インベストメント・カンファレンス2015」一橋講堂において開催!

| by:ウェブ管理者


 2015年7月21日(火)、日本CFA協会は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科との共催で、一橋講堂において「ジャパン・インベストメント・カンファレンス2015」を開催した。

 日本CFA協会は、
CFA Institute(CFA協会)と協力して、投資に関する教育プログラムを実施し、投資運用に関する専門知識の普及を目指している。CFA協会は、世界各地のメンバー・ソサエティと共同で、知見に富んだ様々なイベントを開催しており、本イベントもそのうちの一つである。企業、機関投資家、年金などそれぞれの立場から、国内外の専門家が世界市場の動向を踏まえたガバナンスに関する見解を共有するイベントとなった。



 会場となった一橋講堂は、国際会議や学会、講演会、シンポジウムなどに利用できる施設で、大学関係者のみならず、一般の人も利用することができる。当日は快晴となり、終日にわたるプログラムには275名の参加者が訪れた。



 はじめに開会の辞として、日本CFA協会 会長 瀬尾 周一氏が挨拶を行った。来場者やスポンサーへのお礼の言葉と
日本CFA協会の概要を紹介した後、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードなど、近年の日本における規制環境の著しい変化は世界からも高く評価されている一方、本当に企業の資本効率が高められ、日本経済の持続的な成長を実現できるかどうかはまだわからないとし、この規制環境の変化を考えていく上で、インベストメントチェーン全体で問題に取り組むことと、ガバナンスの意味を正確に理解していることが重要であることを伝えた。




 セッション1「機関投資家のコーポレート・ガバナンス」では、基調講演として、北川氏(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)が「機関投資家自体のコーポレートガバナンスを考える~スチュワードシップコード原則7を満たすために~」と題して講演した。北川氏はスチュワードシップコードにおける、機関投資家の責務の遂行には、機関投資家自身のガバナンスの体制が整っていなければならないとし、CEOの適任者や任期、取締役会の構成、社外取締役の役割など基本的視点のほか、投資家と企業の対話について述べた。

 パネルディスカッションでは、パネリストとして井口氏(ニッセイアセットマネジメント チーフ・コーポレート・ガバナンス・オフィサー 株式運用部担当部長)、稲垣氏(第一生命保険 常務執行役員 経営企画部長)、岩間氏(日本投資顧問業協会会長)、川本氏(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)が登壇。モデレーターは北川氏が務めた。それぞれの異なる立場から、機関投資家や金融機関自体のガバナンスはどうあるべきか、実効性の高い指名委員会運営や報酬委員会の在り方などについて私見を披露した。



 続いて、スポンサー講演として、「運用会社におけるエンゲージメントの実践」と題して豊田 一弘氏(シュローダー・インベストメント・マネジメント 日本小型株式ファンドマネジャー兼アナリスト)、「ESGとクオリティ・ファクター」と題してフランクリン・クスマン氏(トムソン・ロイター・マーケッツ 市場開発部シニアマネージャー)が登壇した。



 午前の部の終了後、隣接されたブース展示会場では、ランチビュッフェが用意され、食事をとりながらのネットワーキングが行われた。



 セッション2「世界のコーポレートガバナンス」では、カンファレンス基調講演として、スティーン氏(コペンハーゲン・ビジネススクール教授)が「International Corporate Governance –Challenge for Japan?」と題して講演した。コーポレートガバナンスの歩んできた歴史を解説し、「日本でコーポレートガバナンスをもっと推進させたいのであれば、もっと真剣に価値創造とは何か、株主だけではなく、社員、その他のステークホルダーにとってどういう意味を持つかを考えていかなければならない。」と述べた。



 セッション3「企業にとってのガバナンスの課題」では、セッション基調講演として花崎氏(一橋大学大学院商学研究科教授)が「コーポレートガバナンス論の系譜と『社会的ガバナンス』の重要性」と題して講演を行い、企業組織におけるエージェンシー問題への対応や株主による経営者のモニタリングなどに触れ、コーポレート・ガバナンスの原点と展望について解説した。

 その後、コーヒーブレイクを挟み、高山氏(ジェイ・ユーラス・アイアール マネージングディレクター)が「コーポレートガバナンス・コードと日本企業の課題」と題して、自身の経験による、実務の観点から、現在の日本企業が直面する課題について、また、海外の機関投資家の観点から、国内企業の状況、海外の企業の状況などの現実をふまえながら、現在の日本企業の状況やコーポレートガバナンスコード導入によって起こった様々な変化について考察した。

 パネルディスカッションでは、高山氏のほか、パネリストとして新たに安藤氏(オムロン 執行役員常務 グローバルIR・コーポレートコミュニケーション 本部長)、スティーン氏が登壇。花崎氏がモデレーターを務め、『伊藤レポート』及びガバナンスに関する二つのコードで何が変わったか内外の専門家や関係者ので議論した。

 続いて、スポンサー講演として、「ニッセイアセットのESG運用」と題して藤井 智朗氏(ニッセイアセットマネジメント 株式運用部部長)が登壇した。



 セッション4「確定給付年金ガバナンスに大きな影響を与える資産配分の代替的な考え方」では、菅原氏(文教大学大学院 国際学研究科 教授)が「リスクファクターアプローチの我が国への導入可能性」として講演を行った。年金ガバナンスと資産配分戦略の密接な関係について、また日本と欧米の公的年金と資産残高と配分の違いや日本の年金運用の現状を解説した。



 セッション5「確定拠出年金の年金ガバナンスとは何か」では、「ガバナンスはエクセレントな年金経営の条件」と題して、三木氏(年金シニアプラン総合研究機構特任研究員)が基調講演を行い、パネルディスカッションでは川北氏(京都大学大学院経営管理研究部教授)、大江氏(オフィス・リベルタス 代表取締役)、中川氏(帝国データバンク 人事部人事課課長補佐)、田川氏(企業年金連絡協議会会長)が登壇。DC(確定拠出年金)に眠る6割の現預金がリスクポートフォリオにシフトされるためにはどうしたらよいのか。DB(確定給付年金)とDCのハイブリッドとしての『協働運用型DC制度』ライフプラン教育の重要性について議論した。

 その後、閉会の辞では、チャン氏CFA Institute(CFA協会))が今回のイベントに協力して頂いたボランティアと協賛、参加者へ御礼を述べ、ガバナンスはこれまでを是正していくメカニズムであり、私達全員で力の限り良いコーポレートガバナンスを導入し、信頼を回復して、金融市場の効率を高めていきたいと締め括った。



  カンファレンス後はレセプションが催され、講師と参加者が一堂に会しネットワーキングや意見交換が行われた。

(以下、スポンサーブースの様子。全スポンサー企業の一覧はこちらをどうぞ



 同協会は、CFA Instituteと協調して教育プログラムを実施し、投資運用に関する専門知識の普及を目指している。そのため、倫理規範や職業行為基準の促進、CFA プログラムや継続教育を通じた専門能力の向上、国内外での情報や意見の交換、CFA 資格および投資業界に係る認知度の向上に努めており、イベントも定期的に行っている。興味のある方はぜひこちらを参考にどうぞ。

(取材、撮影、記事、編集・制作: 村上 遥 @株式会社グッドウェイ)



09:38 | 取材:金融・IT業界向け

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