2015年12月30日(水)、日本取引所グループの東京証券取引所は、東証Arrows オープンプラットホームにおいて恒例の大納会を開催した。
本年は、日本を代表する世界的指揮者で、2015年9月より、オーストリア、ウィーンで108年の歴史をもつトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任した佐渡 裕がゲストに招かれ、挨拶と共に打鐘を行って1年の取引を締め括った。
大納会に先立ち、東証地下一階の会見室で報道陣向け取材説明会が行われ、取材方法の説明の他、抽選により各社の撮影場所が決定された。その後、東証Arrows オープンプラットホームに移動し、参列者が入場するまで報道の準備が進められる。
式典開始前には、オープンプラットホームの大型モニターに、トーンキュンストラー管弦楽団の演奏会の様子が映し出され、迫力ある演奏の模様が参列者に披露された。108年の歴史の中で日本人としてはもちろん、アジア人としても初の音楽監督就任だという。
その後、式典開始直前に2015年に新規上場した企業の経営者ら代表が、1社ごとに場内に紹介されながら満場の拍手を浴びつつエスカレータを順に降り、参列者の列に加わる。上場の喜びを改めて噛み締める瞬間といえる。
挨拶:日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 清田 瞭氏
「IPOの件数が、本年は98社にまで拡大。また本年をガバナンス元年とし、来年からもガバナンスの向上を通して投資家の信頼が日本企業に集まることを期待したい」
式典冒頭の挨拶では清田氏から今年一年の振り返りがあり、8月にあったチャイナショックの影響により、後半期に低迷はしたものの、年間を通してみると、5月に日経平均株価が15年ぶりに2万円台になったことをはじめ、8月10日には時価総額がバブル期を超えるなど一年間を通して総じて堅調であるとした。
また、マーケットにおいてはIPO銘柄の中に市場の参加者から不信をもたれた企業があり、そのことに対しては今後しっかりと対策を取っていくとしながらも、リーマン・ショックの影響により2009年には19社まで落ち込んでいたIPOの件数が、本年は98社にまで増え、個人投資家からもIPO銘柄への投資が非常に積極的であったと語った。
さらにトピックスとして、6月1日から施行された、金融庁と合同のコーポレートガバナンスコードについて触れられ、社外取締役を採用している上場企業が90%を超え、攻めのガバナンスが日本の上場企業経営者に浸透していっている2015年をガバナンス元年とし、来年からもガバナンスの向上を通して投資家の信頼が日本企業に集まることを期待したいと述べて挨拶を締め括った。
挨拶:ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督 佐渡 裕氏「豊かな経済は芸術を育てる」
続いてのゲスト挨拶では佐渡氏が、「豊かな経済は芸術を育てる」とし、音楽の意義について様々な人が今この時を一緒に生きていること、それが喜びであることの証を作ることであると述べ、音楽の力で世界中の人が一つのことに向かっていけるようにしたいと挨拶した。
挨拶の後、佐渡氏が株価の上昇が続くことを祈念して鐘を鳴らした。打鐘は5回行われるが、この回数は穀物が豊かに実る「五穀豊穣」に由来するといわれており、参列者全員で新年の株式市場のさらなる発展と活況を願った。
打鐘が行われた後、東京証券取引所 常務取締役 土本 清幸氏の発声による手締めが行われ、無事大納会は終了した。
大納会を迎えた30日の東京株式市場では、日経平均株価の終値が前日比51円48銭高の19,033円71銭となり、大納会の終値としては4年連続の上昇で、1年の上昇幅は1,582円94銭となった。
年前半は、小幅の調整を挟みながらも上昇し、6月には2000年4月につけた高値20,833円を約15年ぶりに更新。しかし、8月後半からは、中国市場の暴落を背景に世界同時株安に見舞われ、一時、17,000円台割れまで売り込まれたものの、その後は反発に転じ、12月初めには一時的に20,000円台を回復。その後調整しながら19,000円台で1年の取引を終えた。
2015年12月に歴史的な転換点ともなった米国の利上げがあったなか、新興国(中国・東南アジア・中南米)の景気停滞の反面で、2016年は先進国(日米欧)の景気が堅調に推移するとの見方があるなかで、来る新年においても引き続き堅調な株価を維持し、日本経済の成長を根底から支える役割を果たすことを願いたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ)