2013年11月25日(月)、東京証券取引所(以下、「東証」)は「株式市場=“Social Good!”(社会的な意義)」をコンテストテーマに開催中の株式市場プロモーションコンテスト「ソーシャルかぶコン2013」の最終審査会と表彰式を東証オープンプラットフォームで開催した。
このコンテストは、東証として初めての取り組みで、特に若い世代に株式市場をより身近に感じてもらえるよう、株式に関連するスマートフォンアプリやプロモーションコンテンツなどの一般募集、応募、審査、表彰といった一連の流れと、それに関わる広報活動を通じて、株式の理解と認知を高めようとする取組みの一環。
東証はこれまでに、慶應義塾大学(当日の様子)、東京工業大学(当日の様子)、フェリス女学院女子大学、東洋大学のほか、多数の大学キャンパスで学生向けにソーシャルかぶコンの紹介や講演を行ってきた。
若い世代の株式への認知の低さや無関心は個人投資家の裾野拡大を妨げる大きな課題となっている中、コンテストへの応募数は3部門で合わせて122作品(アプリ開発部門:25作品、アプリアイデア企画部門:66作品、プロモーション部門:31作品)に上り、最終審査会では一次審査を通過した3部門17作品のファイナリストが最終プレゼンテーションに臨み、グランプリを競い合った。
冒頭の、東証 常務取締役 土本 清幸 氏による挨拶では、初の試みの中で協力企業各社とのプロモーションにより多数の20~30代を中心とした若い力を持つ幅広い職種からの応募者が集まったことへの感謝、そしてアイデアの実用化に向けた協力を惜しまないことなどに触れ、当日のプレゼンテーションへの期待を示した。
審査員には、村上 臣 氏(ヤフー執行役員 CMO)、水口 哲也 氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)特任教授/ゲームクリエイター)、伴野 智樹 氏(リクルートホールディングス メディアテクノロジーラボ MashupAwards運営事務局長)、西野 嘉之 氏(メディネットグローバル代表 取締役CEO)、池澤 あやか 氏(東宝芸能)、中野 真 氏(ドワンゴ ニコニコ動画運営長)に、東証 常務取締役 土本 清幸 氏が加わり計7名により、証券市場への理解度・表現力・企画力・テーマへの合致度等を総合的に評価し、決定された。
ちなみに作品のテーマは「株式市場、上場会社に関するものであれば何でも可」となっており、特に「株式市場や上場企業の魅力を投資未経験の方々へ発信する作品」や、「株式市場が生活の一部に感じられるような生活者目線の作品」、または「既存の株式投資アプリケーションの枠に収まらないような斬新な切り口の作品」といった作品を歓迎するとしている。
各賞の受賞者は以下の通り。
◎プロモーション部門
・グランプリ 『DREAMS KABU TRUE!!』(作者:高山 氏、仲村 氏、山本 氏)
・準グランプリ 『株コン』(作者:菊地 氏、小林 氏、新井 氏、土屋 氏)
・特別賞 『株に触れた』(作者:金村 氏)
◎アプリ開発部門
・グランプリ 『おおきなかぶ』(作者:小泉 氏)
・準グランプリ 『取引高可視化ツールStock Pillar』(作者:加茂 氏)
◎アプリアイデア企画部門
・グランプリ 『社長カメラ』(作者:瀬尾 氏)
・準グランプリ 『DREAM TREADER』(作者:鎌田 氏)
◎ユーレット賞
・『PositionStrategy』(ffab0)
・『株メン・株ジョの就活物語』(産業能率大学 小野田哲弥ゼミ)
◎ストックボイス賞
・『歩み値データ可視化ツール Stock Star』(作者:加茂 氏)
最後の総評(東証「ソーシャルかぶコン」プロデューサー菊地 和宏 氏)、および挨拶(土本 氏)では、これまでに無い取組みを通じて、今後の新しい東証の姿を示していくこと、そして、今回生まれたアイデアなどは東証自身のこれからのプログラムにも活用していくことなど、今後の展望が語られた。
その後、東証内にあるカフェテリアに会場を移し、審査員を交えての懇親会が行われ、当日の発表会を振り返りながら、その取組みの経緯や今後への想いなど、3分間という限られた短いプレゼンの中では伝えられなかった話に花が咲いた。
なお、当日の最終審査会と表彰式の様子は、TV東京「ワールドビジネスサテライト」、「NHK World」でも放映され、メディア関係者も多数訪れるなど、成功のもと幕を閉じた。
(取材を終えて)
東証がNTTデータ研究所に調査委託し、2013年7月17日に公表した個人投資家層の裾野拡大に関する調査レポートでは、「“暮らし目線と身近さ”を感じる情報発信で、女性の投資参加促進がカギ」とされており、また「新聞やTVで報道をされていても、日本人の半分以上が実は株式のことをよく知らない」、「個人投資家の裾野は広がっておらず、個人投資家の売買が増えたのは、市況が良くなったことで既存の株式投資家の売買頻度があがったためであると考えられる。」といった内容のレポートが報告されている。
特に「“資産形成世代”である30-40代の女性の認知度が低い」が課題とされており、それらを取り込んで、株式投資の裾野を拡大していくためには、「資産運用に関する知識や預金の低利回りに関する危機感の啓蒙といった“暮らし”の目線からの情報提供」、そして「一般投資家の体験談等、興味・関心が持てる“身近感がある”情報発信」が重要であるとしている。
東証では昨年度から展開している「+YOUニッポン応援 全国キャラバン」や東証アカデミーのほか、東証で随時開催している各種セミナーなどを通じて、幅広い投資家層・一般層に向けて様々な普及活動を行っている。今回のソーシャルかぶコンの活動を通じて飛び出したユニークなアイデアと企業が結びつき、新たなサービスが創出されることにより、来る2014年が、新しい投資家層による株式市場への興味・関心が一層高まる年になることを期待したい。
◎「ソーシャルかぶコン2013」参加型アプリコンテスト「ハッカソン」開催レポート
◎「ソーシャルかぶコン2013」、グッドウェイ内特設ページ
(取材、撮影、記事: 藤野 宙志 / 編集・制作: 柴田 潔)