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2024/06/21

【SAS Institute Japan】保険業界向けインタラクティブセッション「新しい保険ビジネス創造に向けた事例と成功要因」を開催!

| by:ウェブ管理者

 2024年5月31日(金)、SAS Institute Japanは、「保険業界向けインタラクティブセッション 新しい保険ビジネス創造に向けた事例と成功要因」 を六本木ヒルズ森タワー11階のSAS Institute Japan本社で開催した。

開会挨拶
 

 保険業界においても顧客ニーズは多様化、高度化している。たとえば、生保ではウェルビーイングのような包括的な顧客ニーズを充足することが求められている。そして、顧客ニーズを充足するためのエコシステムが台頭し、保険商品がエコシステムに組み込まれ、顧客の生活の中でフリクションレスに保険や関連サービスが提供されるようになっている。今、保険会社はどのように新しい商品・サービスを開発し、マーケティングを実行すべきなのか。本イベントでは、保険業界で実際に多数のイノベーションやCX変革に関わっている有識者をゲストに迎え、今取り組むべき課題やその実際を議論していく(SAS Institute Japan カスタマアドバイザリ事業本部 原島 淳氏)。

セッション1保険業界におけるビジネスアーキテクチャの転換


 ず、福島 渉氏(デロイトトーマツコンサルティング 執行役員 保険インダストリリーダー)が「保険業界におけるビジネスアーキテクチャの転換」について話した。

 「これまで世界の保険業界において、ランキング上位企業の顔触れは大きく変わってこなかった。100年以上の歴史を持つ保険会社がランキング上位を占めている。それは従来の保険会社はバリューチェーンの各機能を内製化しており、それぞれの知見や能力が競争優位性の源泉であり、また参入障壁になっていたからだ。大手企業は、潤沢な資本を背景とした価格形成力を持ち、販売網を張り巡らせ、そして高い引受・査定能力により収益を維持してきた。
しかし、今日ではバリューチェーン各機能の分立と共有化が進んだことで、この構造が崩れ始めている。保険会社のビジネスモデルは多様化しており、また水平横断的機能提供を狙うプラットフォーマーが出現している。各保険会社は自らの強みを活かしながら、フィナンシャル&ヘルスマネジメント型、経済活動のあらゆるリスクをカバーするフルスペック型、ドメインフォーカス型、もしくはプダクトファクトリー型といったビジネスモデルを選択していくことになると予測する。また、機能特化/集約型プラットフォーマーとして、データアナリティクス、カスタマーエンゲージメント、キャピタル&インベストマネジメント、ITテクノロジーのプラットフォーマーが出現してくるだろう。たとえば、資産運用プラットフォームBlackRock、”Technology as a Service”のOneConnectといった企業はそれに当たる。保険会社はこういったプラットフォーマーを活用することも重要だ。

 このような潮流を受けて、保険業界のビジネスアーキテクチャは変化している。これまでは、単一の商品を効率的に販売する”代理店モデル”が主流だった。しかし、これからは商品・サービスとチャネルをターゲット顧客に応じて最適な形で組み立てていくことが重要だろう。前述のような機能プラットフォーマーが提供する”モジュール化”された機能を自社の商品・サービスやチャネルと組み合わせることで新しいビジネスモデルを定義し、多数の顧客セグメントに効率よく価値提供することも可能だ。たとえば、よく知られるエンビデッド保険や、シンガポールIncomeのSNACKの革新的なサービスもその一例だ。

 今日の保険業界ではスピーディーなイノベーションが強く求められている。イノベーションを加速させるには、モジュール化された機能を組み合わせることで、商品・サービスをスピーディーにプロデュースする能力が重要と言える。これからの保険会社に求められるのは、ブランド価値とビジネスケースの仮説構築力と、それをもとに商品・サービスをアジャイルで構築できる新しいテクノロジー基盤、そこで仮説検証を高速で廻せる業務プロセスである。今日の保険会社には、商品・サービス開発、マーケティング、テクノロジー、そして全体のガバナンスの各領域で、”モジュール”を活用したスピーディーな競争優位性の創造が求められている。」

セッション2三井住友海上におけるCXマーケティングとデータ活用の取り組みについて

 では、保険会社では実際にどのように商品・サービスを開発し、マーケティングを行っているのだろうか。続いて、佐藤 祐規氏(三井住友海上 CXマーケティング戦略部 データマーケティングチーム長)が「三井住友海上におけるCXマーケティングとデータ活用の取り組みについて」と題して、実際の取組みを紹介した。

 「言うまでも無く、保険業界を取り巻く環境は大きく変化した。お客さまが自ら必要な情報を選択する時代では、事故補償時だけの関係性から脱却しなければならない。CXマーケティング戦略部では、お客様ロイヤルティ大手損保No.1を目指している。このためには、顧客接点を増強すること、そして、データ分析やリサーチを通してお客様の解像度を高め、お客さまごとのコミュニケーションを実施することで、新規獲得手法を高度化し、またお客さまの期待を超える体験価値を提供することが重要だ。そして、そのためにはデータ分析やデータ活用が欠かせない。

 当社ではマーケティング領域のデータ活用を強化しているが、いくつかの取組事例を紹介する。まず、ドラレコ付き自動車保険のクリエイティブ開発の事例だ。従来、クリエイティブ開発は商品所管部門が担当しており、モノの視点(機能的価値)からの価値訴求が多かった。しかし、実際にお客さまへの訴求を行っている代理店への調査を行ってみると、お客さまは加入後の体験とそれによる安心に価値を感じていることがわかった。そういった体験価値の視点からプロトタイプを作成し、ターゲット層にアンケート調査を行うことでブラッシュアップを行い、より評価の高いクリエイティブを作成することができた。

 この事例のように、消費者調査を行なうことで顧客のニーズや求められる価値を理解した上で、商品・サービス開発を進めている。お客さまに選んでいただくためには、良い商品を開発するだけでなく、当社の認知度や好感度、さらに契約体験や事故体験も重要な要因となる。それぞれの体験や認知が契約にどの程度寄与するのかも分析を行っている。

 こういった分析を通してマーケティングミックスを最適化するために、弊社ではCDP(Customer Data Platform)を構築し、お客様起点で属性、契約、行動、調査、事故の情報を統合、活用している。この情報は代理店にも還元していて、代理店向け営業支援システムにNBA(Next Best Action)情報を配信している。

 今後の方向性として、保険会社はプロダクト中心の発想から抜け出し、カスタマージャーニーにおける価値を中心に考える必要がある。顧客との接触頻度を拡大すべきだが、無意味な拡大は逆効果で、適度な距離感を持って、有用なコミュニケーションを行っていくことが重要だ。そのためにはお客さまの文脈を押さえた(”ジョブ理論”にもとづく)コミュニケーションが欠かせない。現在、ChatGPTを活用しながら、ジョブ理論にもとづくクリエイティブ開発を進めているが、こういった施策を通してCX向上を目指したい。保険会社の商品・サービスは今後拡大していくだろうが、差別化の最大のポイントはCXだと考えている。」

セッション3
保険イノベーションをサポートする新しいSASテクノロジと事例

 こういった保険業界のイノベーションやCX高度化に求められるテクノロジーとは何か。原島 淳氏(SAS Institute Japan カスタマアドバイザリ事業本部)が「保険イノベーションをサポートする新しいSAS」と題して、SASが提供するテクノロジーと海外でのその活用事例を話した。

 「保険会社は今、新しい商品・サービスとそのマーケティングモデルをスピーディーに創造していくことが求められている。競争力の源泉としてデータとAIを活用し、また新しいマーケットプレイスやテクノロジー企業が提供する”モジュール”との連携も重要だ。

 SASはデータから価値実現のプロセスをEnd-to-Endでサポートし、アジャイルにも対応している。また、あらゆるシステム/モジュールとリアルタイムで統合可能なオープン性を持つ。SASを活用することで、データ・AIを活用した判断をカスタマージャーニーに組み込み、顧客体験を最適化できる。たとえば、外部ウェブサイトの顧客行動をリアルタイムで捕捉・分析し、最適な保険・サービスを最適な保険料で提案。申込があれば本人確認を行い、自動引受査定を行い、スピーディーに契約のご案内を行う、といった形で、業務横断のデータ・AI活用が可能だ

 保険業界においてもSASを活用した事例は拡大している。その中から、(1)新しい商品・サービスをスピーディーに創造している事例、(2)優れたCXを提供する顧客接点を構築している事例、(3)業務横断の高度なデータ・AI活用を実施している事例を紹介したい。

 まず、(1)海外ダイレクト保険プラットフォーマーでは、多数の外部パートナーに対し、APIを通して豊富な商品とSASで開発されたカスタマーエンゲージメントプラットフォームを”モジュール”として提供する。このプラットフォームはスケーラブルで、かつスピーディーに拡張できる点が特徴であり、多数の外部パートナー向けのエンベデッドの保険の提供や、金融・小売といった多数の販売パートナーとの提携によるマーケティングモデルの展開をサポートしている。次に、(2)カナダSun Lifeでは、デジタルアドバイザ”Ella”がアマゾンエコーなどのインターフェースを通して顧客のライフスタイルをサポートしながら、各種データにもとづいて健康や資産運用のための様々なナッジを提供している。(3)海外保険会社の中小企業向け保険のアンダーライティングでは、引受リスクだけでなく、保険+予防予後サービスを含むトータルの顧客LTVを加味して最適な提案(NBO=Next Best Offer)とパーソナルプライシングを判断している。営業が商談中にSFAから条件を入力すると、リアルタイムで競争力ある提案を提供する。

 SASはこういったソリューションをSaaSの“モジュール”として提供しているので、イノベーションや業務高度化のニーズに応じて検討いただければ幸いである。」



 また、「インタラクティブセッション」と銘打たれたとおり、それぞれのプレゼンテーションの中では参加者とのディスカッションにも多くの時間が充てられた。ここでは参加者からの質問にスピーカーが答えるだけではなく、スピーカーからの逆質問も交えつつ、参加者自身が直面しているチャレンジや将来を見据えて保険会社が考え・取り組むべきこと、などが双方向で語り合われた。その中では、「お客さまは保険会社を通して何を得たいと考えているのか、ジョブ理論的にどのようなお困りごとを解決したいのか」といった本質的で深いテーマにも踏み込んでいた。

懇親会 

 
セミナー後は、登壇者や参加者同士での有用な情報交換が行われた。

 保険業界は各顧客用にカスタマイズされたサービスの提供が求められつつあり、顧客が描いた以上の満足の提供を目指すためにも顧客からの声やデータ・AIを活用することが今まで以上に必要となっている。顧客満足度を向上させるには企業の社員がデータやAIを活用しやすい環境であることが重要な昨今、様々な業界にデータ活用システムを提供してきたSASならではの保険業界への更なるシステム提供に注目したい。

 SAS Institute Japanの詳細についてはこちら

(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )






10:18 | 取材:金融・IT業界向け

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