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2017/02/23

【エフピーウーマン】「NISAで投信投資」のポイントをおさらいしよう!【今回の回答者】エフピーウーマン代表取締役 大竹のり子さん(ネット証券4社協同プロジェクト)

| by:ウェブ管理者


 2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。すでに活用している人がいる一方で、NISA口座は開いたものの使っていない人や口座自体をまだ開設していない人もいるのでは? 今回は、NISAを利用して投資信託に投資する際に知っておきたいポイントについて、FPの大竹のり子さんにうかがいました。

■Q1:NISAで投資信託に投資した場合のメリットは?


■A1:値上がり益と分配金にかかる税金がゼロになります。


 まず、基本中の基本ですが、NISA(少額投資非課税制度)はあくまで「制度」です。初心者の方の中には、NISAを「有利な金融商品」のようにとらえていて、「NISAで買えば利益が出る」というイメージを持っている方もいます。しかし、NISAは言うなれば単なる「器」に過ぎません。大切なのは、NISAという器の中でどんな商品を買うのかということです。

 ところで、NISAとはどのような制度なのでしょうか。概要を表にまとめましたが、一言で説明すると「年間120万円までの新規投資については、株式や投資信託で得た売却益・配当金・分配金がすべて非課税になる」というものです。

●NISAの概要


 NISA口座で120万円分の投信を購入して、2年後に30%上がって156万円になったとします。NISAで得た利益は非課税になるので、36万円(156万円-120万円)の利益をそのまま受け取ることができます。一方、課税口座で同じ取引をした場合は、所得税+住民税+復興特別所得税(=20.315%)がかかってくるため、実際に受け取れる金額は28万6866円とNISAに比べて約7万3000円も少なくなります。

 利益が非課税になる――これがNISAの唯一にして最大のメリットです。投資信託であれば、売却益と分配金が非課税になります。逆に言えば、利益を出さないことにはNISAにはメリットはありません。そこで、最初に言ったように「どんな商品を買うのか」が重要になってきます。利益が期待できる商品を、利益の出やすい方法で買うというのがポイントです。

■Q2:NISAで投信に上手に投資する方法はありますか?

■A2:安定的な利益を狙うなら、平均購入単価を下げやすい積立投資がおすすめです。


 NISAで購入できる金融商品には、投資信託(公社債投資信託は対象外)のほか、日本株(ETFやREIT、ETNも含む)や外国株があります(取り扱う商品は金融機関によって異なります)。NISAで、日本株や外国株に投資してももちろん構いません。ただ、投資信託には株式にはない重要なポイントがあります。

 それは、積立投資ができるということです。積立の最低額やそもそも積立を扱っているかどうかは金融機関ごとに異なりますが、月額500円あるいは1000円といった少額から投信の積立ができるネット証券もあります。

 一方、株式の場合には、限られた証券会社を除いて、積立投資はできないのです。と言っても、ここでお伝えしたいことは、単に少ない金額から投資ができるということではありません。 繰り返しになりますが、NISAは利益が出てこそ意味のある制度です。特に、投資初心者の方であれば、いかに安定的に利益を出すかということが大切になっていきます。せっかくNISAで投資を始めても、損をするばかりでは投資がイヤになってしまうかもしれないからです。その点、積立投資であれば、一般的に平均購入単価を下げやすいため、利益が出やすいということが言えます。その点が、NISAで投資をする上での投資信託の優位性と言えるでしょう。

 ちなみに、毎月一定額を積立投資することで平均購入単価が下がる仕組みは「ドルコスト平均法」と呼ばれています。積立投資では、価格が安いときには多く購入し、高いときには少ない口数を購入するため、長い間続けていると同じ口数を毎月買い続けたときに比べて平均購入単価を低く抑えることができるのです。


 ただし、常に「ドルコスト平均法」が効いて、平均購入単価が下がるわけではありません。最初に買ったときがいちばん安くて、そこから右肩上がりに基準価額が上がり続けた場合は、最初にまとめてドーンと買ったほうが利益が大きくなります。とは言え、多くの金融商品は通常上がったり下がったりを繰り返すものなので、かなりの確率でドルコスト平均法は有効だと言ってよいでしょう。




■Q3:初心者がNISAで投信を買うなら、まず何を買えばいい?


■A3:「バランス型ファンド」なら1本で分散投資ができて、リバランスで非課税枠を使うこともありません。


 リスクを抑えて安定的な利益を出すためには、分散投資が重要です。Q2で説明した積立投資は「時間の分散」ですが、それ以外に「資産の分散」も図っておきましょう。たとえば、国内と海外の株と債券という4つの資産に分散して投資すると、値動きのリスクを低減することができます。

 その場合、各資産に投資する投信をバラバラに購入することもできますが、初心者の方が自分で資産配分を考えて個別に投信を買っていくのはハードルが高いかもしれません。であれば、1本の投信の中でさまざまな資産に分散投資するバランス型ファンドを選んでもよいでしょう。

 …と、ここまではNISAに限った話ではありません。ただNISAの場合、バランス型ファンドを利用すると、リバランスで非課税投資枠を使ってしまうのを避けられるというメリットがあります。

 NISAでは、一度使ってしまったその年の非課税投資枠は再利用できません。そのため、増えすぎた資産を売却することでリバランスをすると、売却した分の非課税枠は使えなくなってしまいます。もちろん、非課税投資枠に余裕があれば、少ない資産に追加投資するという方法もあります。また、複数の投信をそれぞれ積立で買っていれば、積立の額を調整することでリバランスをすることもできます。ただ、初心者の方にとってはそれもなかなか大変ではないでしょうか。

 バランス型ファンドなら、ファンドの内部でリバランスをしてくれるので、自分でリバランスをする必要がなく、非課税投資枠に影響を及ぼすこともありません。

■Q4:NISAで毎月分配型の投信を買うのはダメ?

■A4:目的に合っていればOK。ただし、特別分配金ではNISAのメリットなし!


 NISAであるかどうかに関わらず、毎月分配金を出すタイプの投資信託は運用効率が下がってしまうため、資産形成が目的で投信を購入する若い世代の人にはおすすめできません。また、分配金を再投資する場合でも、非課税投資枠をその分使ってしまうので、やはり毎月分配型を選ばないほうがよいと言えるでしょう。

 一方、リタイア層の方が、毎月の分配金を生活費の足しにしたり、お小遣いとして活用したいという目的で毎月分配型投信を選ぶのは、「ナシ」ではないと思います。NISAなら分配金が非課税になり、受け取る金額が増えるので十分メリットはあるでしょう。

 ただし、NISAで毎月分配型投信を利用する際には、分配金がどこから出ているのかをしっかり見ておくことが重要です。分配金には、利益から支払われる「普通分配金」と、元本の払い戻しにあたる「特別分配金」の2種類があります。後者の場合は、自分が投資したお金の払い戻しに過ぎないためそもそも非課税。NISAで投資しているメリットがなくなってしまうからです。

●NISAでの分配金受取イメージ

■Q5:NISAで買った投資信託は、いつ売却すればいい?

■A5:利益目標を決めておいて、達成したら売却するのも1つの手です。


 NISAの非課税期間は、投資した年から5年間。1回に限ってロールオーバー(次の非課税期間に引き継ぐこと)も可能ですが、それでも非課税期間は最長10年間です。今後、制度が見直される可能性はありますが、現状のNISAでは「老後資金を作るために長期で持ち続ける」ということはできません。

 そこで、ある程度目標となる利益を決めておいて、それを達成したら1回売却するというのが1つの方法です。

 とはいえ、積立をしている場合は、前述のとおり、ある程度の期間続けないとドルコスト平均法が効いてきません。積立投資であれば、始めたばかりですぐ売ってしまうのでなく3、4年は投資を続けて、そこから利益確定のタイミングを考えるというやり方でよいかもしれません。

 また、Q3でも説明したとおり、NISAでは一度使ったその年の非課税投資枠は再利用できません。買ってちょっと値上がりしたらすぐに利益確定して…を繰り返していると、非課税投資枠がどんどん減っていくので注意しましょう。

●非課税枠は再利用不可!

■Q6:ジュニアNISAで投信投資を行なう際に、特に気を付けるべき点はありますか?

■A6:18歳までは原則お金を引き出すことができません。


 NISAは20歳以上でなければ口座を開設できませんが、2016年からは0歳から口座開設ができるジュニアNISAがスタートしました。年齢以外にも、非課税投資枠が年間80万円であることや金融機関を変更できないことなど、いくつかの点で通常のNISAとは内容が異なります。その中で最も大きな違いは、ジュニアNISAの場合は18歳までは払い出しができないという点です。

 流動性という意味ではデメリットになるので、「非課税枠が増えたからとにかく使おう」ではなく、何の目的で投資するのかをよく考える必要があるでしょう。主な目的としては、①教育資金作り、②祖父母から贈与された資金の使い道、③子供の金融経済教育の一環などが考えられます。たとえば③であれば、環境や新エネルギーに投資するテーマ型のファンドを選ぶことで、子供が社会のさまざまな問題に興味を持つきっかけになるかもしれません。

【まとめ】

 投資のリスクを恐れるあまり、「最初の一歩」が踏み出せない初心者の方は少なくありません。その一方で、「このままでは将来の教育資金や老後資金が足りなくなる」といった、投資のリスク以上に大きなリスクをそのまま放置していることもよくあります。もちろん、資産運用にはリスクは付きものです。ただ、どちらが本質的なリスクかと言えば、「人生に必要なお金が足りない」リスクのほうではないでしょうか。
NISAは長い投資生活のスタートを切るには、よい制度だと思います。積立投資や分散投資を取り入れることでなるべくリスクを抑えて、安定的に利益を出すことを目指しましょう。


(取材・記事:肥後 紀子 / 撮影:柴田 潔 / 編集・制作:グッドウェイメディアプロモーション事業部)

(オリジナル記事掲載元:ネット証券4社共同プログラム「資産倍増プロジェクト」ネットで投信を買う!





17:11 | 写真:投資家向け




 

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