◎日時:7月6日(水)17:00~18:00
◎場所:マネーパートナーズ六本木一丁目本社 応接室にて
【著者】
奥山泰全(おくやま・たいぜん)
1971年三重県津市生まれ。慶應義塾大学商学部卒、マーケティング専攻。
証券会社を経て、2006年8月より株式会社マネーパートナーズ代表取締役社長に就任。赤字経営のマネーパートナーズを、就任からわずか1年で上場させる。
個人投資家時代に、投資で数億円を稼いだ「伝説の相場師」。
主な著書に「株式投資入門の入門」(東洋経済新報社)、「TOP TRADERS 2004」(共著 すばる舎)がある。
【インタビュアー】
藤野宙志(ふじの・ひろし)
1971年京都府福知山市生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、機械学科専攻。
ネット証券、証券取引所、ITベンダーを経て、2010年6月より株式会社グッドウェイ代表取締役社長に就任。
金融サービス&ITソリューションの総合情報ポータルサイトを運営している。
(藤野)本日は『崖っぷち投資家 ボコられ経営塾』(ダイヤモンド社)を2011年7月4日(月)に発売された著者である株式会社マネーパートナーズ代表取締役を務める奥山泰全(おくやま・たいぜん)社長にお話しをお伺いします。本日はよろしくお願いします。
(奥山)こちらこそ、よろしくお願いします。
(藤野)今回のテーマは投資と経営。小説形式で誰でも楽しみながら気軽に読める本に仕上がっていますね。本書を出されたきっかけを教えていただけますか?
(奥山)出版社のダイヤモンド社より、「もしドラ」の実話版を書いてみないかとのお話を頂いたことがきっかけです。2ヶ月ほどで書き上げるつもりが、6ヶ月かかりました。
(藤野)「崖っぷち投資家ボコられ経営塾」、特に”ボコられ”という言葉、おもしろいタイトルですね。
(奥山)タイトルは、半年ぐらいすったもんだしました。「もし…」だと、そのままで堅苦しいので。底流にはマイケル・ポーターの『競争の戦略』を置きながらの内容になっています。イラストレーターには漫画チックなものを希望として伝えましたが、萌え系は避けていただきました。(笑)
(藤野)なるほど、堅苦しい他の本とは違って学生から主婦まで幅広い層に気軽に触れてもらえる仕上がりになっていますね。
(奥山)小説の舞台となるハニーパートナーズに当社の実話を再現し、そこで繰り広げられる人間ドラマを通じてラーニングスキルを身につけると共に、まだFXをやったことの無い人に少しでもわかってもらいたい、そして、FX会社の中にあるお客様への想い、普段はなかなか直接伝えることができない部分を本書を通じて伝えたいと思い書きました。また、社員から見てどういう経営者が良いか、上から目線ではなく、あくまでも投資家、社員の目線で書き上げました。
(藤野)これもご縁ですが、私自身が過去に御社のシステム担当営業として関わらせて頂いた身として、また現在経営者の端くれとして取り組むようになった身として、とても興味深く共感したり気づかされたりする点も多くあり、小説として楽しみながら投資と経営学を学べる内容でした。社長川瀬アヤカにボコられながらも理解しようと努力し成長していく駄目投資家ワタナベイチローに読者自身が自分を重ね、読み進めていく中で自然と、投資の心構え、FXの仕組み、FX会社の実情、裏では必死に泥臭く真面目に取り組んでいる様子などがよくわかりました。
(奥山)お客様には負けて欲しくない。投資がうまくいかない人、ご自身で自己啓発に取組み頑張っている人を支援してあげたい。当社が単なるオンラインブローカーではなく、社名の一部にもあるように資産運用のパートナーを目指していることを少しでも多くの方に知っていただきたいですね。
(藤野)どんな人に、どんな視点で読んでいただきたいですか?
(奥山)先ずは、投資は怖いもの、ろくなもんじゃない、と思っている方ですね。身体と汗をかかずに稼ぐことをネガティブに捉える声が日本には多くあります。株の失敗から始まり、資産運用の考え方そのものができていない投資家も多い。一方、資産運用は欧米では当たり前の考え方となっており、年齢を重ねいつか働くことが困難になった日を迎えてもFXを初めとする投資・資産運用によって収入が得られる仕組みを構築するスキルを学ぶ機会に恵まれています。日本の中のそんなネガティブな印象を払拭したい。小難しいことは他の本に任せ、基本をきちんと理解いただき、一人立ちするきっかけとなれば嬉しいですね。
(藤野)奥山社長ご自身が個人投資家として「伝説の相場師」であったことも、そのような投資のルール、トレードの道理、プリンシパルを決定して取り組んでいたことが勝利の法則となっていたわけですね。
(奥山)我々は個人投資家を尊敬しています。ゆえに嘘はつきたくない。スリッページしない、させない。これは会社としてのポリシーであり正しい姿勢を示す意思表明です。実はこの姿勢を貫き通すことは経営者にとってとても重く大きな決断が必要です。ただこの滑らないということに真面目に取り組んでいるということ、そして投資家の皆さまに投資の楽しさとポイントを知っていただくことで、フェアな環境でお客様と当社が一緒に大きくなる、それが本気であるということを伝えていきたいと考えています。
(藤野)クールで理想的な社長アヤカ、スパッと決断し、ことごとくそれが当たる、意思のブレない社長。このような社長の姿は、奥山社長ご自身が過去にあった死ぬほどの辛い状況を知り尽くした経験が根底にあるのでしょうか?
(奥山)いえいえ、本書のアヤカは本当の自分以上に理想的な社長として描いています。たとえば、上場に向けた幹事証券会社が上場廃止になるかもしれないという最悪な危機的状況の中でも、幹事証券会社を信じて応援の意味をこめて景気づけにケーキを送ったのは実話。しかし、小説の中のアヤカのスマートな対応とはうらはら、実際にはハラハラ悶々としていました。まあ、最後はじたばたしても始まらないと腹をくくりましたが。(笑)
(藤野)ムリだと思ったら何もできない。可能性を一つでも探し当てて、信じて一点突破、ですね。
(奥山)ベランダに手をかけて死のうと思ったことは実は3回あります。もちろんそのような状況に合わないにこしたことは無いですが。しかし、正直今の人は弱い。すぐにやめてしまう、くじけてしまう、もっと頑張らなくていいのか? と感じることが多いです。先ずやってみて、トライアンドエラーがあって、だからこそ目的に到達したときにやりがいを感じることが出来て面白いはず。頑張った分だけスキルアップできる。自分の器なりに精一杯やってみなければ始まらない。そう言う自分も過去は失敗だらけの人生、それでも今は何とか社長をやっています。
(藤野)本書の中ではキャッシュバックやレバレッジなどの行き過ぎた競争や模倣を批判し、他社に追従せず自社の色を打ち出していくことを重視している姿勢が読み取れました。
(奥山)まだ詳しくお話できませんが、現在も新たな実需サービスの準備を進めています。一方、既に開始している外貨紙幣受取サービスはとても好評をいただいてており、リーズナブルな両替手数料のメリットを知って新たに口座を開設してご利用される方が多くいらっしゃいます。従来の1万ドルを100円で買い80円となり20円分損したというFX投資の考え方とは違い、海外に出ればいつでも1万ドルとして利用できるという考え方や使い方、これからも新しい利用価値を生み出し広げていきたいと思います。
(藤野)少し前までは考えられなかったようなサービスがますます身近なものとなっていきますね。楽しみにしています。
それでは、最後に読者の方にひと言お願いします。
(奥山)利大損小、資産運用として正しい投資手法、原理原則を見つけだしてもらいたい。そのためにも、安定的な資産運用、リスク/リターン、投資のスタイルを確立できるよう当社のサービスを通じて掴んでいただけたらと思います。そして、スキャルピングのような博打的な取引でも資産運用を続けられるという錯覚や、自分なりに投資格言を持ち頭では基本をわかっていながらも実践できていない多くの方々が、本書に登場するアヤカにボコられながらも成長していくワタナベを通じて学び取ってもらえたらとても嬉しいですね。
(藤野)はい、私もいろいろ勉強させていただきます。ところで、エピローグでワタナベは再び「伝説の相場師」となる道へと進んでいきましたね。
(奥山)まだいつかはわかりませんが、将来は、私自身も再び個人投資家に戻りたいと考えています。そのときには、自分が資産運用するなら迷わずマネーパートナーズで取引すると胸を張って言えるようなそんな会社であり続けられるよう、まだまだ経営者として全力で取り組んでいきたいと思っています。
(藤野)頑張ってください。今日はありがとうございました。
(奥山)こちらこそ、ありがとうございました。
(インタビュアー/構成:藤野宙志)