カンファレンスの主な対象者はカード事業者、決済代行事業者、金融機関、その他金融関係企業、小売・流通事業者。急速に拡大するキャッシュレス市場とともに、注目を集めるフィンテックにおいて、決済の分野ではさまざまなビジネスが登場しつつあり、キャッシュレスが事実上の“国策”となった今、決済ビジネスのさらなる成長に向けて講演やパネルディスカッションが行われた。なお、用意された350名の定員はその日のうちにすぐに上限に到達したという。
冒頭に、主催者である来田 武則氏(インフキュリオン・グループ 取締役 兼 カード・ウェーブ 代表取締役)が登壇。参加者へのお礼の言葉とともに開催の狙いについて説明。ユーザー視点で再設計された決済をインフラとして活用した多様なプレイヤーの登場や参入により、決済業界の変化を捉えることが難しくなっているとし、業界が見やすくなるセミナーになることを狙いとしているとした。
続いて、協賛を務める安達 雅彦氏(TIS 専務 執行役員)が登壇。この1年でマーケットの動きは加速し、パラダイムシフトが起きているとし、技術や行政のスピードも速まっており、的確に捉えていく必要性について強調した。
基調講演「改正銀行法・オープンAPIとFinTech、決済高度化への取り組み」では、神田 潤一氏(金融庁 総務企画局 企画課 信用制度参事官室 企画官)が登壇。フィンテックの進展に向けた取組みや法制度の整備、オープンAPIやブロックチェーンのほか、英国・シンガポールとのフィンテックに係る協力枠組みなどについて解説した。
テーマ講演①「FinTechと決済の多様化、Visa デジタル・ソリューション」では、外山 正志氏(ビザ・ワールドワイド・ジャパン 取締役 営業本部長)が登壇。
テーマ講演②「PayPalのグローバルビジネスと日本市場での展開」では、瓶子 昌泰氏(PayPal Pte.Ltd. 東京支部 PARTNERSHIP & SALES ENABLEMENT DIRECTOR)が登壇。
PAYCIERGE 2.0 カンファレンス「決済API群を活用したビジネスモデルチェンジ」では、舘 康二氏(TIS ペイメントソリューション事業部 ペイメントソリューション企画部 部長)が登壇。
なお、講演の合間には何度か休憩が設けられ、参加者はコーヒーや用意されたクッキーを片手に、歓談のひと時を過ごした。
最後のパネルディスカッション「APIが変える決済サービス」では、パネリストとして、荻原 充彦氏(SPIKE / エムウォレット設立準備 代表取締役 CEO)、八巻 渉氏(カンム 代表取締役社長)、鷹取 真一氏(Kyash 代表取締役 CEO)が登壇、岩崎 純氏(カード・ウェーブ 編集長)がモデレーターを務めた。
過去のパネルでは、VISA、MasterCard、JCBからスピーカーを迎えていたが、今回はフィンテックベンチャーからスピーカーを迎え、どういうことを考え、どのようなことをしようとしているのか、それぞれの自己紹介・サービス紹介に続き、創業のスピードや差別化、収益源のポイント、ベンチャーならではの課題や障壁、あるべき姿と将来像など、私見が披露された。
大きな投資を前提とせず、また、決済をこれまで通りの決済手段としてのみで捉えず、マーケティング、ブランディング、データ分析、ユーザー課題の解決といった起点から、いかに動機を刺激していけばよいか。業種や業態を超えた多様なプレイヤーの登場と参入による新たなサービスの登場に期待したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )