2017年9月22日、銀行API活用企業9社は合同で、東京・大手町のFINOLABで、記者向け勉強会「APIでこれから何が変わるのか?」を開催、ファシリテーターを一般社団法人Fintech協会が務めた。
改正銀行法が公布され、全国の銀行や信用金庫、カード会社などでAPI開放の動きが高まっている。今回、オープンAPIに取り組んでいる金融機関・スタートアップ各社が集まり、今後、オープン API により日本の金融サービスはどのようになっていくか、各社の取り組みを紹介する会を開催した。
当日は進行を務める真田 紀子氏(インフキュリオン・グループ 広報・IR 部)が会の趣旨と進行について説明。また、会場の後方に各社がミニブースを設け、個別にサービスの紹介や質問にも答えることを説明した。
セッション①「APIとは何か?-メガバンク各行の取り組み」
最初のセッションではまず、丸山 弘毅氏(Fintech協会 代表理事、インフキュリオン・グループ 代表取締役)がモデレーターとして全銀協の資料、政府の未来投資戦略2017の資料等をもとに「APIとは何か?―メガバンクの取り組み」について解説。
大久保 光伸氏(みずほフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション部 シニアデジタルストラテジスト 兼 Blue Lab CTO)は、API公開・外部企業との接続の状況、FINOLABにAPIの評価環境を持っており、複数のFinTech企業と実証実験を開始していること、将来的なAPIエコシステム、研究中のIoT決済システムなどについて紹介した。
平手 佑季氏(三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部 オープンイノベーショングループ 部長代理)は、ブロックチェーン、AI、IoTなど新しい事業化を進めることがグループ内でのミッションであることを紹介。APIについてはそのコアとなる技術要素でかなり早い時期から取り組んで来ていること、今後の取り組みなどを紹介した。
セッション②「APIで実現する未来の金融サービス」
次のセッションでは、神田 潤一氏(マネーフォワード 社長付 渉外・事業開発責任者)をモデレーターとして、パネラーとして吉本 憲文氏(住信 SBI ネット銀行 FinTech事業企画部長)、田村 栄仁氏(ネストエッグ 代表取締役社長)、 木村 康宏氏 (freee 執行役員 社会インフラ企画部長)、マーク マクダッド氏(マネーツリー 取締役)の4氏が参加して展開された。
神田氏は自己紹介の後、各社のAPI活用の取り組み状況のプレゼンテーションの最初として、マネーフォワードの個人向けと企業向けの2つのサービスラインを紹介。マザーズ上場も控えている(2017年9月29日に上場)とした。
吉本 憲文氏は、住信 SBI ネット銀行について銀行業に取り組むベンチャー企業だと紹介。APIについては参照系・更新系双方について国内初の公開を行ったと述べ、外部とのAPI接続に積極的に取り組んでいることを紹介した。
田村 栄仁氏はネストエッグについて更新系APIを使って自分の口座から貯金用の口座に資金を移動させることで自動預金のアプリを実現していると述べ、歩数に合わせて預金を行うユニークな機能も紹介した。
木村 康宏氏は中小企業・個人向けの会計ソフトについて、請求書をスマホで撮影して銀行APIを使って口座振り込みされる機能を紹介した。
マーク マクダッド氏はAPIについて「道路のようにいろんなところに出口があって、プラットフォームというものの、APIでつなぎあっているのが現状。」と述べた。
その後、APIを普及させるためのネックについて、個人情報保護をどのように行うか、納税にAPIを使用するにはどうすべきかなどの最新課題についての議論が繰り広げられた。
銀行やフィンテックスタートアップ企業によるオープンAPI公開の推進に向けた取り組みが進む中、オープンAPIのその本質は、単なる情報提供やシステムの開放だけではなく、API相互連携によるイノベーションの創出にある。今回の会は、フィンテックのなかで重要な技術要素であるAPIについて3メガバンクの担当者はじめ、先端フィンテック企業の担当者が勢揃いして解説した極めて有意義な会であった。