2018年1月4日(木)、日本取引所グループ(東京証券取引所)は新春恒例の大発会を東証アローズ オープンプラットフォームで開催した。
今年の式典では昨年同様に副総理兼財務・金融担当大臣 麻生 太郎氏が来賓として招かれて挨拶を行ったほか、日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 清田 瞭氏が年頭挨拶で新年の抱負を述べた。打鐘の後は、艶やかな晴れ着姿の女性や市場関係者、一般参列者全員による手締めが行われ、「戌笑う」年の取引活況や景気回復を祈願した。
午前7時30分から、地下1階の会見室で取材に訪れた報道陣向け説明会&撮影場所抽選会が行われた後、式典が行われる東証アローズ オープンプラットフォームへ移動して報道の準備が進められる。
式典の開始時間が迫ると、一般来場者、証券市場関係者、晴れ着の女性の順に会場に入場し、大発会の開始を待った。
【式典開始前】「日本取引所グループの1年の歩み」に加え、大阪取引所の大発会・大株締めの様子もライブ映像で紹介
式典開始前に会場後方の大型液晶モニターに、日本取引所グループの1年の歩みが映し出され、各月ごとのトピックスが映像で紹介された。また、東京証券取引所に先駆けて行われた大阪取引所の大発会の様子もライブ映像で紹介され、「打~ちまひょ」の掛け声で始まる大株締め(だいかぶじめ)による手締めがモニターに映し出された。拍子木を使う大株締めは独特の節回しで祝い事や祭事の際に行われ、大阪で開設された米穀市場の売買成立時に行われていた「手打ち」を発祥としているという。
【挨拶】日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 清田 瞭氏「コーポレートガバナンスの「形式から実質への深化」に引き続き注力して、更なる「企業価値の向上」をサポート。「戌笑う」2018年の日本のマーケットの見通しは明るいものになると確信している。」
清田氏は挨拶で大納会同様に、2017年の株価の動きや盛況だった売買、活況だったIPOの状況を振り返った後、取引所のシステム基盤を確固たるものとするため、新しいセカンダリデータセンタを、プライマリデータセンタを置いている関東圏からより遠く離れた関西圏に設置し、広域災害にも対応できる体制を設けることを決めたと語り、フィンテックに関しても、ブロックチェーンの実証実験や、売買審査業務へのAIの試験的導入などに本年も積極的に取り組んでいくと述べた。
また、日本企業の持続的な成長を確実なものとするため、コーポレートガバナンス・コードの策定や、JPX日経インデックス400の開発など多面的な取組みを継続し、日本経済の持続的な成長に貢献できるよう、「コーポレートガバナンスの形式から実質への深化」に引き続き注力して、更なる「企業価値の向上」をサポートしていくと述べた。
最後に、「今年は戌年であり、相場の格言によれば「戌笑う」といって、とても縁起のいい年だと期待している。今後も、企業の収益力を決定づける環境が大きく変わらない限りは、日本のマーケットの見通しは明るいものになると確信している。東証と大証の統合によりJPXが誕生して丸5年となったが、この間の温かいご支援に感謝すると共に、本年もよろしくご指導頂きたい。」と語って挨拶とした。
【挨拶】副総理兼財務・金融担当大臣 麻生 太郎氏「積立NISA、コーポレートガバナンスによる企業価値向上、企業の持続的な成長のための金融庁と東京証券取引所の有識者会議などにより、貯蓄から資産(形成)への流れが進むことを心から期待」
麻生氏は挨拶で、「安倍内閣が発足して5年目。アベノミクスを続けた結果、名目GDPは549兆円、企業収益は75兆円と過去最高の水準に達し、有効求人倍率も1.52と過去最高となった。賃金のベア(ベースアップ)についても4年連続で達成し、雇用・所得の環境は大きく改善。また、株価についても約25年ぶりの高値となったが、歴代内閣の在任期間中の株価の上昇率を調べてみると、佐藤大臣が3.07倍と第1位、次が中曽根大臣が2.87倍で、現在の安倍内閣は2.23倍を示している。経済の好循環が来ており、政府としては経済の成長軌道を確かなものにし、間違いなく持続的な経済成長を実現していくために、生産革命・人づくりを車の両輪として、少子高齢化を克服するべく取り組みを進めていく」と実績をアピールしながら力強く今後の政策について語った。
続いて、金融面でも様々な取り組みを進めているとして、1月から積み立てNISAがはじまることやコーポレートガバナンスによる企業価値向上、企業の持続的な成長のための金融庁と東京証券取引所の有識者会議の開催、中長期的な投資家と企業の
対話を促進するためのガイダンス作り、コーポレートガバナンスコードの改定などにより、貯蓄から資産(形成)への流れが進むことを心から期待していると述べた。
最後に、「フィンテックの進展など金融を取り巻く環境には構造的な変化がみられるとして、高速取引に対する新たな制度の策定や利用者の利便の向上を通じて、金融の健全な発展に繋げていければ」と語って挨拶を終えた。
挨拶の後、麻生氏と晴れ着の女性により、取引の活況と市場繁栄、景気回復への願いを込めて打鐘が行われた。
最後は東京証券取引所 取締役常務執行役員 岩永 守幸氏の発声による手締で無事式典は終了した。
大発会の東京株式市場は大きく買い優勢でスタートし、寄り付きの日経平均株価は急反発。会場から大きな拍手と歓声が上がる。
結局、4日の東京株式市場の日経平均株価はその後も買い注文が膨らんで大幅高となり、大納会の終値と比べ741円39銭高の2万3506円33銭で取引を終え、92年1月以来、約26年ぶりの高値水準となった。米国の利上げ、秋の中間選挙、北朝鮮問題などの不透明要因もあるなかで、好調な企業業績の見通しを背景に堅調な相場推移を予想する向きも多い2018年。「戌笑う」の株式相場格言の通り、多くの投資家に笑顔がもたらされ、資産形成の機運が加速される1年となることを期待したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ)