国内初の『MT5(Meta Trader5)』採用を発表した日産センチュリー証券へ直撃インタビュー!
自動売買(システム売買)の浸透を背景にMT4を個人投資家向けに提供する金融機関が拡大する中、日産センチュリー証券は次期トレードシステムに国内金融機関として初となる『MT5』の採用を発表した。
2012年7月18日(水)、グッドウェイは日本橋蛎殻町にある同社を訪れ、採用の背景と狙い、今後の取り組みについて取材した。(取材応対:クライアントサービス部長 東 芳明 氏、マーケティング部 齋藤 善樹 氏)
MT4の後継版であるMT5は、MT4と違って「板」があるのが違いのひとつで、これは取引所上場商品(取材時点の取扱ライアンナップ=国内商品先物、大証FX、日経225、海外商品先物)を扱う弊社にとって大きな魅力でした。
また、導入や維持費用といったコスト面、様々な市場にダイレクトに繋げられるというMT4には無い優れた拡張性、スマートフォン対応の早さなどもMT5採用の決め手になりました。
東証、大証、東工取、東穀取の他、CMEといった国内外の商品がひとつのプラットフォーム上で裁量取引や自動売買もできるという、デリバティブ商品に強みを持ち、かつ今後も自動売買を促進したい弊社のキラーツールとしてふさわしいプラットフォームと判断し、採用を決めました。
おそらくリリースについては「大証FX」⇒「日経225」の順になる予定で、最初の大証FX対応版のリリースは9月後半~10月頃になるかと思います。当面はお客様の利便性を考慮し、現行の大証FX、日経225フロントシステムと平行してMT5を提供する予定ですが、最終的には各商品のフロントシステムをMT5に一本化したいと考えています。ただ、お客様の中にはMT5だけのサービスに不安を覚える方もいらっしゃる可能性がありますので、そういったお客様用にMT5と同期したWEBトレーディングシステムも先々用意していくつもりです。
また、スマートフォン対応についても、iPhone版、Android版のMT5を提供していきたいと考えています。
サービス開始後のMT5 EA(Expert Advisor)の取り扱いについては、別途、専用の情報サイトを用意し、その中でMT5の紹介や、MT4で動いていたEAをどうやってMT5上で動かすかなど便利で役立つ情報提供を行い、自動売買の利用促進を支援したいと考えています。また、若い世代の顧客層をもっと獲得するためにもゲーム的な要素であるとか、エンターティーメントといった要素も加えてコンテンツを工夫するなど、アフィリエイト広告に頼らない独自のブランディングにより投資家の方々の支持を集められるようにしたいと思います。また、海外事例にあるようなSNSとの効果的な相互連携ということにも取り組んでいきたいと考えています。
最近はFXを中心に夜間取引の割合が増え、ネット取引の拡充に伴い若い顧客層も増えており、イメージ作りの一環として「日産センチュリー証券イメージガール」オーディション(8月26日(日)開催)なども予定しています。
MT5について投資家が気にする点として、「実際に十分なEAが提供されるか」、「日経225など、FX以外の商品の運用もできるか」などがあるかと思います。確かに自動売買だけで考えれば今のMT4で展開するのも一つですが、例えばWindows XPのように、いつまでMT4がメタクオーツ社により提供・サポートされるかなど、先々を見据て検討していく必要があります。今後、EAのプロバイダー各社にも徐々にMT5対応の準備を進めてもらうと共に、取引所との接続テストなどについては自社でしっかり対応し実績を作っていきたいと思います。そして、MT5だけではなくMT4のユーザーも利用できる様々なコンテンツを用意し、セミナーともうまく絡めて投資家のMT5への移行と弊社サービスの利用促進に取り組んでいきたいと考えています。
弊社はネット取引以外にも、各店舗で現物株や投信などの対面取引を行っていますが、対面のお客様は先物やデリバティブ商品の取引はあまり行わない傾向にあり、ネットと対面のそれぞれのチャネルに最適な取引環境と商品をより充実させていく計画です。
日産センチュリー証券は、今後、デリバティブと自動売買のサービス拡充に注力し、ブローカーとして投資家の皆様にとって他社に負けない価格競争力のある取引コストでご利用いただけるよう、サービスプラットフォームを進化させて行きます。是非、今後の弊社の取組みに注目していただければと思います。
<取材を終えて>
今回の取材を通じて気づかされた点が二つある。一つ目は、日産センチュリー証券では個人向けサービスの取組みにおいて、法人向けサービスも含めて、トータルでのコスト競争力を高めようとしており、その恩恵を投資家に還元する事により、デリバティブの分野におけるプレゼンスを高め、確固とした地位を築こうとしている点。これにより、投資家がより安全に簡単にそして低価格でプロと同一に近いプラットホームを利用できるようになり、業界全体の底上げに資する取組みといえる。二つ目は、同証券では、マーケティングも、これまでの方法論に頼るのではなく、国内初のMT5の導入やイメージガールのオーディション(公募)など、自ら様々な思考実験、実地検証を含めて顧客開拓を試みている点。アフェリエイトだけに依存する事なく、自らの力で顧客との接点を増やし、ブランディングを通じて開拓しようという取組みにエールを送りたい。
(取材:グッドウェイ 藤野 宙志、下田 暁、柴田 潔 / 撮影、記事、編集・制作:柴田 潔 / 取材コラム:下田 暁 )
◎日産センチュリー証券・プロフィール(沿革)
1943年に「日山証券」として創業し、7年後の1950年に「日本産業証券」、1965年に「日産証券」へ商号を変更。さらに2006年に現在の商号「日産センチュリー証券」となっている。
創業以来、地域密着型の対面取引で店舗網の拡大を行ってきたが、2011年1月に商品先物取引所の参加者資格を取得、さらにグループ会社からのインターネット商品先物取引事業の承継を機にネット取引の事業拡大に注力し、取扱商品を積極的に拡大させている。現在、東証・大証・東工取・東穀取、4市場の取引参加者資格を持つ証券会社である。