2017年6月8日（木）、旅行業振興機構（TASA）とトラスト＆グロースは東京・日本橋蛎殻町のラクーン本社で、新サービス「BtoB後払いサービス」についての記者説明会を開いた。
旅行業振興機構（TASA）は旅行業の総合サービス企業・エフネスのグループ会社で、旅行会社向けにクレジット包括加盟店事業を展開している。一方、トラスト＆グロースは、BtoB後払い決済サービス「Paid」をはじめとして企業間取引をインターネットでサポートする事業を展開するラクーンの子会社で、企業間取引における売掛保証サービスを行っている。2017年6月12日からスタートするという今回の旅行業向け新サービス「TASA BtoB後払いサービス」は両者の連携により実現した。
この日の進行は、大久保 柳華氏（ラクーン 社長室 プロモーションチーム）が務め登壇者を紹介。説明会ではまず、藤原 久記氏（旅行業振興機構 代表取締役社長）が「旅行業社は約1万社存在するが90％が中小零細の社員10名未満の会社」と業界の概要について説明。「当社の顧客は法人の出張手配や、ビザ、航空券の手配などリピーター業務を行う小規模の旅行会社が多い。これらの旅行会社は月１回しか入金がなく、資金ニーズが高い。今回のサービスは資金調達に課題を持つこれらの小規模旅行企業に向けて開発したもの」と新サービス「BtoB後払いサービス」の狙いとサービスの概要について説明。
システムは新たに旅行業振興機構（TASA）が立ち上げ、旅行会社とサプライヤーの間に入り旅行支払代金を後払いにするサービス。サプライヤーは旅行業振興機構（TASA）と契約し、旅行会社を会員として審査を行いサービスを利用できるようにする。
旅行会社はサプライヤーに対し航空券やホテルの予約を入れ、顧客の予約が完了した段階でファイナルにし、請求書を発行。旅行会社が旅行業振興機構（TASA）のシステムに請求書情報を入力するとサプライヤ―に電子クーポンがメールで発行される。その情報に基づきサプライヤーは旅行会社に対し発券などのサービスの提供を行う。
会員である旅行会社は月１回料金が旅行業振興機構（TASA）のシステムから引き落とされ、サプライヤーにシステムから支払われる。
ここまでは通常のWEBシステムと同様だが、「TASA BtoB後払いサービス」の特長はこの後のプロセスにある。会員である旅行会社からサプライヤーに向けた請求データは債権保証を行うトラスト＆グロースに送られ、未回収の場合は保証履行がサプライヤーに対して行われる仕組み。
続いて、三浦 廣美氏（トラスト＆グロース 東京営業部 課長）、石井 俊之氏（トラスト＆グロース 代表取締役社長）が売掛保証の概要、及び今回のサービス提供について解説。トラスト＆グロースの売掛保証は企業間取引で売掛金が未回収になった場合にトラスト＆グロースが取引先に代わって当該企業に売掛金を支払うサービス。売掛債権や手形債権が対象となる。最大の特長は、企業は未回収を気にすることなく積極的に取引先を開拓できること。また、与信のための調査や債権回収業務コストも削減できる。導入企業数は8,278社（2017年3月）。取引先に保証をかけていることを知らせずに利用できることが可能で、独自の与信判断により、90％以上の高い承認率を誇っている。
石井氏は「自動車も、保険があるから安心して車に乗れる。BtoBにおいても保証があるから安心して企業活動が行えるということになる。現在、日本では取引に保証を掛けるというニーズ、サービスの知名度も低いが、価値観が多様化、取引先が広がっている現実を見ると、今後取引に保証を掛けるというニーズは高くなるとみている。その段階で当社が培った中小企業に対する与信のノウハウと、カスタマイズできる力を活かしてもっと企業様のプラスの力をバックアップしていきたい」とした。
記者会見が終わり、個別の質疑応答や名刺交換が行われた。藤原氏によると、売上目標は初年度20億円。将来構想としては、旅行業界のもう一つの課題であるインバウンドの決済手段としても拡大していきたいと抱負を語った。
最後に記念撮影。今回のサービスは中小旅行業界向けというニッチな業界向けのサービスだが、それだけにきめ細かく業界のニーズをとらえており、そこに売掛保証というユニークなサービスを相乗させたもの。サービスの広がりに注目したい。
（記事：丸山 隆平 ／ 取材、撮影、編集・制作 ： GoodWayメディアプロモーション事業部 ＠株式会社グッドウェイ ）
