2014年3月21日(金)、投資信託販売プロジェクト「資産倍増プロジェクト」で共に活動するインターネット証券4社(SBI 証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券)は、東京・両国国技館において、投資信託の販売ならびに投資信託による資産運用の普及啓蒙活動『ネットで投信フォーラム in Tokyo』を開催した。快晴となった当日、多くの個人投資家が訪れ、10時~18時まで終日にわたりメイン会場、ミニセッション会場で講演が行われたほか、報道メディア向けに4社長の記者会見もあり、盛りだくさんの内容で行われた。
冒頭の開会挨拶では、齋藤社長(カブドットコム証券)、髙村社長(SBI証券)、楠社長(楽天証券)、松本社長(マネックス証券)の4氏が登壇。
先ず冒頭に、齋藤社長は、株式においては足元の2月に96.5%がネット証券経由になっている一方、投資信託はまだまだシェアが低く、2011年3月に4社共同プロジェクトを開始した時点の投資信託の残高(当時1兆円)についても現在1.7兆円と、資産倍増・倍返しまでに至っていないことに触れ、早期実現を目指したいとした。
続いて、髙村社長は、この投信フォーラムは製造機能を持つ運用会社と販売プラットフォームを持つネット証券が製販一体となって投資家と触れ合う唯一の場であるとし、参加者と協賛社で積極的なコミュニケーションを図り、有意義な一日にして欲しいと語った。
また、楠社長は、この日の投信フォーラムに先立って開催した女子限定の投資イベント(取材レポートはこちら)をはじめ、少しでも多くの皆様に理解を促していきたいとし、長期に渡る資産形成を支援すべく引き続きタッグを組んで制度やルールの改正を行い、少しでも便利な環境の整備に向けて取り組んでいきたいとした。
そして、最後に、松本社長は、相場の雰囲気が去年と異なっている現状に対し、アベノミクスとデフレ脱却の実感、NISAへのうねり、アメリカ金融緩和の縮小、シェールガスの登場、新興国の値下がりなどもあり、今こそが絶好のチャンスであるとした。また、自身がトレーダーだった時からの経験から、ツールもさることながら、最も大事なことはどのようにマーケットを見るかという知恵やソフト面であると語り、今回の投信フォーラムがそのきっかけとなってほしいと結んだ。
その後、ゲスト講演「世界を読み解くキーワード」(エコノミスト・ジャーナリスト 伊藤 洋一 氏)、協賛企業7社(損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント、ドイチェ・アセット・マネジメント、DIAMアセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメント、三菱UFJ投信、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、国際投信投資顧問)の講演のほか、パネルディスカッション「NISA元年!どうなる資産運用!!」では、藤本氏(SBI証券)、河合氏(カブドットコム証券)、広木氏(マネックス証券)、山崎氏(楽天証券経済研究所)と4名のパネリストと岸田氏(ラジオNIKKEI記者)がモデレーターを務め、今後の市場見通しや資産運用のポイント、NISAの解釈と活用方法、事前に受けた質問の上位として、銘柄選び、分散投資、売り時、REITなどについて、それぞれの見解が示された。
また、2014年3月19日(水)、『ネットで投信フォーラム in Tokyo』に先立ち、東京駅前にあるJPタワー ホール&カンファレンスにおいて、インターネットを通じて事前に申し込んだ運用やマネープランの考え方に興味を持っている女性向けに、各社の女性社員のみで企画・運営を行う働く女性のために開催されたセミナー「働く女性のお金と未来 ~誰かに聞きたいお金のこと~」(取材レポートはこちら)で講師を務めたエフピーウーマン代表取締役 ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子 氏も協賛企業の講演の一つに登壇し、NISAについて解説した。
そして、最後のクロージングセッション「時代をよむ」(ジャーナリスト 田原 総一朗 氏)では、下請けを協力会社と呼び格差をつけない京都の企業風土や、ローソン、ユニクロ、HISなどの例を挙げ、日本企業の社員ひとりひとりが自社の取組みにプライドも持ち、チャレンジと失敗を繰り返し、チャレンジを恐れずに創意工夫し、自分の頭で考える経営こそが、これからの変化を新しいビジネスチャンスとし、それができれば将来の心配はないとした。
今回の協賛企業は、以下の7社。講演の合間には大勢の来場者でブース前はごった返し、公演中は一部の投資家とじっくりと意見を交わした。
◎損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント (お客さまの資産形成への貢献を第一とし、特にユニークな商品開発に力を入れています)
◎ドイチェ・アセット・マネジメント (ドイツ銀行グループが誇る資産運用ソリューションの総力を結集)
◎DIAMアセットマネジメント (国内屈指の実績と信頼。DIAMは、運用のプロフェッショナルです。)
◎三井住友トラスト・アセットマネジメント (J-REITとインデックス運用に強みがある三井住友トラスト・アセットマネジメント)
◎三菱UFJ投信 (三菱UFJ投信が低コストファンド・シリーズや好成績の日本株ファンドをご案内!!)
◎ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ (SPRD(スパイダー)ETFをくみいれた投資信託で分散投資を!)
◎国際投信投資顧問 (”医薬品産業革命”バイオ医薬品が切り拓く、ヘルスケア投資の魅力)
<取材を終えて>
リーマンショック以降、日経平均株価が1万円割れの水準になるなど、長らく塩漬け状態が続いた証券市場。アベノミクスによる経済回復に向けた3本の矢による行政の大方針や女性が活躍する社会環境づくり、そして、新たな税制改革とNISA制度の開始を背景に投資環境が一変する中、今回の「ネットで投信フォーラム」では、両国国技館での開催前に4社の女性スタッフのみで企画運営した女子限定の投資イベント(取材レポートはこちら)や、当日の講演の中でも多くの女性が登壇・活躍するなど、新しい視点とチャレンジが目立った。今年の1月以降、NISA口座の開設に占める女性の割合が50%を上回るネット証券もあるという中、投資に対するイメージや資産運用に対する親近感や理解の深化、そしてデフレ脱却後の資産保全と増大に向けた投資活動の必要性に対する合理的な解釈とその下地が徐々に広がっていることを印象付けるフォーラムとなった。
ネット証券4社というチャネル連合のほか、運用方針(期待する利回りと期間)の異なる投資家ニーズに対する提案、地域活性に向けた地理的な枠組みにおける活性化策など、いかに日本経済の成長戦略を個人の豊かさの形成と共に株式市場に根付けていくことが出来るか、今後の当局・団体、取引所、ブローカー、運用会社、投資家、IT企業といった業界全体の新しい仕組みづくりとその取り組みに注目したい。
なお、ネット証券4社長による報道メディア向インタビューの様子は、別途、以下の写真ニュースにてお届けしたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作:藤野 宙志)@株式会社グッドウェイ