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2024/06/07

【日本CFA協会】ジャパン・インベストメント・カンファレンス 2024開催!テーマは「Unlocking the Potential of AIーAIの可能性を解き放つー」

| by:ウェブ管理者


 2024年5月23日(木)、日本CFA協会は、恒例のジャパン・インベストメント・カンファレンス 2024を東京コンベンションホールにて開催した。

 日本CFA協会は、CFA協会(CFA Institute)の国内唯一のメンバーソサエティとして投資に関する教育プログラムを実施し、投資運用に関する専門知識の普及を目指す活動をしており、資産運用業界にとって重要でホットなテーマを取り上げてフラッグシップイベントである同カンファレンスを開催をしている。今回は「Unlocking the potential of AI - AIの可能性を解き放つ -」をテーマに、内外から専門家や当局関係者を招き、終日にわたって講演とディスカッションが行われた。



 会場となった東京スクエアガーデン内にある東京コンベンションホールでは、対面開催とあって、多数の参加者が会場へ足を運び、開会後しばらくしてホールは参加者で埋め尽くされた。

開会の辞 


 冒頭、ブレンダ・ホウ氏(CFA協会 成⻑市場グローバル・パートナーシップ&クライアント・ソリューション・ヘッド CGMA, GAICD)より、現地参加できたことと来場された方への御礼を述べ、本カンファレンスのテーマ解説を行った。最後に本日の講演やパネルディスカッションを非常に楽しみにしているとし、開会挨拶とした。なお、当日の司会・進行は杉江 京子氏が務めた。

講演
 


 講演でケニー・ラム氏(ツー・シグマ・アジアパシフィック CEO)は、「投資運⽤への科学的アプローチ」と題して講演を行った。科学的アプローチを用いてヘッジファンドを行うことについて、これまでのアプローチや具体的な例を用いて解説を行った。また、アルゴリズムの抽出方法についてなど、Q&Aも活発に行われた。



 講演でイヴィ・ウィー氏(DBS銀⾏ マネージング・ディレクター コンシューマー・バンキング・グループ地域ファイナンシャル・プランニング&アドバイザリー・ソリューション・ヘッド)は、「AIはどのようにファイナンシャル・プランニングとリタイアメント・プランニングの再考に役⽴つか︖」と題して講演を行った。DBS銀行のシンガポールでの取り組みなどの具体例を用い、高齢化社会に向かう日本での資産におけるデータを活用したプランニングの例について解説を行った。

パネルディスカッション


<モデレータ>
 佐藤 吉正氏(IG証券株式会社 事業推進部 部⻑)
<パネリスト>
 ⻑⾕川 理氏(⼤和証券 MISデータ 管理部⻑)
 宮澤 弦氏(LINEヤフー 上級執⾏役員 ⽣成AI 統括本部⻑)
 佐野 ⻑紀氏(PKSHA Technology AI Solution 事業本部 ⾦融 / セキュリティ管掌パートナー 兼 アルゴノート代表取締役)

 パネルでは、各登壇者の自己紹介が行われた後、「セールス&マーケティングと顧客関係管理におけるAI活⽤の過去・現在・未来」と題して、AIがこれまでに与えた影響、そして今後どのような影響を与えるかについて議論が行われた。最後に各パネリストの所属する企業が取り組んでいくAI活用の未来についてそれぞれの考えが語られた。

講演 


 ギャリー・カザンツェフ氏(ブルームバーグ CTO室クオンツ・テクノロジー戦略責任者)は、「⾦融における機械学習の進展」と題して講演を行った。20年前より機械学習に対して投資を行い、現在も投資を続けてきている結果から、機械学習が金融市場についてどう関係し、また言語モデルについての現在のトレンドと将来の方向性について語った。


 ⽩取 宏之氏(PwCコンサルティング ⾦融サービス事業部ディレクター)は、「企画部⾨やオペレーション部⾨業務への⽣成AI活⽤」と題して活用事例を用いて講演を行った。生成AIは非常に進化してきており、使用いただく時期になってきているので、是非試していただきたいと語った。

講演 


 ランチ前、最後のセッションでは、ジェイソン・イェ氏, CFA(S&Pダウジョーンズ・インデックス ファクターおよびテーマインデックス担当ディレクター)は、「AIを活⽤したインデックス設計」と題して講演を行った 。AIとは何かを簡潔に解説した後、業界モデルについて語った。最後にAIに関するリサーチペーパーを出しており、そちらをご覧いただきたいとした。

ネットワーキングランチ 


 ランチタイムでは立食式の食事がふるまわれた。参加者同士の情報交換や出展ブースでのやりとりが見られた。

講演 


 ルーカス・レパック氏(ファクトセット、バイスプレジデント、AI&ML、プリンシパル・プロダクト・マネージャー)は、「AIが拓く⾦融の未来︓ 機会と課題」と題して、講演が行われた。生成AIの開発にあたっては繰り返し学習させることで期待するものに近づいていけるとし、生成AIには様々な業界に対して大きな可能性があると語った。

講演



 ⽇尾 泰⼦氏(みずほ第⼀フィナンシャルテクノロジー 投資技術開発部⻑)は、「サステナブル投資とオルタナティブデータ・AI活⽤の親和性」と題して講演を行った。AIやチャットGPTについて解説を行い、その後、オルタナティブデータの活用事例やESG評価のデータ活用を述べ、最後に今後のAI活用の方向性について語った。

パネルディスカッション 


<モデレータ>
 池⽥ 悟氏(⽇興アセットマネジメント インベストメント・テクノロジー運⽤部シニアファンドマネージャー)
<パネリスト>
 和泉 潔氏(東京⼤学⼤学院 教授)
 冨島 佑允氏(東京海上ホールディングス 財務企画部マネージャー)
 植村 圭介氏(野村アセットマネジメント 運⽤部 シニア・ポートフォリオマネージャー)

 パネルでは池田氏よりパネリストの紹介が行われた後、「ESGおよびSDGs関連データにおけるAI活⽤」と題してディスカッションが行われた。和泉氏からはESGの評価において生成AIがどのように使われているかや生成AIの課題や苦手な部分について、冨島氏からはAI関連のリサーチの紹介などについて、植村氏からはESとAI両方を使った形でクオンツアクティブの運用の取組みについて語られた。

講演 


 リー・デビッドソン氏(モーニングスター チーフデータ&アナリティクスオフィサー)は、「⾦融データにおけるAIの実践的活⽤︓Morningstarが明らかにする、モーニングスター・メダリスト・レーティング、インテリジェンス・エンジン、そして未来のデータ収集」と題して講演を行った。AIによってデータの価値をどのように向上させているかなどを解説し、AIについて人々の関心がさらに高まってきていると語った。

講演 


 シューチュン・リ氏(シンガポール通貨⾦融庁 副ディレクター兼ヘッド(AI開発室))は、「イノベーションと監視体制のバランス - AIの未来を舵取りする」と題して、講演を行った。まず、特定型AIと汎用型AIについての説明を行い、AIへのECOSYSTEMアプローチとして、People、Economy、Hub、Compute、Geopoliticsの5つのことに焦点を当てているとした。質問タイムではAIの規制に対する質問などに対して回答した。

講演 


 ジャン・シュミット氏(ジョルト・キャピタル 社⻑ 兼 マネージング・パートナー)は、「プライベート・エクイティ会社をAIベースの学習組織に変える⽅法 - Jolt Ninja AIの例」と題して講演を行った。まず、自社がAIのストーリーについて、これまでどのように活用してきたのかについて語った。
現在のソフトウェアについての見解を述べた後、今後、AIのソフトウェアの開発が更に必要になるとした。

講演 


 ブレンダ・ホウ氏(CFA協会 成⻑市場グローバル・パートナーシップ&クライアント・ソリューション・ヘッド)は、「投資プロフェッショナル検定のためのCFA協会データサイエンス⼊⾨」と題して、データサイエンス投資プロフェッショナル検定の取り組みや、機械学習の革新が行われている今、5年10年先のImpact AIにどう備えるかについて語った。また、Data Science for Investment Professionals Certificateについての紹介を行った。

講演
 国内外におけるサステナビリティ開示の現状と見通し


 シャーロット・ウッド氏(シュローダーズ イノベーション&フィンテック、AI戦略・ヘッド )は、「⽣成AIが変⾰する投資運⽤業界:機会とリスク」と題して、投資管理におけるジェネレーティブAIの潜在的な機械や、シュローダーにおけるジェネレーティブAIの戦略的アプローチ、ユースケース、一般的な制限と懸念事項について説明しつつ講演を行なった。

パネルディスカッション


<モデレータ>
 ⿅⼦⽊ 亨紀氏(ニッセイアセットマネジメント ソリューション・リサーチ・ヘッド)
<パネリスト>
 東出 卓朗氏(auアセットマネジメント CIO)
 岩⾕ 渉平氏(アセットマネジメントONE 運⽤本部 株式運⽤グループ ファンドマネジャー)
 辻中 仁⼠氏(ナウキャスト CEO)

 カンファレンスの最後を飾るパネルディスカッションでは、「⼈間 vs AI︓ファンドマネジメントの未来」と題して、運用におけるAI活用の現在、過去から見て、どういったところに位置しているか、近年のAIの進展が運用プロセスに影響が出ているか、テクノロジープロバイダーの立場として、今後の展望についてなど活発な議論が行われた。

閉会の辞 


 閉会に際して出川 昌人氏(日本CFA協会 会長)は、スポンサー、ボランティア、その他多くの方たちの協力によって、当カンファレンスが開催できていることに感謝を述べた。今回、AIという非常に万能なイメージがあるものを題材にあげ、講演やパネルディスカッションを行ったことを振り返り、非常に興味深い意見が皆様の今後の参考になればと語り、閉会の挨拶とした。

ブース&レセプション
 



 展示会場には協賛企業各社のブースが立ち並び、ランチやコーヒーブレイクの時間帯には多くの来場者が訪れてネットワーキングが行われた。また、講演終了後にはレセプションも開催され、主催者、協賛企業を交えて、閉会まで登壇者、参加者等による歓談が続いた。

  第15回の開催となる「ジャパン・インベストメント・カンファレンス」は様々な分野で活用されてきているAIの更なる可能性について、実務家・専門家をはじめ多くの登壇者が解説や議論を行った。資産運用業界でもAI活用が行われてきており、どのように進化していくかにも注目したい。
毎年最新のトピックにて開催され、多くの参加者が集まる「ジャパン・インベストメント・カンファレンス」の次回についても期待したい。

(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )





16:04 | 取材:金融・IT業界向け

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