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2016/05/11

【SAS Institute Japan】事業性評価やキャッシュフローの予測といった審査手法を解説!地方銀行向けセミナー「激変する市場環境における地域金融機関の収益拡大戦略~取引先の事業性評価による融資機会の拡大策~」を六本木ヒルズにある東京本社で開催!

| by:ウェブ管理者


 2016年4月22日(金)、SAS Institute Japanは、東京・六本木ヒルズの東京本社セミナールームで、地方銀行の経営層、経営企画、リスク管理、審査、与信、営業企画等の部門長・責任者らを招き、「激変する市場環境における地域金融機関の収益拡大戦略~取引先の事業性評価による融資機会の拡大策~」を開催した。(後援:グッドウェイ

 2016年1月に導入された日銀のマイナス金利が、預金金利低下、長期国債のマイナス金利、住宅ローン金利引下げで銀行経営を圧迫している現状、および国策でもある地方創生の実現に不可欠な、地域経済と密接に繋がる大きな役割という側面からも、地方銀行はリスクを適切に管理しつつ新たな融資先を開拓して収益を確保する一方で、地域経済活性化への貢献を求められている。

 こうしたなか、本セミナーでは、取引先の事業性評価と地域金融機関の役割・あり方や、事業性評価を実現する方法として、将来の収益予測や審査モデルの開発・運用を実現するソリューションの活用案などが詳しく紹介された。




 六本木ヒルズ11階にある同社の洗練された雰囲気のオフィス。二つのセミナー会場を連結すると100名規模収容できる自前の施設を持つが、年内にさらに収容力の高いセミナー専用施設が用意される予定だという。



 開演を待つ講演会場では同社サービス(SAS Analytics)のプロモーションムービーがスクリーンに投影される。「見える化」に加え、「予見力」を提供する同社の技術は、多くのデータやパターン分析に基づいて将来の出来事を予測した上で、最も的確な方針を選択し、的確な意思決定を実行させることを可能にする。



【挨拶】金融機関向けに、リスク管理、収益管理、金融犯罪対策、資本管理、経営管理、販売促進等のソリューションを提供、アナリティクス企業として業績は右肩上がりを続けている。

 開演の挨拶に立った同社ソリューションコンサルティング本部 リスクインテリジェンスグループ部長 柳 洋二郎氏は、「弊社は単に統計解析ソフトを売っている会社というわけではなく、色々なビジネスソリューションを展開している。日本では既に31年の実績があり、グローバルな売り上げはおよそ3,000億円強で、常に右肩上りを続けている。」と同社の概要と実績を簡単に説明。

 その後、「弊社のソリューションは統計解析・分析がコアな部分だが、分析をしようとするとデータを集めてこなければならず、弊社はそうしたソリューションも提供している。さらに、データを集めて分析した結果、どうやってそれを見やすく見える化させるかが必要になるが、その点についても弊社はBI(ビジネスインテリジェンス)というソリューションも提供している。」と同社のソリューションについて紹介。金融機関には、リスク管理、収益管理、金融犯罪対策、資本管理、経営管理、販売促進等の部分で同社ソリューションが利用されているといい、アナリティクス企業として、グローバルには2番手に評価されていることを最後に紹介して挨拶を終えた。




【オープニングセッション】「①経営者への着目」、「②事業への着目」、「③関係者への着目」、「④内部管理体制への着目」をベースにした非財務情報の分析をいかに融資に活かしていくかが重要

 続いてのオープニングセッションは、金融庁 参与、地域金融研究所 顧問、村本 孜 氏による「地方創生と地域銀行の役割~事業性評価とローカルベンチマーク(地域企業評価手法・評価指標)~」。

 村本氏は、「金融庁で金融仲介に向けた改善会議を昨年の12月からやっていて、その主なテーマは、地方銀行の問題をどう考えるかということ。金融庁が実施した地場企業へのヒアリングによれば、全体の3割が金融機関にまともに相談をしておらず、困っても銀行に相談しないという実態が浮び上がった。さらに、数年前から標榜してきたリレーションシップ・バンキング(長期的に継続する取引関係の中から、金融機関が借り手企業の経営者の資質や事業の将来性等についての情報を得て融資を実行すること)も機能していない。」と、冒頭で現状の課題について解説。「儲かっている金融機関とそうでない金融機関の違いは、個人よりも中小企業への貸し出しが多いか少ないかににある。」として、融資拡大の施策強化の必要性を説いた。


 ではどうやって融資を拡大していくのか、村本氏は地方銀行の取組の事例やビッグデータを活用した地域経済分析システム、新たな中小企業像など様々なテーマに触れながら、事業性評価に知的資産経営の視点も盛り込む必要性を強調。財務諸表中心の従来の審査方法に、非財務情報(事業の将来性、組織、ネットワーク、技術、技能、アイデア、経営者の理念等)という情報も加え、担保・保証に過度に依存しない融資を目指すべきと説明。「①経営者への着目」、「②事業への着目」、「③関係者への着目」、「④内部管理体制への着目」をベースにした非財務情報の分析をいかに融資に活かしていくかが重要と解説した。

 



【SASセッション】財務の将来予測は本部ではなく、営業店判断が重要。適切な「収益性評価」と「財務への統合」、「プロセス管理」それぞれの機能を有するソリューションを提供

 続いてのSASセッションでは、「取引先の事業性評価による収益機会拡大施策のご紹介」と題して、同社 ソリューションコンサルティング本部 リスクインテリジェンスグループ マネージャー 大久保 隆文氏が、「収益機会の拡大には地方創生が必要であり、その為の産業育成にはこれまでと異なる事業性評価(財務の将来予測に基づく評価)が必要であるとして、収益要因を分析してモデル化することで成長可能性を適切に評価可能な同社の財務シミュレーションについて、デモも交えながら来場者に紹介。財務の将来予測は本部ではなく、営業店判断が重要であるとし、適切な「収益性評価」と「財務への統合」、関係者の作業プロセスを適切に定義・管理する「プロセス管理」の機能を有するソリューションを同社は提供しているという。




【パートナーセッション】状況に応じて動的なマージン管理やALM(Asset - Liability Management)の採用余地も

 最後のパートナーセッションでは、有限責任監査法人 トーマツ アドバイザリー事業本部 シニアマネージャー 大島 一朗氏が、「マイナス金利下の融資拡大戦略の実運用」をテーマに講演。国内のマイナス金利環境と米国の利上げ予測が、邦銀による外貨建ての資金調達コストの増加に繋がっているとし、海外金融機関のマイナス金利の対応として、流動性の高い預金の増加やローンの長期化の想定、および状況に応じて動的にマージン管理(預金管理手数料導入や利率の変更等)することが提唱されたことを紹介。今後の融資戦略として、貸出金利マネジメントや信用ストレステストについて説明が行われたあと、金融機関に滞留するコア預金を国債で運用することが困難なため、残高変動を考慮したALM(Asset - Liability Management=金利感応度の異なる資産と負債の構成を、予測した金融環境の下で最もバランスの取れるように総合的に管理し、リスクの最小化、収益の最大化を図ること)の採用余地もあると語って講演を終えた。



 銀行業界が過去に経験したことのない大きな市場環境の変化にさらされるなか、融資拡大のためには、従来は積極的に取り組んでこなかった事業性評価やキャッシュフローの予測といった審査手法を確立し、企業の資金ニーズをくみ取ることが必要として開催された今回の地方銀行向けセミナー。

 オープニングセッションの講演では、地域企業の評価手法・評価指標であるローカルベンチマーク検討の背景や目的、段階を踏まえての対応方法等が詳しく解説されたほか、知的資産経営支援に取り組んでいる全国の金融機関と支援機関名が紹介されたが、国内全体で30機関程度に留まるなど、特に金融機関の取り組みの遅れが目立っている。地方創生による地域経済活性化が待ったなしの局面を迎えるいま、地方のイノベーションと産業発展を支える適切な融資体制の確立と実行が急がれるところだ。


(取材、撮影、記事、編集・制作 : 柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )






17:28 | 取材:金融・IT業界向け

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