2014年2月18日(火)、テクマトリックスは、丸ビルホール&コンファレンススクエアにおいて、”規制対応を含めたFINCADソリューションの取り組み、展望”をテーマに、今年で2回目の開催となる金融市場関係者向け「FINCAD カンファレンス2014」(取材レポート)を開催した。
カンファレンスに先立ち、2014年2月17日(月)、グッドウェイは、FINCAD Director Analytics Dr. Tony Webb 氏を訪ね、FINCADのアナリティクス責任者としての立場から、FINCADのビジョンや製品展開など今後の取組みについてインタビューを行った。
<取材対応> FINCAD Director Analytics Dr. Tony Webb 氏
<インタビュアー>株式会社グッドウェイ 代表取締役社長 藤野 宙志
はじめまして。本日はインタビューのお時間を頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
日本は初めてですか?名刺を見るとカナダにお住まいのようですね。
日本には、昨年のカンファレンスに続き、2回目となります。もともとは英国生まれですが、カナダでの生活は25年にもおよび、FINCADには14年間勤務しています。
FINCADのユーザーは、世界80ヶ国、4,000以上の法人への導入しているとのことですが、従業員数はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?また、ユーザーサポートなど大変ではないでしょうか?
従業員数は、世界で140名程です。基本的に、ほとんどのユーザーは、「FINCAD Analytics Suite」により、ライブラリをMicrosoft Excel上で利用可能なExcelアドイン・アプリケーションとして簡単に使える商品評価ワークブックを使用しているため、ユーザー自身で簡単にゼロからExcelワークブックを作成することが出来るため、あまり多くのサポートを必要としません。「FINCAD Analytics Suite」では、1990年に初版をリリースして以来、主に2種類のラインナップとして、Excelアドイン・アプリケーションとライブラリをプログラム開発に利用できるソフトウェア開発キットを提供しています。
今回のカンファレンスの講演「The Evolution of FINCAD Solutions」では、どのようなお話をされるのですか?
従来より提供してきた「FINCAD Analytics Suite」とは別に、5年ほど前から新しい分析プラットフォームとして位置付けてきたオブジェクト指向型プライシングソリューションである「F3」について紹介したいと考えています。「F3」は、デリバティブ評価・分析に必要な要素として、プロダクト、データ、評価メソッドと3層において最小単位のオブジェクトで構成されており、それらのオブジェクトをつなぎ合わせることでスピーディーかつ柔軟に新しいプロダクト(デリバティブ商品)に対応できるようになっています。
我々のビジョンは、誰でも使えるエンタープライズ分析プラットフォームとして、従来のデスクトップ上でのシングルユーザーによるプライシングやリスク分析のほか、マーケットデータコネクターやトレードレポジトリーといった様々なユーザーインターフェースを兼ね備え、高度なビジネス上の課題解決を図るオブジェクト指向型プライシングソリューションを提供していくことです。
また、日本での提供実績はまだありませんが、「Fair Value Insight(公正価値評価ソリューション)」や「Hedge Account Insight(ヘッジ会計対応ソリューション)」といったSaas(Software as a Service)としてクラウド提供型のソリューションについても紹介させて頂き、機能が十分であるかどうか、ユーザーが求めているものかどうかについて確認したいと思っています。
今後、新しいプラットフォーム「F3」に力を入れていく方針であるということは良く分かりました。その一方、これまでの「FINCAD Analytics Suite」製品のサポートはどのようになっていくのでしょうか?
そうですね。ユーザーへの影響もあり、その対応には一定の期間も必要となることから、もちろん十分に考慮し、当面は「FINCAD Analytics Suite」のサポートは続けていくという点についても、きちんとお伝えしようと考えています。
ところで、FINCADでは、ユーザーのニーズに合わせて個別にカスタマイズ対応を行っているのですか?
日本では、当局への説明のため、プライシングモデルの説明に関するドキュメントを日本語化して欲しいというお客様ニーズ(特にバイサイド)を多数頂いており、特別に対応しています。これは、世界の中でも日本だけの特別な対応です。
今後の日本市場におけるFINCADのターゲット層について教えてください。
特にバイサイドとかセルサイドといった層に分けたターゲットの設定は行っていません。新しいプラットフォーム「F3」では、これまで、個別にプライシングを行い合算していた処理を、ポートフォリオレベルでまとめて分析ができるようになるため、全てのユーザーにとって大きなメリットがあります。また、 URT(Universal Risk Technology)の採用により、ポートフォリオ全体のリスク量を容易に、かつ正確に計測する事が出来、さまざまな商品に対応することができる汎用性が強みです。
最近の海外における金融機関の取組みにはどのような傾向がありますか?
規制強化を背景に、資本効率をいかに高められるかという点がカギを握っており、流動性という観点からも、エキゾチックな商品に比べると、伝統的で単純なプレーンな商品の比重が高まっています。その一方で、リーマンショック後に取扱いが大きく減ったCDO(Collateralized Debt Obligation)やMBS(Mortgage Backed Securities)といった商品の取扱いが再び増えているという傾向もあります。
デリバティブの評価・分析に際し、金融機関からの旬なキーワードをいくつか頂けますか?
先ず、デリバティブ取引のカウンターパーティ・リスクを管理する手法として関心が高まっている信用評価調整CVA(Credit Value Adjustment)に関する対応依頼や問い合わせが多くあります。「F3」においては、URT(Universal Risk Technology)の強みを活かせるオポチュニティーとして注視しています。また、OIS(Overnight Index Swap)についても同様です。「F3」が持つアドバンテージにより、複数のアセットクラスにまたがったポートフォリオを柔軟に分析することが出来る最良のプラットフォームとして、これからも進化させていきたいと思います。
ありがとうございます。明日の「FINCAD カンファレンス2014」(取材レポート)にも参加させて頂きますので、宜しくお願いいたします。
こちらこそ、宜しくお願いします。
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