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2017/09/20

クロスマーケ Research Memo(9):2QはKadenceの特殊費用と特別損失が足を引っ張った

| by:ウェブ管理者
*15:08JST クロスマーケ Research Memo(9):2QはKadenceの特殊費用と特別損失が足を引っ張った
■業績動向

1. 2017年12月期第2四半期の業績動向
クロス・マーケティンググループ<3675>の2017年12月期第2四半期の業績は、売上高8,141百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益411百万円(同4.1%減)、経常利益340百万円(同7.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益-184百万円(前年同期は141百万円の利益)であった。本業はおおむね順調だったと言える。

まずリサーチ事業だが、売上高6,916百万円(同12.8%増)、営業利益1,041百万円(同8.5%増)となった。内外の売上高内訳は国内リサーチが4,448百万円(同3.1%増)、海外リサーチが2,468百万円(36.0%増)であった。売上高は主力事業会社のクロス・マーケティングを中心に国内が堅調に推移、海外は大型案件を受注した英国を始め米国やインドネシアなど好調拠点がけん引した。営業利益は国内の生産性改善と海外の増収効果により増益となった。なお、2016年12月期第3四半期に連結を開始したショッパーズアイは、今期より収益にフル寄与することになっている。

ITソリューション事業は、売上高が1,011百万円(同1.0%増)、営業利益65百万円(同24.6%増)だった。アウトソーシングサービスの(株)クロス・プロップワークス、エンジニア派遣サービスの(株)クロス・ジェイ・テック、モバイル向けWebサイトサービスのクロス・コミュニケーションが、ともに積極的な営業展開で受注を順調に伸ばした。営業利益は、中期的な成長を考慮して人員採用を活発化させたが、増益を確保することができた。

その他の事業は、売上高が297百万円(同4.5%増)、営業利益が32百万円(122%増)となった。プロモーション事業を行っている(株)ディーアンドエムが新規顧客開拓の強化で引き続き好調だった。なお、2016年12月期第3四半期よりWebマーケティング事業を行っている(株)UNCOVER TRUTHは、連結子会社から持分法適用会社に移動した。

しかし、本業はおおむね順調だったとはいえ、売上高8,307百万円、営業利益566百万円、経常利益557百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益311百万円という会社計画には届かなかった。

主な理由は、Kadenceの株式譲渡契約において業績条件に基づいて発生した追加的支払いである。つまり、Kadenceの売買契約時に、3期間(2015年6月期−2017年6月期)の業績に基づき株式取得の対価を支払う契約となっており、契約当初支払いをした14百万USドルに加えて、業績進捗によって0から最大で15百万USドルを追加で支払うという契約が交わされた。今般、景気の回復や営業強化によりKadenceの3年目の業績が好調となったことから、同社は追加支払い10百万USドルを確定させたのである。交渉の余地もあったと思われるが、経営のスピードを重視したもようである。自信があって高く売りたい売主(Kadence元オーナー)とリスクを考えて安く買いたい買主(同社)のミスマッチを防ぐ特殊な契約条件だったと言えるだろう。

いずれにしろ3期目のKadenceの業況が大きく好転したため、追加支払いによる影響が株式取得時に遡って再算定されることになった。これにより各期でのれんの追加償却が発生するわけだが、2017年12月期に過年度分を含めて3期分ののれん償却費264百万円をまとめて計上することになった。また、減損損失については、同期間に減損損失を計上した拠点(インドネシア、ベトナム)にものれんが発生するため、2017年12月期に追加的に発生した全額216百万円を減損損失として特別損失に計上することになった。

第2四半期の会社予想に対する入り繰りは、国内リサーチでは一部大手顧客の予算消化の遅れにより売上高で523百万円、粗利額で253百万円の未達となった一方、海外リサーチでは英国の大型案件やインドネシアとベトナムの業況改善が計画以上となったため売上高で379百万円、粗利額で142百万円の超過達成となった。ITソリューション事業では受注は好調だったが、国内リサーチ同様に一部納品が下期以降にずれ込んだ影響により売上高で82百万円の未達、ITソリューションとその他の事業の合計で36百万円の粗利額未達となった。これに対しコストコントロールで211百万円をカバーし、期初営業利益予想566百万円に対し事業上の営業利益は65百万円超過達成の631百万円となった。

しかし、追加支払いののれん償却費220百万円が発生したため、実際の営業利益は411百万円と155百万円の未達となったのである。また、追加支払いによる減損216百万円に加え、Kadence香港の不振による新たな減損損失62百万円も発生、四半期純利益は期初計画311百万円に495百万円未達の184百万円の赤字となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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