2014年8月27日(水) 、未来へ向けた長期投資を提案する独立系の投信会社であるコモンズ投信は、本年度の2大テーマとして掲げている『女性の活躍』、『アフリカにおける持続的成長』の両方に着目し、元国連事務総長特別顧問室主任(アフリカ担当)で、アフリカ連合(African Union)のアフリカ開発新パートナーシップ機構(NEPAD)総裁特別顧問を務める 池亀 美枝子 氏をゲストを招き、アフリカの持続的成長に大きな役割を果たす女性について話すスペシャルセミナー「アフリカの成長を担う女性の活躍」を東京丸の内の21Cクラブ・コラボレーションスペースで開催した。
今回の講演は、コモンズ投信が環境に応じて進化できる強い企業への長期投資を目指し運用している投資信託「コモンズ30ファンド」の投資先企業(味の素、エーザイ、コマツ、日揮)がアフリカへの取組みに関与しているということもあり、アフリカでの経験が豊富で、かつ女性の活躍を代表するフロントランナーでもある池亀氏に、コモンズ投信 取締役会長の渋澤氏が出講を打診し、実現したという。
コモンズ投信の社名の由来は「Common Ground」(同じ想いに共感して集まってくる共有地)。自分や家族、そして世の中の今日よりもよい明日のために、未来志向の人々が集まるところを意味しているという。世代間を越える長期的な時間軸を意識した投資を提唱している。
現在アフリカは54ヶ国。池亀氏によると、歴史的な背景から民族と国のボーダーが入り交じっていることもあり、独立後に様々な利権などから紛争が起こってきたが、昨今は、インターネットの発達により情報の格差も是正され、アフリカ人の二人に一人は携帯電話を持つほど大きな変化が起きているという。
アフリカのこの10年間の経済成長率は6%、紛争も減り、人口は10億人を超え、うち25歳以下は70~80%、中間層も全体の30%を占め、とても良いコンディションに向かっていることに加え、アフリカ全体の平均年齢は19歳、これはヨーロッパの48歳と比べると大きな差で、今後、アフリカはどんどん大きくダイナミックに育っていくとした。
また、将来の予測では、世界人口に占めるアフリカ人の割合は45%を占め、今後40年間で生きていくために必要な食料の量は、なんと人類の過去4,000年分の食糧生産が必要なるという。世界に占める耕地面積も60%(現在は2%ほどしか利用されていないが)、かつ資源も豊富なアフリカ大陸。最近では、中国、韓国、インドからのビジネスが増えている一方、日本人の顔は見えなくなってきており、もっと日本人も積極的にアフリカに出て行く必要があるとした。
一方、アフリカの女性にとって、生活環境はまだまだ大変な部分も多く残っているものの、政治の分野など一部では女性の活躍も目立ち始めており、さらに社会インフラとして発達が進んでいるマイクロファイナンスの活用とその返済率の高さなどが示すとおり、生活の中におけるアフリカ女性の役割はとても大きくなっており、社会も経済も彼女たちが支えているという。
日本から決して最も遠い国とは言えないアフリカ大陸。これからは、日本のビジネスマンも、貧困のチャリティーではなく、ビジネスのパートナーとして真剣にアフリカを見て取り組んでいく必要があるとした。
その後の両氏による対談では、池亀氏が国連の仕事でアフリカに関わるまでに至った経緯、1980年代までにおける大変な時代から1990年の冷戦による変化、アフリカから見た日本、アフリカと日本の国民同士における人間関係の違い、女性議員比率の高まりの背景などが詳しく解説され、最後に、来場者からの質問は予定されていた時間満了まで積極的に絶え間なく続き、同テーマに対する来場者の想いと関心の高さがうかがわれた。
「第6回コモンズ社会起業家フォーラム」の開催について
コモンズ投信では、10月4日(土) 14:30~17:00に千代田区立日比谷図書文化館において、毎年恒例の「第6回コモンズ社会起業家フォーラム」の開催を予定している。フォーラムを通じて、社会的課題に取り組む社会起業家を応援すべく、パワーあふれるメッセージを来場者と共有し、寄付についても超長期的な投資と捉え、双方を繋ぐ橋渡しをしていくという。
フォーラム後は、登壇する社会起業家と来場者の懇親会も予定されており、今日よりよい明日に向けた課題解決への取り組みに興味のある方は、ぜひ参加されたい。
◎同社関連取材およびセミナー情報
(取材・撮影・記事: 藤野 宙志 / 編集・制作:柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )