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取材レポート
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2025/08/01

【S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス】金融プロフェッショナル向け無料イベント「第17回 ETFコンファレンス」を開催!<Day 1>

| by:ウェブ管理者


 2025年6月3日(火)~4日(水)、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは2日間にわたって「第15回 ETFコンファレンス」をホテルオークラ東京で開催した。



 ETFコンファレンスは、機関投資家、運用会社、証券会社、銀行、フィナンシャルプランナー等、ETFに関心のある業界関係者を対象に、国内外の専門家の講演やパネルディスカッション、展示会を通して最前線の情報を発信するアジア最大級のETFコンファレンスで、国内はもとよりアジアを中心とした海外からも多くの関係者が参加した。

 今回はインデックスとETFがいかにして幅広い市場環境に対応する革新的な戦略を生み出しているのかを金融業界のスペシャリストと探っていくとして、開会前には朝食ネットワーキングも実施するなど、盛況理に閉会したETFコンファレンスのDay1の模様を写真で紹介したい。

開会挨拶&基調講演
 


【開会挨拶】マルティナ・L・チャン氏(S&Pグローバル プレジデント&CEO)

【基調講演】井藤 英樹氏(金融庁長官)
井藤氏は今後の金融行政の方向性をテーマに、政府における資産運用立国の実現やサスティナブルファイナンスの推進について講演した。

講演&パネル 


〇第1部「世界のETF市場の拡大と最新トレンド」

【講演:グローバル金融市場におけるインデックスソリューションの役割の進化】
ティム・エドワーズ氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 指数投資戦略部門ヘッド マネージング・ディレクター)

【パネル:米国と世界のETFトレンド】
<パネリスト>
・ミーガン・ビクター氏(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ ヘッド・オブ・インターミディアリー アジア・パシフィック地域)
・ロバート・ロス氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス CCO)
<モデレーター>
ティム・エドワーズ氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 指数投資戦略部門ヘッド マネージング・ディレクター)

パネル&講演 


【パネル:世界の取引所のETF市場発展への取り組み】
<パネリスト>
・ジャン=フランソワ・メスナール=センス氏(香港取引所 シニア・バイス・プレジデント 上場取引型金融商品部ヘッド)
・ローリー・カニンガム氏(オーストラリア証券取引所 投資商品部門 シニア・マネージャー)
・ウェイ・チン・カン氏(シンガポール取引所 ETFプロダクトマネジメント部)
<モデレーター>
・ショーン・フェール氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス グローバル株式指数 プロダクト・マネジメント部門)

【講演:Beyond Beta - アクティブ、デジタルとアウトカムが切り開く新時代のETF市場】
ニコラス・ピーチ氏(ブラックロック マネージング・ディレクター iShares アジア・パシフィック(APAC)地域責任者)

対談&パネル 


【対談:Market Concentration:  A Focus on Factors】
・ブライアン・ハーティガン氏(インベスコ ETF・インデックス投資部門 グローバル責任者)
・トム・ディグビー氏(インベスコ ヘッド・オブ・ETFビジネスディベロップメント&キャピタルマーケッツ APAC)

〇第2部「エナジートランジションとサステナブル投資」

【パネル:エナジートランジションとサステナブル投資】
<パネリスト>
・ダグ・ピーターソン氏(S&P グローバル スペシャル・アドバイザー)
・高田 英樹氏(GX推進機構理事(財務・サステナビリティ推進担当))
・ヴィンス・ヘオ氏(S&Pグローバル・コモディティ・インサイト ガス・電力・気候ソリューションチーム ディレクター)
・スザンナ・ファン氏(S&Pモビリティ コンサルティング アソシエイト ディレクター)
・スー・リー氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス インデックス戦略部門 アジア太平洋地区 ヘッド)
<モデレーター>
・大町 興二氏(S&Pグローバル マネージングディレクター S&P グローバル Sustainable1 上席顧問)


講演&対談 


〇第3部「投資家のニーズ拡大と商品の広がり Part 1

【講演:アジアの現地通貨建て債券市場整備 ーEMEAPにおける取り組みー】
通傳 友浩氏(日本銀行 国際局国際連携課 企画役)

【対談:アジアの債券市場の進化:新たな機会と課題】
・ケン・シエン・ング氏(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ 債券部門(アジア太平洋地域)責任者、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(シンガポール)責任者)
・カンウェイ・ヤン氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 債券部門 プロダクトマネジメント ディレクター)

パネル&講演 


【パネル:高ボラティリティ環境に対応した戦略の実践】
<パネリスト>
・オラン・ダーシー氏(Cboe オーストラリア アジア太平洋地域リスティング部門ヘッド)
・吉川 龍也氏(野村アセットマネジメント ETFソリューション部長)
・河内 直樹氏(First Trust Japan 日本オフィス代表)
<モデレーター>
・ジェイソン・イ氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 戦略指数部門 プロダクト&ディベロップメント シニアマネジャー)

〇第4部「マーケットビュー

【講演:グローバルマーケットビュー】
・キャメロン・シスタマンス氏(マーサー 伝統資産運用部長)

講演 


【講演:米国市場をS&P500から読み解く】
・アミット・パタック氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 米国株式商品部 アジア太平洋地域統括責任者)

〇第5部「機関投資家へのアプローチ: ETF活用と利便性の向上に向けて

【講演:分散投資の力:リスクの最小化とリターンの最大化を目指して】
岸本 拓之氏(ドイチェ・アセット・マネジメント ディレクター 機関投資家営業部 Xトラッカーズ セールス 日本ビジネスヘッド)

対談&パネル 


【対談:海外機関投資家によるETF活用とトレーディングの実態】
・フィリックス・ホー氏(サン・ライフ・アセット・マネジメント チーフ・インベストメント・オフィサー)
・ケン・ハン氏(フロー・トレーダーズ アジア太平洋地域 機関投資家トレーディング部長)
・山田 岳樹氏(フロー・トレーダーズ 機関投資家トレーディング部門 日本ビジネスヘッド)

【パネル:国内機関投資家のETF活用の現状】
<パネリスト>
・山口 貴大氏(全国共済農業協同組合連合会 全国本部 証券運用部 株式投資グループ)
・杉崎 翔大氏(みずほ銀行 国際証券投資部 外国株式投資チーム)
・西尾 富士男 氏(東洋英和女学院 法人事務局 財務部 部長)
・渡邊 雅史氏(ETF カタリスト・ジャパン 代表)
<モデレーター>
・三上 和久氏(ジェーン・ストリート 日本事業 営業統括部長)

閉会挨拶 


【閉会挨拶】亀井 健太郎氏(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 日本オフィス共同代表)

情報交換会 ネットワーキング・カクテルレセプション


展示会場 ブースアリア



 世界のETF残高が右肩上がりの成長を続ける中、インデックスとETFに関する多様なテーマを取り上げて開催された金融プロフェッショナル向け無料イベント「第17回 ETFコンファレンス」は盛況のうちに初日を終えた。翌日に開催されたDAY2の模様は以下のレポートをご参照いただきたい。

≫DA2のレポートはこちら




15:03 | 取材:金融・IT業界向け
2025/07/29

【S&P グローバル・マーケット・インテリジェンス】2025年の世界経済の混迷と機会について議論する「シフトの波を掴め:リスクをチャンスに変える戦略とは」を開催!

| by:ウェブ管理者


 2025年5月28日(水)、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは、2025年の世界経済の混迷と機会について議論する「シフトの波を掴め:リスクをチャンスに変える戦略とは」を帝国ホテルで開催した。

 世界経済が新トランプ政権による追加関税の影響で混迷を深め経済成長の制約に直面している中、2025年の世界経済の混迷と機会について議論する本フォーラムでは、2025年のパワー・プレイなど多数のトピックスが取り上げられ講演や議論が行われた。


基調講演 2025年のパワー・プレイ相互に作用する地政学上の対立、経済の変化、進化する貿易ダイナミクスを乗り切るには


 基調講演で田口 はるみ氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス 主席エコノミスト)は、アジア太平洋地域を中心に持続的なグローバル経済拡大の見通しと、成長に影響を与えうる潜在的なリスクの検証の他、関税と輸出規制による各国政府の貿易政策、およびこの政策を受けたグローバル・サプライチェーンと投資フローの再編などについて講演した。

プレゼンテーション 

 李 デービッド 広憲氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス ディレクター)は、変動し続ける政府の政策や規制に対し、より高い利益と低いリスクを実現するには、強力なデータおよび分析プラットフォームが鍵となるとして、関税やその他の貿易保護主義政策の活用と各国の対応が世界的な調達環境をどのように変化させるか、およびコモディティ、製造業、テクノロジーのサプライチェーンにおけるリスクやその対応について語った。

プレゼンテーション 

 遠藤 進一氏(S&Pグローバル・レーティング 事業法人格付部 アソシエイトディレクター)は、米国関税引き上げや景気減速に日本の事業会社の信用力は耐え得るのか、また日本で昂揚するシェアホルダー・アクティビズムが信用力に与える影響をどう考えるかについての考えを参加者に共有した。

プレゼンテーション 


  アンドレアス・ダルマワン氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス クオンツスペシャリスト、ディレクター)は、同社が加速する統合によるAIソリューション強化、デスクトップ・ワークフローを活用したのCIQ ProのAI適用拡大などについてプレゼンした。

ネットワーキングランチ 

 午前のセッションが終了後に昼食タイムが設けられ、提供されたランチを取りながら関係者・参加者同士のネットワーキングが行われた。

セッション1&2 ブレイクアウトセッション(同時開催)


 午後の部は2つの会場での同時開催で特別セッションを含め4つのブレイクアウトセッションが実施された。テーマやパネリスト等は以下の通り。

<セッション1>対談
AIを活用した信用リスク情報の効率的な収集とアウトプットによる信用リスク管理の高度化について

・河村 泰夫氏(MHIビジネスリスクサポート リスク調査部次長)
・岩田 剛氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス リスク&バリュエーションサービス、シニア・セールスエグゼクティブ)

<セッション2>パネル
高パフォーマンスに迫る戦略的データ分析と実装基盤の実証アセットオーナーが求める次世代の運用手法とは?

<パネリスト>
・日向野 智邦氏(大和アセットマネジメント 債券運用部 シニア・ファンドマネージャー)
・冨島 佑允氏(東京海上ホールディングス マネージャー、データサイエンティスト、多摩大学大学院 ファイナンス&ガバナンス客員教授)
<モデレーター>
・吉澤 宙之氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス エグゼクティブダイレクター、ヘッドオブ・プロダクツ)

セッション3&4 

<セッション3>パネル
国内プライベートアセット投資が直面する新たな局面に向けて

<パネリスト>
・宮田 忍氏(ランガムホール 日本担当)
・近藤 由美氏(Coral Capital VP Finance)
・小林 和成氏(MCPアセット・マネジメント マネージング・ディレクター)
・佐々木 陽子(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス ディレクター、プライベートマーケッツ、日本営業戦略担当)
<モデレーター>
・市坂 立也氏(Coral Capitalグローバル・マーケット・インテリジェンス エグゼクティブディレクター)

<セッション4>パネル
サードパーティ・デューデリジェンスの進化-リスクからレジリエンスへ

<パネリスト>
・齊藤 剛氏(金融庁 総合政策局リスク分析総括課サイバー・経済安全保障監理官)
・鎌田 敬介氏(一般社団法人金融ISAC アドバイザー)
<モデレーター>
・ジャスティン・ラフリン=ハイド氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス アジア太平洋地域KYPコマーシャル・ディレクター)

特別セッション1&2 

<特別セッション1>パネル&プレゼンテーション
生成の金融実務適用の現状と今後の展開について

<パネリスト>
・佐藤 市雄氏(SBIホールディングス 社長室ビッグデータ担当部長兼生成室長)
・上原 玄之氏(Snowflake インダストリー事業開発本部金融インダストリー統括部長)
<モデレータ―>
・甲斐 正樹氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス グローバル・アカウントマネジメント ディレクター)

<特別セッション2>プレゼンテーション
成功に導くデータ戦略-リアルタイム企業業績予測データの効果的な活用方法とは

・スコット・ウリスタ氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス データリサーチVisible Alpha、ストラテジック・ビジネス・ディベロップメント、日本・ANZリード)
・前田 敏朗氏(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス データ&リサーチVisible Alpha 日本オフィス、シニアセールス・レプレゼンタティブ)

 フォーラムでは不確実な政策環境におけるサプライチェーンの成功、関税や市場を巡る不確実性の高まりに立ち向かう日本の事業会社といった多数の注目トピックスについての講演・議論が行われたほか、ブレイクアウトセッションでは生成AIの金融実務適用の現状と今後の展開、リアルタイム企業業績予測データの効果的な活用方法といった実務の参考になる情報も多数共有された。同社の製品ソリューション、サービス等について詳細は同社のWEBサイトをご参照いただきたい。

(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )








19:30 | 取材:金融・IT業界向け
2025/07/11

【日本CFA協会】ジャパン・インベストメント・カンファレンス 2025開催!テーマは「Moving Forward to a GlobalAsset Management Power:資産運用立国の実現に向けて」

| by:ウェブ管理者


 2025年5月28日(水)、
日本CFA協会は、毎年恒例の「ジャパン・インベストメント・カンファレンス 2025を東京コンベンションホールにて開催した。

 日本CFA協会は、CFA協会(CFA Institute)の国内唯一のメンバーソサエティとして投資に関する教育プログラムを実施し、投資運用に関する専門知識の普及を目指す活動をしており、毎年1回、資産運用業界にとって重要でホットなテーマを取り上げて、同協会最大規模となる同カンファレンスを開催している。今回は「Moving Forward to a GlobalAsset Management Power:資産運用立国の実現に向けて」をテーマに、内外から専門家や当局関係者等を招き終日にわたる講演やパネルによる議論を実施した。


開会の辞 

 
 開会冒頭、ブレンダ・ホウ氏(CFA協会 APACグローバル・パートナーシップ&クライアント・ソリューション・シニアヘッド、
CGMA、 GAICD)来場御礼を丁重に述べた後、協会活動の近況やカンファレンスのテーマ解説を行い、革新的な投資の慣行、またこの持続可能な経済へに移行していくための大きな機会でもあり、チャレンジでもあります。来場された専門家の皆様ですが、この転換をリードしていただき、そして業界の先端を作っていくものだと語り開会挨拶とした。

講演
 米国に学ぶ資産運用業の発展


 ルイ・デ・フィゲイレド氏(モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント マネージング・ディレクター / インベストメント&クライアント・ソリューションズ・グローバル責任者 兼 ソリューション&マルチアセット・グループCIOは、資産運用会社の統合、オルタナティブ投資の成長、リテールチャネルの成長、アクティブ運用への継続的な需要といった4つのテーマについて講演した。

講演 運用力とエンゲージメント活動の高度化に向けた取り組み


 
村尾 祐一氏野村アセットマネジメント 常務 CIO)は、GPIFによる企業インタビュー結果概要、および企業から見た機関投資家によるエンゲージメントの課題を踏まえた活動の高度化についての考えを共有した。

パネルディスカッションⅠ 資産運用会社が語る「運用力強化」に向けた課題とその解決策について


<パネリスト>
ハリー・ムーア氏(ファースト・センティア・インベスターズ チーフ・コマーシャル・オフィサー
デービッド・セマイヤ氏(三井住友トラストアセットマネジメント 代表取締役会長
重富 隆介氏(ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役会長)
杉原 規之氏(アセットマネジメントOne 取締役社長)

<モデレーター>
石井 誠二氏(Greenwich Associates Japan 代表取締役

 
パネルには資産運用会社各社のトップが登壇。運用力強化に向け商品提供でどのようなモデルが大事で、そして実践的であるのかについて述べた。そして、日本の投資カルチャーに基づいた投資プロフェッショナル教育を行っていき、どのように人材を保有するのかについて議論を交わした。


スポンサー・プレゼンテーション



 スポンサープレゼンテーションでは協賛各社による自社ソリューション、サービス等の紹介も交えた講演が実施された。

 スー・リー氏
CFA、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス 指数投資戦略部 アジア太平洋地域ヘッド ディレクターが登壇し、「デリバティブを基にしたインデックス戦略を押さえる 」と題し、講演が行われた。

 続いて、阿部 真也氏(MSCI エグゼクティブ・ディレクター APACリサーチ)が登壇し、「2025年 投資動向の展望」と題し、講演が行われた。

基調講演


 岸田 文雄氏(衆議院議員 / 第100-101代 内閣総理大臣は基調講演で、資産運用立国の実現に向け、我が国の家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費に繋がる「成長と分配の好循環」を実現すべく、政府の取組み内容や方針について講演した。

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 元利 大輔氏(モーニングスター・ジャパン マネジャーリサーチ部長が登壇し、「新NISAと下落相場の資金動向:モーニングスターの市場分析とファンド評価」と題して、講演が行われた。

 続いて、ロビン・ツイ氏(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ  APACゴールド・ストラテジスト)が登壇し、「金の価格動向と、投資家の資産ポートフォリオにおける金の役割」と題して、講演が行われた。

講演 GPIFのサステナビリティ投資


  内田 和人氏(年金積立金管理運用独立行政法人 理事長
日本の年金制度とGPIFの役割、2つの運用目標の関係や運用実績を皮切りに、サステナビリティ投資推進に向けた取組みや課題について講演した。

講演 インパクト投資が動かすアセットオーナーの未来


 ジェームス・ハーマン氏(CFA、HESTA 投資事業リスク・戦略担当ゼネラル・マネージャー)は、
経済的なリターンと同時に、投資を通じて社会的な課題解決や環境保護を目指す投資であるインパクト投資がアセットオーナーに与える影響やその未来を紹介した。

パネルディスカッションⅡ 運用の高度化に向けたアセットオーナーの課題と取り組み


<パネリスト>
伊藤 武氏(CFA、アイシン企業年金基金 シニア・インベストメント・オフィサー)
野村 裕之氏(かんぽ生命保険 執行役員 兼 運用企画部長
杉本 直也氏CFA、国立研究開発法人科学技術振興機構 資金運用本部副部長 兼 資金運用室長,マネージング・ディレクター)

<モデレーター>
谷口 和歌子氏(ラッセル・インベストメント エグゼクティブ・コンサルタント

 パネルでは、監督と執行が機能するような体制整備や、ガバナンス面で取り組み強化について、直近の取組状況、課題等を各社の事例を用いながら意見を交わした。

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 若林 大毅氏
ファクトセット 日本アナリティクス担当ディレクター)が登壇し、「新規戦略の迅速かつ機動的な実装のためのアプローチ」と題して、講演が行われた。

 続いて、斎藤 千恵氏LSEG(エルセグ/ロンドン証券取引所グループ)アナリティクス ビジネスディベロップメント シニアマネージャー)が登壇し、「LSEG リッパー グローバル市場のファンドフロー」と題して、講演が行われた。

講演 3つの壁に直面する個人投資家


 平山 賢一氏麗澤大学経済学部教授 / 東京海上アセットマネジメント 参与チーフストラテジスト)は、格差拡大社会、超高齢社会、情報氾濫社会という3つの壁に対して投資家はどう対処していくべきかを中心に講演した。

講演 成功の条件 ー 投資教育が投資家に与える力


 ポーリーン・ソー氏(シンガポール証券投資家協会 (SIAS) ゼネラル・マネージャー)は、個人投資家の金融リテラシーや知識、意識、教育等に関する協会の理念や取組みを参加者に共有した。

パネルディスカッションⅢ 資産運用の障壁を乗り越える ー 個人投資家が本気で動くために必要な条件とは?

<パネリスト>
八幡 道典氏(金融庁 企画市場局参事官)
野村 亜紀子氏(野村資本市場研究所 主席研究員)
高際 伊都子氏(渋谷教育学園 渋谷中学高等学校 校長、学校法人渋谷教育学園 評議員)
田村 正之氏(日本経済新聞社 編集委員)

<モデレーター>


 パネルでは個人投資家がより一層資産運用に取組んでいくための障壁、それを乗り越えていくための方策等について登壇企業の取組紹介も含めて議論が行われた。

閉会挨拶 


 最後の出川 昌人氏(CFA、
日本CFA協会 会長)による挨拶で終日にわたって行われたコンファレンスは閉会し、多くの参加者がネットワーキングレセプション会場に移動した。

レセプション&ブース 


 日本CFA協会のフラッグシップイベントで、毎年資産運用業界にとってホットなテーマを取り上げて開催している本コンファレンス。今回は今後の更なる資産運用立国の実現に向けて、資産運用業が国民の資産形成に資すると共に資産運用会社の収益力向上にも資する必要があるとの認識のもと、「運用力強化」、「投資家ニーズのソリューション」の課題や解決、影響について深堀した議論が行われた。新NISAの拡充等により投資人口の裾野が広がりつつあるなか、個人向け資産運用業における金融商品開発や投資環境の整備を後押しする観点からも、本コンファレンスが次回も盛況となることを期待したい。

(取材、撮影、記事、編集・制作 :株式会社グッドウェイ@メディアプロモーション事業部 )



09:03 | 取材:金融・IT業界向け
2025/07/02

【ACSiON/SBI新生銀行】導入企業インタビュー「偽造本人確認書類対策を強化~ACSiON導入の背景と導入効果」

| by:ウェブ管理者


インターネットバンキングなどのオンライン金融サービスの拡大に伴い、偽造された本人確認書類を用いた不正な口座開設の申込みが増加している。特に銀行では、これらの偽造本人確認書類を確実に見分け、不正口座開設を防止することが重要な課題となっている。こうした状況の中、SBI新生銀行は、偽造運転免許証などを高精度で識別する技術を提供するACSiONの『本人確認書類真贋判定 特徴資料』サービスを導入し、対策を強化した。

このサービスは、運転免許証やマイナンバーカード、在留カードにおいて、正規の本人確認書類のフォーマットのルールを網羅的にまとめ提供することで偽造本人確認書類との判断を高い精度で判定することを可能にするものだ。SBI新生銀行は、いち早くこのサービスを導入し、成果を上げている。

今回、同サービスの導入を担当したSBI新生銀行の山本氏に、その背景や効果について詳しく話を伺った。


  高度化する偽造本人確認書類、対応に迫られる銀行

本人確認書類の偽造は今に始まったことではない。しかし近年、その精巧さは格段に向上している。「現物を手にしてもわからないほど精巧なものが出回っている」と山本氏は指摘する。運転免許証の偽造が主流であったが、最近ではマイナンバーカードや保険証、在留カードなど、対象が多様化しているという。

特に運転免許証は47都道府県の公安委員会によってフォーマットが異なり、それらすべてを銀行側で把握することは極めて困難で「一部の担当者がこの地域の免許証は詳しい、といった状況はあっても、全てを網羅的に把握することは到底できない」と山本氏は当時の課題を振り返る。

これまでSBI新生銀行では、偽造と判断した本人確認書類をアルバムのように保管し、調査担当者間で共有していた。しかし、明確な判断基準がないまま偽造を特定することは難しく、担当者によって判断にバラつきが生じることもあった。
「明らかにフォーマットがかけ離れたものであれば把握できる一方、最終的な判断を銀行だけで行うことは難しい部分もあった」と山本氏は説明する。


  ACSiON導入の決め手と期待

ACSiONの『本人確認書類真贋判定 特徴資料』サービスは、SBI新生銀行にとってまさに求めていたものだった。「このサービスについては本件のようなサービスを提供している企業が他にはないと思っていた。銀行がまさに欲しくて手が届かなかったものを、ピンポイントで提案いただけた」と山本氏は評価する。

ACSiONとは以前から様々なサービスで接点があり、SBI新生銀行グループ各社へのサービス提供やコンサルの実績もあった。そのため、社内での導入判断はスムーズだった。「こういうサービスがあるなら入れよう、と速やかに決定した」と山本氏は話す。

懸念点としては、運転免許証のフォーマットが都道府県ごとに予告なく更新される点があった。しかし、「新しいフォーマットを見つけた場合、ACSiONに連携することで速やかに更新いただける。また、ACSiONもフォーマットの変更を確認してくれる」ということで、懸念は解消された。


  導入後の具体的効果と業務改善

ACSiONのサービス導入により、調査担当者が統一された基準で判定できるようになった効果は大きい。「これまでは10人の担当者がいれば10人独自の目線で見ていたが、一定の基準と照らし合わせることで、『この点がおかしいので偽造だと思います』と自信を持って言えるようになった」と山本氏は導入効果を語る。
実際に、偽造と判断できる書類の数は大幅に増加しており、山本氏は次のように数字を示した。

「当行内で偽造と判断しきれなかったものが明確に判断できるようになったものは、3〜4倍になっている」

また、「悩む時間が短くなり、正確な判断が可能になった」と山本氏は評価し、判断時間短縮も実現している一方で、それ以上に正確性の向上効果の方が大きいという。重要な成果として、正規の申込者を誤って断ってしまうケースが減少したことも、そのひとつだという。「以前はフォーマットがおかしいと思われると、基本的には口座開設をお断りすることが多かった。明確な判断基準がない中では、正当なお客様を断ってしまっていたケースも少なからずあったと思う」と山本氏は振り返り、業務面でも大きな変化を感じている。


  今後の展望と業界連携の重要性

金融犯罪対策として、SBI新生銀行は特殊詐欺やSNS型投資詐欺の被害防止に注力している。特に被害を未然に防ぐための取り組みとして、モニタリングのリアルタイム化と自動利用制限化を進めている。「犯罪者が管理する口座に被害者が詐欺被害のお金を振りこんだ場合、入金したタイミングで自動的に口座を凍結できれば、被害者に返金できる。また、当行のお客様が被害に遭うケースでも、不審な口座への送金を止めることで被害を防げる」と山本氏は説明する。

偽造防止技術の業界全体への普及については、「一つの銀行が対策を強化しても、対策できていない銀行が集中的に狙われるだけ」と山本氏は指摘する。そのため、銀行をはじめとする金融機関全体で対策の底上げが必要だと強調する。

現在、金融機関間では定期的に情報交換会が行われており、対策の高度化や情報共有が進められている。山本氏は、ACSiONのサービスを導入する金融機関が増えることで、「ユーザー会」のような形で情報を共有する場ができれば効果的だと提案する。「各社で今のトレンドや各業界での傾向を共有し、たとえばどの地域でどういう偽造が流行っているかを持ち寄って発表できる機会があれば」と期待を語る。

また、「銀行だけでなく、クレジットカード、証券、貸金など、金融機関全体、さらには業界を超えた情報共有」の重要性を強調したうえで、次のように締めくくった。

「犯罪者は一つの偽造本人確認書類を様々な金融サービスで使い回す傾向がある。そのため、業界の垣根を越えた情報共有が極めて重要である。」

金融犯罪対策の最前線で、テクノロジーと情報共有を両輪に、より安全な金融環境の実現を目指すSBI新生銀行。ACSiONとの連携により、その取り組みはさらに強化されている。

(取材、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )



18:36 | 取材:金融・IT業界向け
2025/06/13

【グッドウェイ】生成AIと金融DXのリアルと展望を追う「金融AI EXPO2025」を開催!(午後の部)

| by:ウェブ管理者
 
 2025年5月23日(金)、グッドウェイは「金融AI EXPO2025」を東京コンベンションホールにて開催した。

 本記事では、当日午後の特別講演やパネルディスカッション、表彰式を含む一連のセッションの内容を通して、金融業界における最新の取り組みと各社の実践事例をご紹介する。

特別講演 「生成AIが変える金融モダナイゼーション~レガシーからの脱却~」


 
 生成AIの活用が進む一方、金融機関では依然として「レガシーシステム」の課題が大きく立ちはだかっている。本講演では、小倉 哲哉氏( 三菱UFJトラストシステム 取締役 常務執行役員 )と、勝本 秀之氏( Trust CPO Principal Solution Lead(生成AI X レガシー担当))が登壇し、現場でのAI活用と刷新の取り組みが語られた。

 勝本氏は、Trustが開発した「Trust TLanP」というソリューションを紹介。1980年代から使われ続けるメインフレーム系システムを対象に、手書きの仕様書や古いソースコードなどを生成AIで解析し、可読性の高い情報へと変換。仕様書の自動生成や新旧システムの出力比較による検証支援などにより、調査や設計の工程を大幅に効率化できると説明した。

 対談では、小倉氏が三菱UFJトラストシステムの立場から「開発力の強化」を最重要課題に据えている現状を共有。システム開発の多くが新規開発ではなく、既存システムの改修や影響調査であり、コード生成よりも前工程にこそ生成AIの効果が期待できると語った。実際にTrust社の支援を受けながら、仕様解析やドキュメント整備のPoC(実証実験)も進めているという。

 今後については、単なる自動化にとどまらず、開発プロセス全体の再設計やリテラシー向上、そして品質保証の在り方が大きなテーマになると指摘。現場の理解や品質感に配慮しながら、生成AIを導入・活用していく姿勢が、印象的なセッションとなった。

講演 「金融機関のDX推進における生成AIの活用」


 生成AIの進化により、金融機関のDX推進は新たなフェーズを迎えている。本講演では、及川 恵一朗氏( アルテアエンジニアリング 営業本部 金融法人担当セールスマネジャ )と、井口 亮氏( 金融データ活用推進協会(FDUA) 金融業界横断データ連携PFWG WG長、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー データアナリティクス技術開発部長 )が登壇し、生成AIを活用したデータ統合や業務高度化の可能性について語られた。

 井口氏は、金融業界におけるデータのサイロ化が大きな課題であると指摘。巨大な中央DBの再構築ではなく、仮想的に連携させる「データメッシュ」的な構想が注目されていると述べた。また、共通の社会課題に対して複数の金融機関が連携する事例や、ガバナンスと柔軟性を両立させる連邦型のデータ統治モデルにも言及した。

 さらに、DXの目的は単なる効率化ではなく、パーソナライズドな顧客提案やオルタナティブデータとの掛け合わせによる新たな収益創出にあるとし、データ活用の広がりがサービス変革にも直結する可能性があると語った。

 生成AIの実装に際しては、ハルシネーション(誤情報生成)のリスクや説明責任への対応も不可欠であり、AIエージェントの導入に向けてはセキュリティやアクセス管理を含む統制設計が求められる。技術と実務をつなぐ実践的な視点が光るセッションとなった。

講演 「生成AIを活用するための基盤づくりとは~もはやAIで稼ぐ時代へ突入~」


 
生成AIをいかに業務に定着させ、収益に結びつけるか。その鍵を握るのが「基盤づくり」だ。本講演では、高坂 亮多氏(セゾンテクノロジー CTO)と盛田 哲夫氏(セゾンテクノロジー プロダクトセールスエンジニアリング部)が登壇し、生成AI活用に必要な基盤設計の考え方と、金融機関における具体的な活用事例を紹介した。

 高坂氏はまず、生成AIを業務に本格適用するためには、単発のPoCにとどまらず「再現性ある運用」が必要だと指摘。導入初期からログ取得やデータの前処理方法を標準化しておくことで、全社展開やコスト配賦に向けた判断をスムーズにし、抵抗感なくガバナンスを利かせていく「シフトレフト」の考え方を紹介した。セゾンテクノロジーでは、自社プロダクト「HULFT Square」を通じて、あらゆる生成AIモデルに共通のAPI経由でアクセスし、プロンプトや利用状況のログを一元管理できる仕組みを整備。用途別の利用実績やプロンプト内容を可視化・分析することで、活用の最適化やFAQの自動更新、ガードレールの運用改善にもつなげているという。

 盛田氏からは、実際の金融機関での導入事例が紹介された。セブン銀行では、構内利用の生成AIプラットフォーム「セブンバンクブレイン」とHULFT Squareを連携させ、自然言語でのデータ分析とグラフ生成を実現。オンプレミスやSaaSなど多様なデータソースをまたいだ連携が可能で、生成AIを安心して活用できる環境づくりに貢献している。また、あるネット銀行では、AML対策や審査業務の効率化を目的に生成AIを導入。書類チェックや画像データの翻訳・構造化を自動化し、業務処理量を飛躍的に拡大させることに成功したという。

パネルディスカッション 「生成AIが拓く未来像~SMBCグループの挑戦と展望~」


 
生成AIの社会実装が本格化する中、SMBCグループをはじめとする官民の先進的なプレイヤーが一堂に会し、実践と展望を語り合ったパネルディスカッション。白石 直樹氏( 三井住友フィナンシャルグループ  デジタルソリューション本部 執行役員 デジタルソリューション本部長)、藤本 昌吾氏( 日本総合研究所 技術統括部長)、大久保 光伸氏( 財務省 デジタル統括責任者補佐官、デジタル庁 ソリューションアーキテクト )を迎え、岡田 拓郎氏( 金融データ活用推進協会(FDUA) 代表理事、金融IT協会(FITA) 副理事長、Trust 代表取締役CEO)のモデレーションのもと、多角的な視点から議論が展開された。

 白石氏は、SMBCグループにおける生成AIの業務適用事例として、社内チャット活用による問い合わせ対応や、デジタル子会社での取組事例を紹介。特に、フル生成AIよりもルールベース技術との組み合わせの方が、精度・コスト両面で効果的だったと語り、実務視点での検証結果に注目が集まった。

 藤本氏からは、日本総研での取り組みとして、社内向けAIチャットボットによる業務効率化、ならびにコード自動生成やレガシー対応のユースケースが紹介された。また、今後に向けてはマルチLLMに対応した開発基盤の整備や、人材育成に向けた社内研修・コミュニティ形成にも注力していると語った。

 官民の橋渡し役として登壇した大久保氏は、生成AIを軸とした行政改革や地方自治体でのユースケース、国主導で進むクラウド基盤整備の現状に触れ、民間連携によるボトムアップ型の変革が重要であると強調。特に、アナログとデジタルの混在がコスト高を招いている現状を指摘し、生成AIを活かした新たな業務構築への期待を述べた。テクノロジーの進展と向き合いながら、柔軟に変化を取り入れる企業文化こそが、次の時代の競争力となる。そんなメッセージがにじむセッションとなった。

講演 「金融業界の革新を加速させるAIエージェントの実装 〜ユニバーサルAIプラットフォームによる、統制とナレッジを兼ね備えた次世代AI実践活用〜
 

 生成AIとAIエージェントの活用が急速に進むなか、金融業界の現場での実装に向けた動きが加速している。本講演では、岩下 優介氏( Dataiku Japan 金融営業部 部長 )・木邑 文彦氏( Dataiku Japan セールスエンジニアリング部 シニアセールスエンジニア )、そして佐藤 竜介氏(東京海上ホールディングス ビジネスデザイン部 マネージャー、金融データ活用推進協会(FDUA) 生成AIWG WG長)が登壇し、「金融業界の革新を加速させるAIエージェントの実装」というテーマで、それぞれの立場から最新の取り組みと課題意識を共有した。

 佐藤氏は冒頭、FDUA(金融データ活用推進協会)において自身が携わる生成AI関連のワーキンググループの活動として、金融機関向けの生成AIガイドラインを策定・公開した経緯を紹介。現場での実務に活かせる形で、ルールやユースケース、リスク評価の枠組みを提示したと述べた。今後の改訂では、AIエージェントに関する運用上のリスクや統制設計に焦点を当てた内容のアップデートを予定しており、とくに自律的に動作するエージェントが互いに影響を与え合うことで起こりうる「エージェントジャック」のような想定外の挙動に対しても、備えが必要であると指摘した。

 続いて岩下氏・木邑氏は、Dataikuが提供するAIプラットフォームの特徴とユースケースを紹介。生成AIや機械学習に加え、AIエージェント機能を統合した同社のソリューションでは、オンプレミス・クラウド・外部APIなど多様な環境と接続し、業務に即したデータ処理や意思決定の支援が可能であるという。デモでは、AML(マネーロンダリング対策)領域における異常検知やレポート作成支援の例が紹介され、複数のエージェントが連携して分析・要約・報告を担う流れが示された。また、従来業務で求められる監査証跡の要件にも配慮されており、エージェント出力のログ活用を通じて透明性を保った運用が可能である点も言及された。

講演 「なぜ社内で生成AI活用が進まないか:AI活用の現在地とこれから
 

 生成AI活用の機運が高まる中でも、現場レベルでの定着には課題が残る。本講演では、長谷川 大地氏( WorkX LeanDataX  ディレクター、金融データ活用推進協会(FDUA) 標準化委員会)と中村 義幸氏( セブン銀行 AI・データ戦略部長、金融データ活用推進協会(FDUA) 理事 標準化委員会 委員長代行)が登壇し、「なぜ社内で生成AI活用が進まないのか」を切り口に、取り組み事例とともに実践的な知見が共有された。

 前半パートに登壇した長谷川氏は、フリーランス人材とAI専門人材を束ねるプラットフォーム運営の視点から、コンプライアンス領域における生成AIの応用可能性を紹介。メールやチャットのやりとりに含まれる個人情報や不適切な表現、談合の兆候などを検出する領域について、生成AIと機械学習を活用した分析の有効性が高いとし、自社でもツールの試作・実装に取り組んでいることが紹介された。また、生成AI活用が進まない主な要因として、技術知識への理解不足、業務変革との接続の難しさ、AIありきのテーマ設定による現場の負担感などを挙げ、トップダウンの号令だけでは定着が難しいと述べた。

 後半では、セブン銀行の中村氏が自社の取り組みを紹介。7年前から始まったAI活用が社内組織へと進化し、2025年4月にはAI・データ戦略部が新設されたという。生成AI活用では、日常業務の効率化から着手し、社内で自前の環境「7Bank-Brain」を構築。プロンプトUIの整備や外部ツール連携により、社員の約6割が毎月利用する体制を実現している。ドキュメント検索や自然言語によるデータ分析機能に加え、「社長AI」と呼ばれるインタビュー学習型の応答システムも開発され、将来的には社員ごとのクローンを通じたAIエージェント活用を構想していると語った。


パネルディスカッション 「金融グループ横断でのSnowflakeデータ活用」


 
金融グループ内外のデータをいかに横断的に活用し、AI活用へとつなげていくか。本セッションでは、西潟 裕介氏( 三菱UFJ信託銀行 デジタル戦略部 DX統括推進室 AI推進グループ 調査役・ジュニアフェロー)、須甲 仁志氏( 三菱UFJアセットマネジメント 運用企画部 運用IT戦略室 室長)、佐藤 市雄氏(SBIホールディングス 社長室ビッグデータ担当 部長 兼 SBI生成AI室長、金融データ活用推進協会(FDUA) 理事 兼 企画出版委員会 委員長)の3名が登壇し、上原 玄之氏(Snowflake インダストリー事業開発本部 金融インダストリー統括部長)のモデレーションのもと、Snowflakeを活用したデータ基盤整備の現場について語り合った。

 佐藤氏は、SBIグループが取り組む「データメッシュ」の構想と実装状況を紹介。2012年からビッグデータ基盤の整備を進め、現在はSnowflakeを中心にグループ会社の異なる環境(クラウド、オンプレミスなど)を横断するデータ連携を推進しているという。各社から収集したデータをホールディングス側で管理・整備し、AIアプリやレポートに活用。最近では、社内外での活用実績をKPIとして可視化し、成果の蓄積によって新たな連携先を自発的に引き込む好循環が生まれていると語った。

 西潟氏は、信託銀行におけるデータサイロの解消と、事業部主導によるデータ利活用基盤の構築を説明。Snowflakeを活用し、アプリケーションの共通利用による環境整備や、非構造データの構造化を進めている。生成AIの登場によって、従来よりも幅広い部門でデータ活用の裾野が広がっており、AIと人の双方が扱える柔軟な基盤づくりが重要だと指摘した。また、データ単体ではなくロジックやアプリケーションを含めた「仕組みごと」の共有により、グループ横断の連携が進みやすくなるという実感も共有された。

 須甲氏は、2024年10月にSnowflakeを導入したばかりの立場から、自社の課題と可能性を語った。資産運用業務において非構造なニュース・決算・レポート等のデータを扱う必要があり、今後はそのデータベース化と活用によって業務の高度化を目指しているという。まずはスプレッドシートやオンプレ環境の情報を集約し、小さなユースケースから順に成果を積み上げていく方針を示した。

金融データ活用組織 「FDUAアワード 2025 表彰式 powered by FDUA


 
金融AI EXPOの締めくくりとして「FDUAアワード2025 表彰式」が開催された。主催は一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)。本アワードは、データ活用に関する先進的な取り組みを表彰し、業界全体のレベルアップと実践知の共有を目的とした新たな試みである。記念すべき第1回となった今回は、標準化委員会の白石寛樹委員長(三井住友カード)、中村義幸委員長代行(セブン銀行)らの挨拶に続き、三部門での表彰が行われた。



 まず「特別賞」では、プレゼンターとして佐藤 市雄氏(金融データ活用推進協会(FDUA) 理事 兼 企画出版委員会 委員長)が登壇し、データ活用を通じた人材育成や地域貢献の面で顕著な成果を上げた3社が選出された。クレディセゾンは、「現在の新しい世界を、3年後の普通にする」というコンセプトを掲げ、全社横断でのデータ推進を進めている。三井住友ファイナンス&リースは「全社員をDX人材に」というビジョンのもと、伴走型の基盤整備に注力。伊予銀行は、地域企業との予測・伴走モデルを通じて地方経済への還元を目指す姿勢が評価された。



 次に「データ活用賞」では、プレゼンターとして岡田 拓郎氏( 金融データ活用推進協会(FDUA) 代表理事 )が登壇し、データ活用の仕組みと成果を両立させ、業界全体にも波及する実践が評価された。信金中央金庫は、全国254の信用金庫のうち145行が参加する「信金DB」プロジェクトを通じ、マーケティングや信用スコアリングの高度化を実現。八十二銀行は、3名の素人行員から始まった小規模な取り組みを、地域金融機関のモデルケースへと育て上げた。りそなホールディングスは、AI活用を意識させず業務に浸透させるサービス「データイグニッション」で他行にも知見を還元している。

 総括として、松橋 正明 氏(セブン銀行 代表取締役社長、金融データ活用推進協会(FDUA) 顧問)より、ビデオメッセージにて発表された。


 最後に「大賞」では、プレゼンターとして中島 淳一氏( 金融データ活用推進協会(FDUA) 顧問 )が登壇し、受賞した日本生命保険を表彰した。2019年、5人と小さなチームから始まった取り組みがいまでは多くのメンバーを巻き込み、全社的なデータ活用へと展開している。FDUA加盟後は標準化委員会や生成AI WGでの活動を通じ、知見を社外にも広く共有している。受賞スピーチでは「褒められることの少ないデータ業務がこうして評価されたことが何より嬉しい」と語り、会場には温かな拍手が響いた。

<<午前の部はこちら>>




(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )




09:16 | 取材:金融・IT業界向け
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