厳しい担保要件が誕生した理由は、2003年の取付け騒ぎを発端とした金融危機にさかのぼる。2005年5月の中央銀行の通達により、銀行の安全性を高めるべく融資の際に“Strong Collateral”が求められるようになった(※3)。また同通達ではForced Sale Valueの評価も求めており、十分な不動産を有さない借り手は、資金調達が困難な状態にある。この問題を解決すべく、三井住友銀行の協力のもと、信用保証制度の構築が進められ、2014年より国営Myanma Insuranceが信用保証制度を開始した。当初の仕組みは、銀行が担保処分によっても回収できなかった「損金の60%」を保証するものであった。銀行の安全性を重んじ損失発生を嫌う銀行業界にとって、損失が発生しない限り発動されない仕組みは受け入れられないものだった。実際、開始から約1年間、利用実績は皆無だった。この課題を解決すべく、損金の60%ではなく、貸し倒れ時点の「融資残高の60%」を保証する仕組みに変更された(※4)。同記事によれば、保険料は担保でカバーできる部分が2%、担保のない部分が3%とのこと。借り手にとっては、借入利率(※5)に保険料を加えてもマイクロファイナンスや消費者金融(※6)と比べて非常に割安であり、魅力的な水準だろう。銀行にとっても、融資額の40%を担保で回収できれば損失を回避できる。担保要件の緩和に結びつくものとして、信用保証制度の積極的な活用が期待される。