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2013/10/29

【大証】先物・オプションレポート2013年10月号「デリバティブ市場の統合に寄せて」

| by:ウェブ管理者
岡三証券 株式会社 森本敏喜

1.はじめに
平成26年3月24日、大阪、東京の両取引所のデリバティブ市場が大阪に統合され、株式会社大阪証券取引所も株式会社大阪取引所に商号変更が予定されている。総合取引所化の取組みの第一歩であろう。
5年前の秋、平成20年9月に筆者は、「日経225先物上場20周年に寄せて~日経平均先物~」を記し、上場からの20年を振り返り、最後に「課題と今後の展望について」を上程し、世界有数のトップクラス市場へ発展していくことを期待していた。あれから5年経過し取引所統合が起こり、大きな変革、大きな発展がなされているように見えるが、業界に携わっている実務者において、発展が実感されているのだろうか。筆者は何かすっきりしないものを感じている。最近のトピックを整理しながらその問題点を筆者なりに整理し、証券マーケット、取引所統合の今後の発展を願いたい。
尚、本レポートの記載内容については、筆者の考えであり、現会社移籍前の経験を含めて記しております。

2.電子証券取引
電子取引という言葉が普通に使われているが、しっかりとした定義があるかというとそうでもなさそうである。顧客とブローカー(証券会社等)と交わす書類関係において、定義や注釈記載等で対応している会社が多い。また、電子取引において「FIX」という言葉が頻繁に出てくるが、これは、通信プロトコルの一種であり、お互いが通信するための「通信規約・通信手順」のひとつである。1980年代半ばのことになるが、FIXプロトコルで統制される前は、電話とFAXでの受注であった。注文が1件や数件の場合は、電話での注文受注でよかったが、生保、損保、銀行、そして投資顧問、投信会社等の運用資金の拡大、またポートフォリオ運用の発展により、発注銘柄数が多くなり、効率性、安全性、業務スピードを総合的に考えて、FAXによる注文が始まったと記憶している。数十銘柄の発注リストの受注と約定報告レポートを、FAXで行っていた。その後、データ量の増大と注文時間短縮化のニーズが高まり、パソコン通信を使ってのファイル転送を行う顧客も登場してきた。セキュリティを重視した対応であった為に、顧客ごとに専用パソコンと通信機器が必要であり、専用回線での対応を行う顧客もおり、相当量の机上スペースを使っていた。その後インターネットプロトコルを使ったこともあったが、セキュリティの問題と、証券会社の発注システムに直接続したいニーズにより、徐々にFIXプロトコルがスタンダードになっていった。1991~1992年、欧米の運用会社とブローカーが行っていた通信プロトコルがベースになり、1994年に米国で統一、1996年に「FIX4.0」のバージョンから4.1(1998年)、4.2(2000年)4.3(2001年)4.4(2003年)とバージョンアップされてきたと記憶している。
電子取引について、1980年代後半からあったもので、ITの進歩とともに進化してきた。それが、ここ10年で広く認知されたのは、FIXを利用する目的として、業務の柔軟性や取引量増大の対応等が挙げられるが、同等に多数のブローカーと統一的にコミュニケーションが可能になることであった。これは、OMS(オーダーマネジメントシステム)や決済システムとの統合をも可能にしたわけであり、その後のビジネス多様化を作ったといえる。すなわち、1980年代後半では、物理的な制約で少数のブローカー、少数の顧客としかコミュニケーションできなかったものが、FIXプロトコルの利用で、多数対応できるようになり広く認知されることになった。


原文はこちら
http://www.ose.or.jp/derivative/about_trading/future_option_report?id=690

17:12 | 金融:行政・取引所・団体
 

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