2013年11月1日(金)、ネットマークス(大企業やデータセンター事業者のITインフラ構築)、ヴイエムウェア(仮想化ソリューション)、コービルジャパン(運用パフォーマンス監視ソリューション)、Gigamon(通信事業者のL1Switch)の4社は、東京・ホテルニューオータニ アリエスの間(ガーデンコート5階)において、通信事業、証券業、金融業などのデータセンターの管理運営者向けに、共催セミナー「ITインフラの仮想化の問題点と最適化」を開催した。
セミナーでは、データセンターや情報インフラ基盤に集中するトラフィックの増大やバーストトラフィックの発生など現場で直面している課題や問題点を例に挙げ、各社の最新ソリューションや導入実績とその効果などを紹介、事業拡大に寄与する戦略的なIT基盤のあり方を提唱した。また、休憩時間やセミナー終了後には、用意されたブースの前で参加者との意見・情報交換や質疑応答が行われた。
冒頭のネットマークス代表取締役社長 佐藤 宏 氏による挨拶では、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルといった第3のプラットフォームの登場による膨大な情報量やトランザクションへの対応における仮想化のメリットと複雑化する運用における最適化の重要性に触れ、そのボトルネックの解消のみならず、いかにビジネスに活用していくかということについて取組んでいくとした。
最初の講演「仮想化するITインフラの現状と将来の展望」(ヴイエムウェア パートナー第一営業部 パートナーマネージャ 矢部 健人 氏)では、仮想化ソリューションの先駆者としての企業紹介や市場シェアのほか、サーバーの仮想化に加えて本番環境に必要な要素を全て仮想化して展開するSoftware Defined Datacenterの登場によるクラウドエンドユーザコンピューティングの加速、日本の仮想化状況と今後のステージに触れ、2013年8月に米サンフランシスコで開催したコンベンション「VMworld2013」、2013年11月に開催する「VForum2013」など、将来展望とヴイエムウェアの中長期的なビジョンを交え紹介した。
2番目の講演「仮想インフラ環境下でのデータトラフィック収集」(Gigamon セールスエンジニア 清水 猛 氏)では、仮想化されたITインフラ環境におけるサービスやビジネスのデータトラフィックの複雑性が高まっている中、仕組みの強化が求められているモニタリングや可視化のソリューションとその効果、運用パフォーマンス監視と連携した仮想環境全体の可視化の手法について解説した。
休憩を挟み、3番目の講演 「仮想インフラ基盤の可視化と運用パフォーマンス監視」(コービル ジャパン セールスエンジニア 梅森 洋樹 氏)では、大容量化が進むネットワークとデータの現状と課題、利用者のQoE(Quality of Experience)に触れ、仮想化ITシステムの可視化とそのパフォーマンス監視の手法、仮想ITシステム運用の最適化について解説した。
最後の4番目の講演「ネットマークスの取組みについて」(ネットマークス 営業第一本部ソリューション開発部 部長 水間 洋 氏)では、コアビジネス(コミュニケーション&コラボレーション、データセンター統合仮想化、トータルセキュリティ)とサービスの原点と課題に触れ、ボトルネックと補強ポイントを明確化し効率的な投資を可能にすべく、解決に向けたアプローチについて解説、ネットマークスが掲げるスローガン「We are here. On Customers’ Side」で締めくくった。
◎取材を終えて
大規模な金融緩和政策“アベノミクス”の取組みをはじめ、日本取引所グループ傘下の東証・大証の株式市場の統合に続き、次はデリバティブ市場の統合日(システム本番稼働日)が2014年3月24日(月)に決定されるなど、取引所や清算・決済機関の統合が目指す業界全体の効率化というビジョンのもと、日本市場における証券、金融IT業界を取り巻く構造は大きな変化を迎えている。
金融市場における共通プラットフォーム化の推進とクラウド環境や仮想化技術の活用により、オペレーショナルな運用体制の確立と強固な金融システムが構築・共有されることで、拡張性やコスト面でリーズナブルな維持運営と効率的かつ標準化された制度対応が担保されるミドル・バックオフィスの整備が進み、その結果、競争力と新たな価値を確保するビジネスデベロップメント/フロント領域への投資の集中を後押しし、ビジネスの活用につながるソリューション連携の仕組みづくりとベストプラクティスの共有、有効活用の輪が広がることに期待したい。
(取材、撮影、記事:藤野 宙志 / 編集・制作:柴田 潔)