2015年にサイオステクノロジーのグループ会社となり、サイオスおよびサイオスグループ各社がこれまで培ってきたオープンソースソフトウェア、クラウドコンピューティング関連の最先端技術開発力と、金融業界を中心とするシステム・アプリケーション開発の高い技術力・実績を結集して、新製品・既存製品の開発とコンサルティング、サービス提供を強化を目指すキーポート・ソリューションズ(以下、同社)は、同年8月に、社員の“気持ち“を見える化し、組織の生産性を向上させるモチベーション・マネジメントシステム「Willysm(ウィリズム)」の提供を開始(プレスリリース)。折しも、メンタルヘルス対策の充実・強化等を目的として、同年12月から労働安全衛生法の一部を改正する法律が施行されて、従業員数50人以上の全ての事業場にストレスチェックの実施(厚生労働省・制度の概要)が義務付けられることから、グッドウェイは同社を訪れてサービスの概要についてインタビューを行った。
◎Willysmは、現在キーポートが力を入れている「コミュニケーションデザイン」領域のプロダクト!
Willysmのサービスを開始した同社は、もともとは投資学習サイト「ケイゾン」や投資シミュレーションASPなど、投資教育ソリューションに強みを持つ企業として知られているが、今回のWillysmのようなコミュニケーション・デザイン、あるいは情報活用ソリューション、アセットマネジメント・ソリューション、リスク・統制ソリューションなど、その提供するソリューションは多岐にわたっており、こうした中で現在同社が力を入れている分野がコミュニケーション・デザインだという。
当日、取材に対応いただいた森田氏は、三菱総研に在籍していた当時、人間の諸感覚を定量的に計測、評価するための基盤技術を開発する、通産省(現在の経産省)の人間感覚計測応用技術プロジェクトを手伝った経緯があり、同社でもメンタルマネジメントに関わるサービスを開発し提供できないかというアイデアを温めていたことがWillysm開発の背景にあるという。
◎メンタルケアが生産性をアップさせるという定量的な論文が出てきたことで、プロダクトにすることに意味がでてきた
森田氏は、「金融、IT、コンサルティングの領域は、マネジメントの上の方にいくほど、人材確保・管理、メンタルケアなど、人的リソースの問題を多く抱えているが、メンタルケアの面でも従業員が「前向き」な気持ちのほうが生産性が高いということは誰もが分かっている。一方で、メンタルについて定量的に計った論文は過去に殆どなかったが、ハーバード大学で最も人気のあったポジティブ心理学の講師ショーン・エイカ―によって、前向きなメンタルが後ろ向きのメンタルより31%の生産性のアップに繋がるという定量的な論文が出てきたことで、ストレスケア、ヘルスケア、メンタルケアといった分野をプロダクトにする意味がでてきたのです。」と語る。
◎感謝の気持ち、前向きな気持ちがあると生産性があがる。
森田氏は続けて、「プレゼンティーイズム(Presenteeism)という言葉があり、従業員が出社していても、何らかの心身上の不調のせいで頭や体が思うように働かず、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下して生産性を落としている状況のことをいいますが、こうした状態は感覚的には分かりますが、なかなか定量化しずらい部分がありました。しかしWillysmを使えばプレゼンティーイズムが見える化され、さらにメッセージ機能やプレゼント機能を使うことで、従業員同士に感謝の気持ち、前向きな気持ちが芽生え、パフォーマンスや生産性を向上させる期待が持てるのです。」と説明してくれた。
では、Willysmとはどういうものか、以下にサービス概要を図で説明したい。
派遣・契約社員を含めた従業員一人一人がポジティブになり、たくさんの“ありがとう”がある組織となるための、健康経営を実践するためのモチベーションマネジメントのサービスであるWillysm。「プレゼンティーリズム」の数値化ができ、将来的にはビックデータとして活用できるようにしたいとの意向もあるほか、ストレスは世界的な問題でもあるので、海外展開も視野に入れているという。さらに、2015年11月頃を目処に、Willysmから職業性ストレス調査票を起動してデータ収集・管理できる機能をリリースすることで、同年12月から施行のストレスチェック義務化にも対応させる予定だ。部署やグループ単位で試験導入しマネジメントに活かした上で、ストレスチェック義務化を睨んで全社で導入を検討するなどのプロセスなども、選択肢といえるだろう。
Willysmは日経情報ストラテジー 11月号でも記事で紹介されている。評価や処遇への懸念を払しょくするWillysmの詳細については公式サイトをご参照いただきたい。 (取材、記事、編集・制作:柴田 潔 / 撮影:村上 遥 @株式会社グッドウェイ )