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2022/05/16

【矢野経済研究所】月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場に関する調査を実施(2022年)

| by:ウェブ管理者
誰でも気軽にオーナーとしてクローズなコミュニティを立ち上げ、活動できるサービスへのニーズの高まりと、コロナ禍で活動の場をオンラインに求めるクリエイターの増加などを背景に、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場は拡大基調の見込

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場を調査し、各プラットフォームの動向、有料オンラインコミュニティ数、有料会員数、今後の展望、課題を明らかにした。

1.市場概況
国内のオンラインコミュニティプラットフォームサービスは、趣味嗜好や働き方などの多様化が進んでいる中で、コミュニティを通じ、同じ価値観の人と人が出会い、つながりを得られる新たな居場所として利用する人が増えている。また、従来型のファンクラブは開設・運営コストが大きいことから、一部の有名芸能人やスポーツチームなどによる開設に限定されていたが、オープン型のオンラインコミュニティプラットフォームサービスを活用することで、誰でも気軽にオーナーとして自身のファンクラブを立ち上げ、活動出来るようになったことも挙げられる。
このようなニーズを受けて、2019年ごろから新規参入事業者が増えた。SNSで誰もがどこでも情報発信できる環境が当たり前になっている中で、クローズドなオンラインコミュニティはコアなファンや共通の好きなもの(こと)がある人同士の居場所となり得ることや、インターネット上でのトラブルのリスクも少ないことも魅力として捉えられた。さらに、ネット上で影響力を持つインフルエンサーや有名芸能人などがオンラインサロンでコミュニティを立ち上げ、その活動が注目を集めたことも後押しとなった。

2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アーティストやアイドルのライブイベント、クリエイターの展示・販売イベント、アスリートの競技活動などが制限されたことを理由に、活動の場をオンラインに求める人が増えた。加えて、オンラインサロンなどでは、SNS上にコミュニティグループを作成してメンバーの管理をしたり、決済システムを利用して入金のチェックをしたりと、コミュニティの運営管理作業に手間が掛かるケースが多い。
しかし、コミュニテイプラットフォーム上で全て一元管理出来るサービスが増えてきたことにより、オーナー(コミュニティ開設者)が自身の芸能活動や創作活動に専念出来るようになったことも、参加者(ユーザー:有料会員)の増加に貢献した。こうしたことから、2020年度の月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)を248億円と推計し、2021年度の同市場は前年度比67.3%増の415億円を見込む。

2.注目トピック
月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームの利用・認知状況について
本調査において2022年2月から3月で、クリエイターに関連したコンテンツに強い関心を持つ人を対象としてインターネットアンケート調査を実施した。そのうち、何らかのオンラインコミュニティを主催あるいは参加、または参加していなくともオンラインコミュニティをよく理解している686人に、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームの利用状況や認知状況について尋ねた。

オンラインコミュニティプラットフォームの利用経験を銘柄(サービス名)別にみると、1位が「note」18.2%、2位が「pixivFANBOX」12.0%となり、3位が「Fan’s」7.1%、4位が「CAMPFIRE Community」6.0%、5位は「Fantia」5.7%と続いた。
また、利用率にサービスの認知度を合算すると、1位「note」(利用率18.2%、サービス認知度27.3%=計45.5%)、2位「pixivFANBOX(利用率12.0%、サービス認知度22.7%=計34.7%)、3位「DMMオンラインサロン」(利用率4.2%、サービス認知度23.0%=計27.2%)、4位「Fantia」(利用率5.7%、サービス認知度18.2%=計23.9%)、5位「CAMPFIRE Community」(利用率6.0%、サービス認知度14.7%=計20.7%)となった。合計値が20%を超えていたのは5位までのサービスであり、6位以下は合算しても10~20%程度に留まる結果となった。

アンケート調査の結果では、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームとしては「note」が突出した存在となっており、「pixivFANBOX」が業界ではフォロワーの存在、「Fan’s」「DMMオンラインサロン」「Fantia」「CAMPFIRE Community」が上位2サービスに差をつけられながらも、主要なサービスブランドの位置を占めていることが判明した。それ以外のプラットフォームは、認知が全く無い訳ではないが、10%程度の認知率でほぼ横並びとなっている。

3.将来展望
2022年度の月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)は、前年度比39.8%増の580億円と予測する。今後も、有料コミュニティ数や有料会員数は増加傾向が続き、市場は成長する見通しである。2019~2020年度ほど活発ではないが、2021年度同様に2022年度も新規参入するプラットフォーム運営事業者も出てくる見込みである。

プラットフォーム運営事業者としては、自社プラットフォームを活用するコミュニティ数や会員数をいかに増やしていくかということが重要になってくる。コミュニティオーナー(コミュニティ開設者)や新規ユーザー(有料会員)の獲得に積極的な事業者は、SNS上で人気が高くファンを引き込みやすいインフルエンサーや、継続的な活動が見込めるオーナー候補への営業活動を行うとともに、参加申込みのあったコミュニティ開設希望者への対応も強化している。課題は、いかにコミュニティが継続的にファンに支持される活動をしていけるかであるが、活動や発信し続けるためのテーマやネタが尽きてしまうコミュニティも少なくなく、プラットフォーム運営事業者側がサポートしていくことも必要になっている。既存のコミュニティオーナーに対しては、参加オーナーを招いたミートアップイベントなどを開催して、他のコミュニティの活動事例などを共有したり、オーナー同士の交流の場を提供することで、コミュニティ活動のモチベーション向上に努める運営事業者もみられている。

コミュニティプラットフォームの機能面では、コロナ禍でオンラインでのコミュニティ活動がメインとなったことによって、システムの進化や機能の追加が積極的に行われ、多くのプラットフォームでオンライン対応のコミュニティ活動に必要な機能が備わってきている。そのため、今後は機能面での差別化が難しい状況にはなってきているが、コロナ禍が2年以上経過し、リアルなコミュニケーションやイベントの場を求めるユーザーが増えているため、徐々にではあるものの、オフラインでの活動も活発になることを予測する。
したがって、プラットフォーム運営事業者としては、引き続きコミュニティオーナーへのカスタマーサポート体制とプラットフォームのシステム整備の両面でブラッシュアップを続け、より多くのコミュニティオーナーが快適に活動を続けていけるような場を提供していくことが重要である。


原文はこちら
https://www.yano.co.jp/press/press.php/002982

15:01 | IT:一般
 

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