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2013/08/12

【日本IBM】IBM、SyNAPSEチップのプログラムに新技術基盤を創生

| by:サイト管理者
IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長、社長兼CEO:バージニア・M・ロメッティ、NYSE:IBM)の研究員は本日(現地時間)、脳の機能、省電力、コンパクトな容積からヒントを得たアーキテクチャーを持つシリコン・チップをプログラミングするために考案された画期的なソフトウェア・エコシステムを発表しました。この技術は、人間の脳が持つ知覚、行動、認知能力を模倣する新世代のインテリジェントなセンサー・ネットワークを実現可能ならしめるものです。

IBMの新しいプログラミング・モデルは従来のソフトウェアとは根本的に異なり、今日のフォン・ノイマン・アーキテクチャーやコンピューターの基礎となる順次処理という型を打ち破るものです。むしろ、分散型で高度に相互接続され、非同期、並列、大規模の、新しい種類のコグニティブ・コンピューティング・アーキテクチャーに適合しています。

 「アーキテクチャーとプログラムは密接に絡み合っており、新しいアーキテクチャーは新しいプログラミング・パラダイムを必要としています。私たちは、シナプティック・コンピューティング・チップ向けに、ある意味FORTRANに匹敵するようなプログラミング言語を開発しています。これは、今日のコンピューターを補完しながら、新たな学習システムのプログラムならびに実用化の観点において、全く新しい技術的な能力をもたらします」と、IBMリサーチの研究プロジェクト責任者&シニア・マネージャー、Dharmendra S. Modha(ダーメンドラ・S・モダ)は述べています。

この新しいエコシステムを前進、実現するため、IBMの研究員はデザインから開発、デバッグ、展開まで、プログラミング・サイクルのあらゆる側面を支える以下の画期的な技術を開発しました。
シミュレーター:ニューロシナプティック・コアのネットワークで構成されるコグニティブ・アーキテクチャーのマルチスレッド、超並列、高度に拡張可能で機能的なソフトウェア・シミュレーター。
ニューロン・モデル:脳のような計算処理を行う基本的な情報処理ユニットを形成するシンプルでデジタル、高度にパラメーター化されたスパイキング・ニューロン・モデル。幅広い決定論的ならびに確率的なニューロ・コンピューティング、コード、動作をサポート。このようなニューロンのネットワークは、さまざまな時空間、マルチモーダルな環境からの外部刺激に感知、記憶、作用します。
プログラミング・モデル:”corelets(コアレット)”と呼ばれる組み合わせ・再利用可能な構成要素にもとづく「プログラム」の高度な記述。各コアレットは、ベース・レベル機能を特定するニューロシナプティック・コアのネットワークの完全な青写真を表しています。コアレットの内部動作は外部からは見えなくなっており、外部入出力のみが他のプログラマーに見えるようになっています。彼らはコアレットがどのようにそれを行うのかではなく、何を行うのかに集中することができます。より大きく、より複雑で、機能追加された、新しいコアレットを生み出すために、コアレットを組み合わせることができます。
ライブラリー:一貫性がありパラメーター化された大規模アルゴリズムと、超並列化された多様な時空間センサーとアクチュエーターをリアルタイムでつなげるアプリケーションの設計および実現したものを含んでいるコグニティブ・システムの貯蔵庫のことです。IBMの研究者たちは1年足らずの間に、このプログラム・ライブラリーの中に150以上ものコアレットを設計し蓄えました。
ラボラトリー:アーキテクチャー、ニューロンの特異化、チップ・シミュレーター、プログラミング言語、アプリケーション・ライブラリー、プロトタイプ・デザイン・モデルにわたる新しい教育カリキュラム。それはコアレットを生成する、ライブラリーにアクセスする、シミュレーターで多様なプログラムを用いて実験する、シミュレーターの入出力をセンサー/アクチュエーターに接続する、システムを作り上げる、そして、結果を可視化/デバッグするために使われる、エンド・ツー・エンドのソフトウェア環境も含んでいます。

これらのイノベーションは、米国テキサス州ダラスで開催されているThe International Joint Conference on Neural Networksという国際会議で発表されます。

SyNAPSEの道を開く

現代のコンピューティング・システムは、定義済みのプログラムに従って順次処理するため、数十年前にデザインされました。従来のデザインのコンピューターは、逐次プログラム化された高度で正確な処理が得意な反面、私たちの周りの世界で生み出されたノイズのあるアナログで大量のビッグデータのリアルタイム処理に適用されるとき、有効性を多少譲って動作させたとしても消費電力と大きさの制約を受けてしまいます。対照的に、20ワット電球と同等のエネルギーを消費し、2リットルボトルの体積を占める脳は、比較的ゆっくり低精度で作動していますが、認識、解釈、パターンに基づいて行動するといった作業に優れています。

2011年8月、IBMは、拡張性があり、相互接続した、接続可能なニューロシナプティック・コアをベースとする、新規の脳から発想を得たチップ・アーキテクチャーの基本的な構成要素を実証しました。各コアは、メモリー(シナプス)、プロセッサー(ニューロン)、コミュニケーション(軸索)を近くに引き込み、事象駆動の方法でアクティビティーを実行します。これらのチップは、生物学的センサーに反応し、同時に多くの情報源からの大量のデータを分析する脳の能力を模倣し、拡張するためのプラットフォームの役割を果たします。

The Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics (SyNAPSE:神経形態学的電子工学システム)プロジェクトの第ゼロ段階、第1段階、第2段階は既に完了しており、IBMならびにその共同研究者(コーネル大学、iniLabs, Ltd)は、プロジェクトの第3段階について、米国国防省国防高等研究計画局(DARPA)から1千2百万ドルの新たな助成金を受け、累計約5千3百万ドルの助成金が当プロジェクトにもたらされています。

スマーター・センサー
IBMの長期的なゴールは、100億のニューロンと100兆のシナプスを用いて、わずか1キロワットの電力を消費し、2リットルの体積以下のスペースを占めるチップ・システムを作り上げることです。

これらのチップから作られたシステムは、データが収集されるポイントにより近いところで様々なデータをリアルタイムに捕らえ、分析することができるようになるでしょう。固定テキストやデジタル情報といったシンボリック・データだけを収集するのではなく、センサーから値が刻々と変化するサブ・シンボリック・データも収集します。このような生データは、商取引からソーシャル、位置、動き、そして環境的な状況に至るまで、世界で起きているありとあらゆる活動を反映しています。

たとえば、人間の眼は毎日テラバイトを超えるデータを精査・選別しています。視覚障がい者を支援するためにデザインされた視覚野を模倣し、省電力、軽量のめがねに、この視覚的なデータの流れを捉え、分析する複数のビデオならびに聴覚センサーを装着することができるかもしれません。

これらのセンサーは、大量のデータを収集し、解釈し、ユーザーの前に何人いるか、前方にあるカーブまでの距離、交差点の車の台数、天井の高さや横断歩道の長さを示します。盲導犬のように、このめがねによって認識されるサブ・シンボリック・データは、部屋の中や屋外での最も安全な進路を示し、組み込まれたスピーカーや小型イヤホン経由でユーザーがナビゲートすることを支援します。同様の技術は、さらに大きなスケールでセンサーからのデータ入力機能や車、医療画像、ヘルスケア・デバイス、スマートフォン、カメラ、ロボット向けの搭載アナリティックスを構成することができます。

“これらの見解は著者のものであり、米国国防省や米国政府の公式見解を反映するものではありません。公開は承認され、配布は制限ありません。”

当報道資料は、2013年8月8日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLをご参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/41710.wss(US)

原文はこちら
http://www-06.ibm.com/jp/press/2013/08/1201.html

18:47 | IT:一般
 

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