2013年10月28日(月)、野村総合研究所(NRI)は、東京・有楽町にある東京国際フォーラムにおいて、一般向けにNRIの企業理念「未来創発」に基づいた提言を行う場として「NRI未来創発フォーラム2013」(紹介ムービー)を開催した。(定員:2,800名、参加費用:無料)
2003年より開催しているという「NRI未来創発フォーラム」は今年で11年目の開催を迎え、世界中が直面する課題を乗り越えるための新たな発見と未来への行動を生み出すべく、多様な分野で自ら“挑戦”を実践しているゲストを招き、それぞれの想いや考えを披露。講演やパネルディスカッションを通じて訪れた一般来場者に向けて、”挑戦”することの本質に迫った。
冒頭に、野村総合研究所 代表取締役社長 嶋本 正 氏による挨拶では、日本人の”絆”や”誇り”の見直し機運に触れ、今回テーマに掲げた「いま、未来を創るために。」の背景とシンボルマークの由来(有識者がつながる渦、そして上向きの矢印で示す、実践と未来づくりの第一歩をイメージ)について解説、これからのNRIの取組み姿勢を示した。
続いて、講演「挑戦する心 ~人生はいつも『今から』~」(プロスキーヤー 三浦 雄一郎 氏)では、エベレスト登頂の歴史で最高齢登頂者となる80歳で3度目のエベレスト登頂をはじめ、幾度となく挑戦する想いと理由、過去に雪崩に巻き込まれたり重度な骨折からの回復など、そこに至るまでの自身の様々な経験について触れ、人間はいくつになっても出来ることがあり、それを見つけ積み重ねていくことの大切さを唱えた。
また、次の講演「革新者の時代~掘り起こせ日本の潜在力~」(野村総合研究所 取締役 専務執行役員 未来創発センター長 谷川 史郎 氏)では、成熟化が進む日本において、社会を変えるような新しい挑戦をしている革新者のビジョンを集め分析する”2030年研究所”の取組みと4領域の事例(金融、流通小売、静脈産業、農業)に触れ、”夢は情熱から生まれる”、個々の領域の狭さを認識し、他社を巻き込んで、技術革新と豊富な未稼働資産の「新・結合」により社会を変えられるという見解を示した。
休憩を挟み、後半のパネルディスカッションでは、「実践、そして新たな挑戦! ~いま、未来を創るために~」と題し、パネリストとして、佐々木 芽生 氏(映画監督)、島 朗 氏(将棋棋士)、長沼 毅 氏(生物学者)、小池 純司 氏(野村総合研究所 上級コンサルタント)を迎え、村上 輝康 氏(産業戦略研究所 代表)がモデレーターを務め、示唆に富んだディスカッションが繰り広げられた。
”それぞれが今の挑戦に至った経緯とは?”、”若い世代に挑戦していくことをどうやって動機付けていけばよいか”、”挑戦とは一人でやれるものか師やコーチがいてできるものか”、”個性や才能を伸ばしつつもアライアンスを同時に進めていくための方法は?”といった質問に対し、核や原点となる自分の想いを粛々と取組む、考えすぎることなく情熱をもって行動する、負けることや捨てることの練習の必要性、大人の手本の示し方と失敗に対する許し方など、90分に渡りそれぞれの考え方が示された。
多様なパネリストからのたくさんの手がかりとなる”挑戦”することの本質に迫る核心を突いた意見や必要な取組みについての提言を受け、村上氏からの問いかけに対し、会場に訪れた参加者の多くは挑戦することを胸に抱いていることを冊子を掲げて示したと共に、閉会時における拍手喝采からは、この未来創発フォーラムを通じて新たな指針と勇気をそれぞれが持ち帰ったことを確信する。
そしてその一人一人が、制約という障害を乗り越える境地の中でこそ生まれるクリエイティブによる成長、挑戦の遂行に不可欠ともいえる困難から逃げずに継続する力を養うことの大事さを伝えていくことで、社会の在り方、教育の在り方、そして失敗を許し・認め・再び挑戦へと繋げることができる風土が日本の中に根ざしていくきっかけづくりに関わっていくことを切に願う。
(取材、撮影、記事:藤野 宙志 / 編集・制作:柴田 潔)