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2015/01/23

【大和総研】コーポレートガバナンス・コードは改革の契機

| by:ウェブ管理者
2014年12月17日付で、金融庁と東京証券取引所を共同事務局とするコーポレートガバナンス・コード策定に関する有識者会議において、「コーポレートガバナンス・コード(原案)」(以下、本コード(原案))が公表された(※1)。これを受けて関連する上場規則等の具体的な内容が6月の適用に向けて策定されることになる。

本コード(原案)は「実効的」なコーポレートガバナンスの実現を主眼としており、経営陣が健全な企業家精神を発揮しつつ経営手腕をふるえる環境を整備することを狙いとする。基本原則は、①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話、の5つに分かれ、各基本原則の下にある原則・補充原則の項目を含めると約50の項目で構成される。ただし、これらは必ずしも全ての上場会社に対して同じ水準で適用を求めるものではなく、企業の規模・特性等により開示等の水準が異なる可能性がある。

企業側に求められる対応としては明示された各項目に照らしつつ、1)自社における有無の確認、2)無い場合の合理的な理由の有無の確認、3)今後に向けた方針・実施の検討、を行うこととなる。項目の属性としては、「配慮や対応を求めるもの」・「方針・体制整備を求めるもの」・「実行を行うべきもの」・「情報提供をすべきもの」・「説明を行うべきもの」・「開示を行うべきもの」等があり、各項目により求められる対応が異なっている。項目内容も多岐にわたっており、企業としては早い段階から検討を開始することが望ましい。

求められる取組内容は短期的に対応できるものもあるが、一定程度の期間を要するものもあると思われる。全ての内容につき開示が求められている訳ではないが、具体的な取組の検討・実施に際しては、自社の特徴や経営方針・他の施策との整合性等を鑑みて総合的に進めていくことが必要となろう。

本コード(原案)で求められる内容はかなりボリュームがあり負荷を感じる企業は多いのではないだろうか。企業担当者は開示に向けた記載方法等の形式的な対応に目が向きがちになるが、企業全体のシステム・しくみを見返す契機としても活用したい。

今回を機に、企業内において健全な組織とは何か、自社の持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に向けた実効性の高いガバナンスシステムはどうあるべきか、これらの健全性・実効性を阻害している要因・課題は何か等、を検討・議論することが肝要である。議論の中で課題解決の方策が組織設計や機関設計等にまでおよぶことも考え得る。例えば、経営の監督と業務の執行の在り方・社外取締役が充分に機能するしくみ等を検討していく中で、以下のような論点に拡がることもあろう。
経営方針・経営戦略に沿った組織の在り方
監査役会設置会社以外の機関設計の在り方
取締役会の運営の在り方
取締役会における役員構成の在り方
執行役員制度の見直し、等

課題解決の方策や本コード(原案)が求める項目の洗い出しを行ったら、重要度・緊急度等による優先順位付け・スケジュールを設定し、改善・改革に向けたロードマップを描くことをおすすめする。検討および議論を通じた自社の課題と解決に向けた取組およびスケジュール観を「見える化」して共有することで、共通認識をもって実行にあたることができ、挑戦・成長を加速するしくみのひとつになるはずである。


原文はこちら
http://www.dir.co.jp/consulting/insight/management/20150121_009355.html

20:18 | 金融:証券
 

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