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2018/12/27

【全国地方銀行協会ほか】郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

| by:ウェブ管理者
本日、郵政民営化委員会から「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」(以下「意見書」という。)が公表され、ゆうちょ銀行の預入限度額を見直すという意見が提示されたことは遺憾である。

私どもはかねてより、郵政民営化の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならないと主張してきた。

改正郵政民営化法の附帯決議では、日本郵政が保有するゆうちょ銀行の株式全部処分に向けた具体的な説明責任を果たすことが求められているにもかかわらず、ゆうちょ銀行の完全民営化に向けた具体的な道筋は何ら示されておらず、依然として民間金融機関との公正な競争条件が確保されていない状況が続いている。

こうしたなかで預入限度額規制の緩和に関する議論がなされることについて、私どもは、一貫して強く反対してきた。

預入限度額規制の緩和については、金融システムの安定、すなわち全体最適と、ゆうちょ銀行の企業価値の向上、すなわち部分最適の双方の観点から、次に述べるような懸念が考えられる。

まず、意図せざる資金シフトが生じた場合等には、金融システム全体の安定性を脅かすだけではなく、地域の金融システムに多大な悪影響を及ぼす恐れがある。

また、預入限度額の引上げが、ゆうちょ銀行のさらなる規模拡大をもたらす場合、金利上昇に伴うリスクが一層増加し、将来的な国民負担の発生に繋がりかねない懸念がある。加えて、ゆうちょ銀行が中期経営計画で掲げる「運用の高度化・多様化」の阻害要因に繋がることで企業価値向上への悪影響を及ぼしかねず、ゆうちょ銀行自身の部分最適にすらならない懸念もある。

ゆうちょ銀行を始めとする日本郵政グループが、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すなか、われわれ民間金融機関としても環境整備や連携を進めていきたいと考えているが、預入限度額の引上げは、これまで着実に醸成されてきた民間金融機関との相互信頼関係にもとづく連携・協働の動きに水を差すことになる。これにより、地域経済の活性化や国民の安定的な資産形成の促進に大きな悪影響を与えることにもなりかねない。

かかる状況にもかかわらず、今回の意見書では、ゆうちょ銀行の預入限度額規制を緩和する方針が示された。具体的には、「通常貯金と定期性貯金の限度額を別個に設定することとし、限度額は、それぞれ 1,300 万円ずつ同額とする」となっており、これまでに私どもが述べてきた懸念がより強まることとなる。


原文はこちら
https://www.chiginkyo.or.jp/app/entry_file/news_20181226.pdf

15:06 | 金融:銀行
 

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