2015年10月9日(金)、外為どっとコム総合研究所(以下、同社)は、本邦FX市場を様々な視点から解説した「外為白書2014-15(第6号)」の発行を前に、同書の内容を紹介する報道陣向けの説明会を、外為どっとコム1階のセミナー施設・ブルースタジオで開催した。
同社は、日本経済に対するFX取引の重要性が増大した2009年に設立され、外国為替市場に関する調査・研究を促進し、その情報提供を行なうことで社会的な要請に応えることをミッションとしており、設立当時より竹中 平蔵氏が首席研究理事を務める、FXに特化した研究所だ。
◎2014年度も引き続き、取引業者数の淘汰が進む。
当日は、同社の取締役 調査部長である神田 卓也氏が報道陣に対応し、2014年度(2014年4月~翌年3月)におけるFX市場における業界の概要について説明を行った。
冒頭では業界の歩みとして、まず取引業者数(出来高のあった店頭取引業者)の推移について説明が行われ、「2014年度の業者数は56社と、前年比7社の減少で、ピーク時の2007年度に比べると半減している。」と語り、取引業者の淘汰が進んでいることを紹介。また、同時期に出来高のあった取引所取引業者も22社と、こちらも2社減少していると語った。
神田氏は、業者数淘汰の背景には、取引高上位数社で3分の2を占めるほどの寡占状態が背景のひとつと語り、業界全体の受入保証金総額が1.7兆円と最高を記録する反面、スプレッド狭小化競争の激化、年前半の凪相場(なぎそうば)で中下位の業者が撤退を余儀なくされた可能性を指摘。また、口座状況においても引き続き口座稼働率が11.4%と低水準に留まっている現状も紹介した。
同社の設立母体である外為どっとコムの協力を得て実施している投資家アンケートによれば、回答者の年代別分布は30~50代が中心ながら、同社設立時である2009年の年齢分布がそのままスライドしている傾向がうかがわれ、若い世代の流入が減少している、または定着に課題を抱えている可能性についても指摘があった。
回答者が利用している金融商品は、株式、投信、ETFといった証券系が強く、外貨預金も上位に食い込んでいる。また、2015年前半の損益状況は、相場追動向も反映してか、収支プラスが49.4%と約半数を占め、以下、マイナスが33.4%、変化なし(取引見送り)も17.2%いた。
外為白書は本来、個人投資家向けに発行されているレポートで、大半は各通貨ペアの動向についてレポートされているものの、後半部分では、業界の動向やアンケートによる実態調査の結果も掲載されている。ご興味のある方は詳細について直接同社へお問い合わせいただきたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作:柴田 潔 @株式会社グッドウェイ )