(2011/01/04)
2011年 代表取締役社長 年頭所感
http://www.tge.or.jp/japanese/about/about_09.shtml
明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたり皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
弊社では、本年一月より、伝統的な売買仕法である板寄せ取引からザラバ取引へと移行し、株式会社東京工業品取引所の取引システムの利用を開始いたします。この取引システムにより、世界最高水準の性能と国際標準の機能を整備することとなり、常時アクセスも可能となりました。
また、取引時間の延長と同時に夜間取引を導入したことにより、取引機会の拡大を図るともに、市場利便性を向上させて流動性の増加も見込んでおります。この取引インフラの整備は、一昨年に策定した「中期経営計画」に基づくもので、その施策を着実に実行へと移した結果であります。
上場商品の戦略としては、昨年六月に「コメ研究会」を設置し、十二月までの間に五回の検討を重ね一定の取り纏めを行いました。コメ先物市場については、前回の認可申請以降のコメ生産・流通事情は大きく変化したことを踏まえ、新たな環境に対応する役割への期待が高まりつつあります。
これらの状況を整理して本年は関係の方々のご理解を得るべく、周知徹底に勤めつつコメ先物市場の開設へと繋げていく年になると期待しております。
さらに、本年一月からは商品先物取引法が施行され、不招請勧誘の原則禁止が導入されたため、より一層勧誘行為に対する規制が厳しくなりましたが、農産物店頭取引の解禁などもあり、ビジネスモデルの転換でうまく乗りきる重要な一年に位置づけられると考えております。
そして新たなクリアリングシステムとしての証拠金制度が改正されました。これまでの追証制度から世界各地の主要取引所で広く採用されている証拠金制度のスパン証拠金へと変更し、ポートフォリオ全体でリスクを計算するシステムへとなったことで投資効率が上がり、市場利用者にとってさらに利便性が高まることが見込まれます。
世界の農産物需給では、ロシアの干ばつなど各地での天候不順により、穀物・コーヒー・砂糖といずれの商品でも減産傾向となりつつあります。このように需給の引き締まりによる在庫率減少への流れから、リスク回避の動きも活発に行われ、世界の農産物先物市場は活況を呈しておりますが、国内の商品先物業界は低迷状態が続いております。
今年は法律の施行をはじめ広範な制度改革をきっかけに、これをチャンスに変えて、業界の発展へとつなげる正念場の年にしていきたいと考えております。
また、弊社にとっても本年は、農産物市場の安定的な継続という命題を受けて、市場の発展に向けた様々な施策を強化して競争力を高めてまいりますので、皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
平成23年1月4日
株式会社東京穀物商品取引所
代表取締役社長 渡辺好明