デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツ(東京都千代田区、包括代表 國井泰成、以下トーマツ)と、SAS Institute Japan株式会社(東京都港区、代表取締役社長 Andy Zook、以下SAS)は協業し、金融機関が気候変動やパンデミック等の新しいリスクに対して、ポートフォリオを構成する貸出先の財務諸表のモデリングを通じた信用評価を行うためのツールを開発し、その導入に向けたサービスを開始します。
トーマツは、昨年からCOVID-19など新しいタイプのリスクに関して、マクロ経済指標の予測やサプライチェーンにおける個社ごとの位置づけを織り込んだインパクト評価により、貸出先の売上や費用、キャッシュフローなどを試算する統計予測モデルを構築し、これをベースにした金融機関の予想信用損失のシミュレーションやストレステスト等に関する助言サービスを提供しています。また、SASは、複雑なシナリオ、モデル、科目階層構造を統合した財務シミュレーションの結果に基づきポートフォリオの収益性やリスクを分析できるソリューションプラットフォームを国内外の金融機関に提供してきた実績を有しています。例えば、当該ソリューションプラットフォームを用いて英国 スタンダードチャータード銀行が構築したシナリオベース・アナリティクス・プラットフォーム(SBAP)はIDCの「2021 Smartest Bank in Asia」を受賞しています。
両社はこれらのサービスやナレッジを組み合わせ、金融機関が新しいタイプのリスクの自社の貸出ポートフォリオにおける評価を円滑に行うための信用リスク評価ツールを開発しました。本ツールには、気候変動に伴う自然災害のうち建物等の担保物件に与える洪水等の物理的リスクに関する評価を反映させるGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を応用した処理なども含まれています。従来は個別の設定やエンドユーザーの端末におけるアドホックなプログラミング処理が必要だったものが、システム化されることで、予め構築された信用評価ロジックを利用し、時々のニーズに応じて新たに更新されたシナリオを活用することで、ユーザーがより効率的に、かつ柔軟にシミュレーションを行い、リスク管理等に活用することができます。