2014年6月5日(木)、金融業界専門のリサーチ&アドバイザリー・ファームであるセレント(CELENT)は、千代田区内幸町にある帝国ホテル 桜の間において、日本金融業界の関係者を招き、デジタル金融サービスと新たなイノベーションへの取り組み、その方向性を決めるキーポイントを探る、「セレント イノベーション&インサイト・デー 東京 2014」を開催した。
この「イノベーション&インサイト・デー」は、セレントが世界各地のマネーマーケットセンターにおいてグローバル規模で開催している恒例のイベント。今回、事前に実施されたサーベイによる日本金融業界の動向調査結果やそのグローバル比較を通じて、日本金融業界の「今」と将来像を模索することを目的に、当日出席した約120名ほどの参加者に向けて、基調講演とパネルディスカッションが行われた。
冒頭に、セレント アカウントマネジャー 福盛 雄也 氏による開会の辞ではセレントの活動やサービスについて解説。続いて、セレント アジア・シニア・バイス・プレジデント ニール・カタコフ,PhD 氏による基調講演「世界の金融業界におけるイノベーションの動向」では、これからの競争環境を激変させるテクノロジーのテーマを挙げ、そのトレンドや現代のエコシステムについて見解を示した。
また、セレント アジア金融サービス シニア・アナリスト 柳川 英一郎 氏による基調講演「日本の金融業界におけるイノベーションの動向:セレントイノベーションサーベイの報告」では、サーベイの目的とその結果の示唆を解説、国内外におけるリーダーシップや金融機関とベンダー間のギャップを背景に、イノベーションを「意図的に」起こし、継続するためのモデルについて語った。
基調講演の終了後は、用意されたコーヒーや焼菓子で休憩(ネットワーキング・ブレイク)を挟み、最後のパネルディスカッション「デジタル金融サービスと新たなイノベーションモデルを求めて」では、銀行、証券、保険、IT業界など各分野で活躍している以下の幅広いパネリスト5名(会場から見て左席からの順)が登壇。冒頭に各社の企業概要とイノベーションにかかる活動を交え自己紹介が行われた。続いて、本題となるイノベーションを継続していくための取り組みについて、動機・目的、タイミング、担い手、対象モデル、組織・部門、構築・評価・定着モデルなど5W1Hの観点から、それぞれの企業におけるミッションと立場からの意見のほか、私見として自らの考えや未来像などが示された。
- グーグル 金融業界担当 統括部長 手塚 孝 氏
- ソニー生命保険 代表取締役 執行役員 専務 嶋岡 正充 氏
- 野村證券 エグゼキューション・サービス部 電子取引セールス課長 薄井 進 氏
- マネックスグループ 執行役員 GMC室長 中川 陽 氏
- 三菱UFJ信託銀行 フロンティア戦略企画部長 星 治 氏
セレントは、マーシュ&マクレナンカンパニーズ傘下のオリバーワイマングループの一部門で、金融機関のビジネスおよびテクノロジー戦略策定をサポートするリサーチ&アドバイザリー・ファームとして、3業界(銀行、証券、保険)における国内外のITを用いた先進事例や新たなビジネスモデルを調査し、経営戦略、IT戦略立案をサポートしている。金融機関やITベンダー等の会員を対象にリサーチレポートを発行するほか、クライアントの要望にあわせた個別のコンサルティングサービスも行っているという。
【取材を終えて】
ITの進化によるデータ解析やスマートフォンの登場により、これまで見えなかった価値の可視化やロケーションフリーなライフスタイルの変化の波が押し寄せる中、合理化によって時間とともに進む既存モデルの価値の減少に対し、新たな価値の創出につながるイノベーションの継続は不可欠なものとなっている。一歩先を行く金融ビジネスやサービスの未来づくりに向けて、今回の「セレント イノベーション&インサイト・デー 東京 2014」を通じて示された様々な情報や意見から、そのヒントにつながる見方や捉え方が広く共有・活用されていくことに期待したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作:藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ )