金融&IT業界の情報サイト
 
 


 
【金融業界ニュース】 >> 記事詳細

2012/08/31

【日本銀行】日本の人口動態と中長期的な成長力

| by:ウェブ管理者

日本の人口動態と中長期的な成長力
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/ron120831a.htm/


本稿では、わが国における人口動態―少子高齢化の急激な進展―及びこれが中長期的な成長力を中心に経済・物価に及ぼす影響について、多面的に事実整理と分析を行った。その概要は次のとおりである。


1.わが国の人口動態をみると、少子高齢化が、予測を上回り続けるかたちで急激に進展した。しかも、バブル崩壊や不良債権問題に直面する中で、少子高齢化の進展に対する社会的な関心が十分に高まるまでには、長い時間を要した。最近は、出生率が予測に比べ幾分上振れて上昇しているものの、これまでのところ、こうした上昇は一時的であるとの見方が多く、先行きも少子高齢化が急速に進んでいくという基本的な見方に変わりはない。
2.このような人口動態は、労働供給の減少と産業構造の変化に伴う生産性への下押し圧力の両面から、わが国の中長期的な成長力に対して重石となってきている。先行きも、性別・年齢別の労働力率に変化がなければ、就業者の減少が加速することが見込まれる。また、イノベーションが進まない限り、サービス業など労働生産性が相対的に低い産業のウエイトが一段と拡大することにより、マクロの生産性に対する下押し圧力が強まる可能性がある。この点、産業別に生産性の水準を国際比較すると、統計上の問題から評価には一定の留保が必要ではあるものの、とくに少子高齢化の進展に伴い需要の増加が見込まれる対個人サービス分野において、わが国の低さが目立つ。
3.わが国では、人口成長率の低下とともに物価上昇率も低下してきた。この点については、少子高齢化が予測を上回り続けるかたちで急激に進展する下で、中長期的な成長期待が次第に下振れるに連れて、将来起こる供給力の弱まりを先取りする形で需要が伸び悩んだことが、物価下押しの一因となってきた可能性がある。また、少子高齢化の進展に伴って消費者の嗜好が変化していく中で、供給側がこうした変化に十分対応できず、需要の創出が停滞すると同時に、既存の財やサービスにおいて供給超過の状態が生じやすくなったことが、物価の下押しにつながってきた可能性もある。
4.都道府県別にみると、生産年齢人口の減少が厳しいことが見込まれている地域ほど、成長期待の低下などを通じて労働需給が緩和している。この点に関して、地域別の特徴をやや詳しくみると、他地域との経済取引の度合いが低い地域ほど、人口動態の影響を大きく受け、厳しい経済情勢に直面する傾向がうかがわれる。
5.少子高齢化は、企業の投資行動や家計の金融資産選択行動にも影響を及ぼす。企業は、国内投資より収益率の高い対外資産を増加させていく可能性が高い。家計については、高齢者は危険資産より安全資産を選好し、また生命保険に対するニーズが低いため、今後もこうした高齢者の金融資産選択の特徴に変化が生じなければ、人口動態は預金取扱金融機関に対する緩やかな資産集中を促す要因となる可能性がある。


以上のような人口動態が及ぼす影響についての整理をベースに、最近の変化も踏まえつつ、今後の成長力強化のために重要と思われる論点を挙げると次のとおりである。


全文 [PDF 2,931KB]
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/data/ron120831a.pdf


21:25 | お知らせ
 

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.