◆3つの論点:今回の経済見通し改訂に際しては、①日米欧3極の中央銀行の非伝統的金融政策の効果、②「FED vs. ECB」の軍配はどちらに?、③企業の利益分配から見た賃金・設備投資の先行き、という3つの論点を検証した(→詳細は、熊谷亮丸他「第185回 日本経済予測」(2015年5月27日)参照)。本稿では、これらの3つの論点の中で「②『FED vs. ECB』の軍配はどちらに?」について解説したい。
◆「FED vs. ECB」の軍配はどちらに?:米国の利上げに伴う世界経済への悪影響が懸念されている。一方でECBの量的緩和による世界経済に対する下支え効果に期待がかかるが、当社のマクロモデルによる試算結果によれば、世界経済および日本経済に与える影響はECBよりもFEDの方が大きくなる見込みだ。ただしFEDがあくまで米国の景気に中立的なペースで利上げを行う限り、過度の懸念は禁物である。新興国のバランスシート改善に伴い、通貨危機のリスクも低減している。