2013年7月8日（月）、証券業界における交流と証券市場の活性化に寄与していくことを目的とするNPO法人「金融証券マーケットフォーラム」は、昨年に引き続き「マーケットフォーラム・カンファレンス2013（Market Forum Conference 2013）」を東証ホールで開催した。

　今回は、運用業界で最先端を走る関係者をモデレータやパネリストとして招き、運用に役立つより実践的な講演やパネルを行うと共に、東京をメイン会場とした上で、大阪（大証ホール）をサテライト会場とし、両会場をネットを通じて同時開催を行うという試みも行われた。



　第一部は、『アルゴリズム・トレーディングの深層』がテーマとなるなか、最初のセッションではシーエムディーラボ CEO　尹 煕元（ゆんひうぉん）氏が『「板情報」の真実を解剖する～HFTとアルゴリズムの誤解～』と題した講演を開催。現在の株式市場で起きている現象を振り返りながら、HFT（High Frequency Trade ）とアルゴリズムの存在を解析し、混同されがちなHFTとアルゴリズムの違いもわかりやすく解説しながら、「板情報」に隠された真実を解き明かすという内容の講演だ。



　次のセッションではパネル・ディスカッションとして、最初の講演を受けてアルゴリズム・トレーディングやHFTに精通した業界関係者が持論を展開した。モデレータは、モルガン・スタンレーMUFG証券　豊田 智洋氏、パネリスト（右から）は、シーエムディーラボCEO　尹 煕元（ゆんひうぉん）氏、東京証券取引所　岡崎 啓氏、モルガン・スタンレーMUFG証券 Executive Director 君島 智史氏。

　また、第二部では『第一線の運用業者に聞く、最近の運用環境および国内運用業の実践的スキーム』として、モデレータをアストマックス投信投資顧問、取締役　白木 信一郎氏が努め、下記のパネリストと運用環境等に関するディスカッションを行った。

　パネリスト（右から）は、あすかアセットマネジメント取締役　平尾 俊裕氏、UMJ（ユナイテッド・マネジャーズ・ジャパン）取締役会長　高橋 誠氏、GCIアセット・マネジメントCEO&ファウンダー　山内 英貴氏、アストマックス、シニアファンドマネージャー　江守 哲氏、Edgebell Capital代表取締役＆COO　鈴木 一穂氏、さざれキャピタルマネジメント マネージングディレクター　山田 潤氏。

　パネルの最後にはサテライト会場である大阪（大証ホール）からネットを通じて質問を受け付けるなど、昨年にはない試みも行われた。



　NPO法人である「金融証券マーケットフォーラム」は、証券業界における交流を広げ、証券市場の活性化に寄与していくことを目的として、毎年「マーケットフォーラム（Market Forum）」を開催しており、証券会社のみならず、取引所、各種ベンダー、メディアなど証券市場に関わりを持つ企業・個人の交流の会を開催することで、ビジネスチャンスやコネクションを得る機会を提供しようと、有志による精力的な活動が続けられている。

　アベノミクス効果により、1年前のマーケットと様相が代わり、また3連休明けの2013年7月16日（火）には東証・大証の現物市場のシステム統合がなされて世界第3位の現物売買代金シェアを占める市場が誕生した一方、デリバティブ売買のシェアは欧米・アジア諸国の取引所に大きく引き離されている実情が改めてクローズアップされた。

　また、2013年7月17日に東証から公表された「個人投資家層の裾野拡大に関する調査レポート」によれば、アベノミクス相場でも個人投資家層の裾野は拡大しておらず、日本人の実に半分以上が株式のことを十分に認知・理解していないなど、市場を支える投資家の活性化の面でも大きな課題を抱えているという。

　業界の交流活発化によるネットワーク拡大が市場と業界の活性化に繋がり、こうした様々な課題にビジョンを持って真剣に取り組む金融機関・ベンダー・メディアがますます増えるよう、マーケットフォーラムの今後の活動に期待したい。

◎参考リンク（取材レポート）
【金融証券マーケットフォーラム】
2013年02月22日（金）開催　証券業界の交流の場、初の大阪開催も盛況裡に幕！『マーケットフォーラム in 大阪』
2012年10月26日（金）開催　証券業界の交流と証券市場の活性化を目的としたイベント「マーケットフォーラム2012」が東京で開催

（ 取材、撮影：　藤野　宙志、　記事：藤野　宙志、柴田　潔、　編集/制作：　 柴田　潔 ）