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2017/01/06

【金融庁】金融仲介の改善に向けた検討会議(第6回)議事要旨及び配付資料について公表

| by:ウェブ管理者
1.日時:

平成28年11月18日(金)9時30分~11時30分
2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
3.議題:

「金融仲介機能の質の向上に向けた施策」に関する今後の進め方について
4.議事内容:

事務局から、「平成28事務年度 金融行政方針」に掲げられた金融仲介機能の質の向上に向けた施策の内容及び今後の進め方について説明した後、以下のような議論が行われた。(○:メンバーの発言、●:当庁の発言)

○金融仲介の改善に向けた地域金融機関へのモニタリングにおいて、深度ある対話を行うことは賛成である。ただし、そのような対話を進めていくためには、まず、金融庁に金融機関から聞いたことを消化する能力が必要である。対話を深くしていくためには、金融機関から聞いた話の行間を推測するなど庁内でもしっかり議論するプロセスが必要であり、その力を蓄積するためには、経営を経験したことがある人や金融機関OBの採用も効果的と考える。

○加えて、他の業態でも良いので、ガバナンスの理想形を仮説として共有してから、対話に臨んだ方が良い。さらに、金融機関と多様な接点を持つとよい。例えば、金融機関職員との合宿を行って業務とは直接関係ないことを議論するなどして、お互いを理解する知見を蓄積していってはどうか。

○対話により金融機関に対し金融仲介の改善を促すためには、時間軸を縮める必要があり、金融庁が金融機関を上回る知見を有することが望ましく、金融庁の体制、方法論も含めて考え直さないといけないと思う。

○金融行政方針に掲げられている「金融仲介の質の向上に向けた深度ある対話」は、社外取締役にも求められている。コーポレートガバナンス・コードで社外取締役を最低二人入れるようになり、上場銀行の取締役会の運営は少し良くなってきているのではないかと思っている。社外取締役は長時間の取締役会に付き合えないため、細かい執行の話に時間を取られるのであれば、社外取締役でも分かるような経営の大きな話について議論するよう求めてきているし、少しずつそうなってきていると思う。

○次のステップとして、銀行が、5年後、10年後、どのように生き残っていくかについて踏み込んで議論していく必要があるが、社外取締役が経営の本質に切り込んだり、執行サイドからの回答に対して反論して議論を深めたりしているケースはまだまだ少ないと思う。執行サイドの説明に対し、「はい。分かりました」で終わらないよう、社外取締役の能力を向上させる必要がある。また、取締役会や経営会議では、強制的に時間を作って経営の話をする必要があると考えている。例えば、10年後、20年後の経営の姿や人材育成について、合宿するなどして徹底的に議論すべきだと思う。金融庁の対話においても、社外取締役と同様、聞く側の意識やレベルを相当程度上げていかないと、通り一遍の議論で終わってしまうリスクがある。

○金融機関の内部から取締役になる際に、取締役の責務について教育を受けていない人が多い。金融庁には、各金融機関に対して、取締役になる人をきちんと教育をしているのか、ヒアリングをして欲しい。

○金融機関の変革について、時間軸が遅いと感じている。金融機関の経営者の時間に対する意識を劇的に改善する必要がある。

○ベンチマークの活用には事務負担がかかるという話を聞くが、金融機関の生産性が低いことも背景にある。仕事の仕方や労働効率の改善を考えないと、ストレスばかり抱え、一人ひとりの仕事の質が下がってしまう。ベンチマークの活用についてもうまく回るよう、対話においてアドバイスをする必要がある。

○先週、マイナス金利導入後初めての中間決算が公表されたため、銀行の開示資料をチェックしたところ、保有株式や債券の売却益を計上している銀行がかなりあった。純利益の7~8割が株の売却益の銀行もあった他、9割以上が債券の売却益になっている銀行もあった。また、有価証券の運用利回りは、通常1%前後だが、2%を超える銀行が7~8行あった。また、純利益の3割程度が、貸倒引当金の戻入れ益の銀行もあり、事業再生によるランクアップによるものであれば良いが、本業のリスクテイクをやめているのであれば完全な金融排除であり、地域金融機関の本来の役割を放棄している。まだ少ないが、「共通価値の創造」を目指し、事業性評価に基づいた顧客本位の持続可能なビジネスモデルを構築している銀行もあり、こうした銀行は、低金利下においても、貸出金利は概ね横ばいで下がっていない。

○金融機関との対話により、経営理念と現場のギャップを確認・検証していただき、仮説を構築し、金融仲介の改善に向けたモニタリングを進めて頂きたい。金融機関は対話を情緒的に進めることが多いため、数字をベースにした対話には慣れていない。その点において、ベンチマークを活用した対話は非常に重要と考える。ベンチマークには、当初、マスコミ報道に誤解があった。しかし、関係者の努力で、繰り返し説明され、今では、信用金庫などもベンチマークの趣旨を良く理解したと言っている。

○地銀では、経営理念と現場のギャップによって、やる気のある人材が失われつつある。早期退職者や内定辞退者が増えており、営業店の現場は厳しい状況にある。経営者はCS(顧客満足)ES(従業員満足)双方にきちんと取り組む必要があるが、ESに大きな問題があると、CSに結びつかない。金融機関との深度ある対話の中で、企業風土についても実態把握に組み込んで欲しい。

○地域金融機関には地域の特殊性や多様性があるので、対話にあたっては、同一地域の金融機関をまとめて行う方がよいと思う。

○公的資金を受け入れた金融機関の中には顧客との「共通価値の創造」に向けて成果が出ているケースがある一方で、公的資金を活用しても経営規律がうまく働いていないと思われる銀行もあり、その差は、経営トップのリーダーシップの差である。金融庁は、経営トップと深度ある対話を、しっかりと行っていただきたい。


原文はこちら
http://www.fsa.go.jp/singi/kinyuchukai/siryou/20161118.html

17:07 | 金融:行政・取引所・団体
 

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